8/25/2023

[pol] 信用がないから愚かなのか、愚かだから信用がないのか

アホだアホだとは思っていましたが。。。今回の件は流石に呆れ果てました。

福島第一原発の冷却水、放射性物質としてはトリチウムのみを含む通常の冷却水ではなく、メルトダウンに伴い放出され続けているセシウムやストロンチウム等の一次的な放射性物質を含有した重度の放射能による汚染水を、一応ある程度処理した、として処理水と東電・日本政府が呼ぶところの液体を、近隣諸国及び近辺の漁業関係者中心に多数が明確に反対する中、海洋放出を強行するに及んだ本件ですが。

当然の結果として、予想通りに韓国・中国では日本産の海産物の不買・禁輸等が実施されました。それによって経済的な損害を被る国内の漁業関係者をはじめとする利害関係者からは、予想されたその被害を防ぐ手立てを何ら講じる事もなくただ漫然と放出の強行に及んだ日本政府へと非難が集中しています。

そして、非難を逸らそうとでもいうつもりなのか、日本政府は、禁輸の解除を中国等に要請したとされています。放出を続けたままで。その要請は当然ながら拒否というか無視されました。

愚かにも程があるというものです。そもそもの話として、なぜ処理水の排出に反発が起きているのか、理解していないとしか思えません。根本的に、日本政府は信用されていないのです。中国や韓国は、日本は嘘つきだと考えているのです。なのに、信用を得るための努力を何一つすることなく、問題ないとの建前だけを繰り返し、自分勝手な都合だけを優先して、抗議も何もかもを無視して強行したのです。見限られて当然というものです。

東電・政府ら当事者は、処理水に含まれる放射性物質の割合が国際的な基準以下だ、だから放出は実質的(科学的)にも法的にも問題がないのだ、と繰り返しています。それはその通りでしょう。ただし、それは利害関係者以外の第三者の検証を経て、利害関係者、殊に不利益を受ける側から見ても客観的に信頼の出来る事実と認められる限りにおいての話です。

しかるに、本件の放出水について、その放射性物質を除去する装置を準備し、処理を行っているのは東電とその関係企業であり、その結果すなわち残留物質の成分・濃度等を検証しているのも東電もしくは日本政府の支配下にある機関です。第三者ではありません。粉飾はあまりに容易です。実際に粉飾が行われているか否かは関係ありません。監視・検証の結果問題ない、と言ってもそれは全て自己監査、自己弁護でしかない時点で無意味なのです。会社法でも、自己監査は許されておらず、監査対象たる業務に関係する者は監査役になる事は出来ませんし、その他の経営の監視を担う役職にはさらに厳密な社外性が要求されます。それと同じです。自社の業務・会計の監査を自社の人間が行い、全て適正と主張したところで、誰がそれを信じるというのでしょうか。融資も取引も即刻打ち切られるに決まっています。

その上、本件のような重度の汚染水から放射性物質を取り除く処理がこのような規模・期間に渡り継続的に実施された事例、すなわち実績は当然存在しません。技術的にも未熟で、信用がないのです。当然、除去の精度についても疑義がかかります。セシウムやストロンチウムが大量に放出されているのではないかと。放出が長期間続けば、その汚染は取り返しのつかないレベルになるのではないかと。それを否定する実績がない以上、当事者たる東電や日立等の技術担当にすら保証は不可能でしょう。

つまり、本当に放射性物質は除去されているのか、客観的に見て到底信頼出来る状況ではない。にも関わらず、その検証を行っているのは疑われている当事者自身。それでも国内ならまだ自国の政府・機関についてそれなりの情報があり、盲目的な信頼を寄せる向きもあるでしょうが、海外であればそれすらもない。犯罪の容疑者も同然と見なされているのです。もともと信用もない容疑者が無根拠に言う大丈夫、が信用されないのは当たり前の話です。 誰だって、それが嘘だとの前提に基づいて行動します。その結果が、禁輸措置であり、不買運動であり、抗議であるわけです。至極当然の結果という他はありません。

ついでに言えば、そもそもの話として、現在の状況を招いた原因が生じた時、すなわち原発がメルトダウンを起こした時点で、既にセシウムやストロンチウム等の放射性物質を陸上・海上問わず大量に撒き散らしてしまっています。日本は、放射性物質による汚染の前科があるのです。ただでさえ客観的な保証がないのに、前科者が、今度は大丈夫だから、等といくら主張したところで、信じてもらえる筈もないのです。

放出を止めない限り、禁輸等の措置は解除される筈もありません。そして、放出は少なくともこれから30年以上に渡り続きます。"処理水"が増え続けている事を考慮すれば、30年で済むわけはなく、半永久的に続くでしょう。つまり禁輸措置等は半永久的に解除されないでしょう。

このような状況で、何をどうすれば呑気に禁輸措置を解除しろ等と言えるのか。言うだけ言って、何もしない等という振る舞いに及べるのか。そもそも、放出の強行などできたのか。信じがたく、理解に苦しみます。状況を理解出来ないアホだから、以外に説明をつける事は困難とさえ思います。

元より信頼も信用も出来ないと知ってはいましたが、ここまでとは。愕然を通り越して絶望というのはこういう事を言うのだなと、思い知らされてしまったのです。もう駄目なのではこの政府。

8/18/2023

[biz] 恒大集団破産、遂に現実となった中国経済の破綻

とうとう、というべきか、ようやく、というべきか。

中国の不動産最大手の一角、恒大集団が米国(NY)で破産法第15条の申請を行い、破綻したそうです。ちなみに、15条は海外とも関連する企業の場合の条項です。資産流出・隠蔽の回避等のため、米国外の関連諸国と連携した措置が想定されています。と、それはともかく。

無論、そのインパクトは尋常なものではありません。中国のバブル経済の中核を担った同社の負債は公表されているだけでも数十兆円にも及び、非公表の実質的な債務はそれを遥かに超えると言われます。大国の破綻にも等しい規模です。

しかし、驚き等は全くありません。中国の不動産バブル、その象徴であった同社ですが、コロナ禍以前からバブル崩壊に伴い長らく経営危機にあった事もまた周知の事実であり、もはや破綻は時間の問題であると誰もが知っていたからです。

実際、コロナ禍以降、諸外国は中国から急速に資本を引き上げてもいました。それが中国のバブル経済を破綻させる最後のひと押しになった、というだけの事で、要するに同社の破綻、これに続くだろう中国経済の破綻は、諸外国が意図的に引き起こしたとも言えるものです。当事者がそのわかりきった結果に驚く筈もありません。

しかし、それでも。中国経済の破綻。言葉で言うのは簡単ですが、流石に戦慄を禁じえません。それが、いつか来る不可避の未来として語られ始めたのは、北京五輪の招致決定の頃だったでしょうか。それから、明らかにバブルと分かる不動産を中心にした、実体と乖離した金融市場の膨張、それはバブルである以上破綻が避けられないものであり、しかも中国政府の強力な統制に基づくものであるために、限界までその破綻を回避し続け、際限なく膨張を続ける結果、その破綻はかつての日本のそれを遥かに超える程の破滅をもたらすだろう事も明らかでした。どうするのだろう、とその未来に恐怖しつつ、中国なら力技で抑え込んで見せるのではないか、と期待する向きも多かったように思います。

しかし、そんなうまい話はありませんでした。中国政府は、何ら実質的な手立てを用いる事もなく、ただひたすらに表面的な粉飾だけを続け、膨張と崩壊が同居する奇妙な状況を放置、いや実質的にはむしろ保護して育て続けました。そして、ついにその破綻を現実のものとして口に出す時が来てしまったのです。

この崩壊がどういう経過を辿り、どのような結末に辿り着くのか、 それは誰にもわかりません。追い詰められた独裁者、特に全体主義国家の支配者は、しばしば常軌を逸した破滅的な振る舞いに及ぶ事があります。少なくとも、常識的かつ倫理的な方向の打開策のみに自らを律するだろうと期待する事は出来ません。戦争特需等に非現実的な活路を求めて台湾侵攻に及び、米国を巻き込んだ大戦が起きる可能性すら、ありえないと否定する事は困難です。

もはや破綻を回避する術はなく、その影響を遮断する事も不可能です。日本を含む諸外国も、経済的な被害はもう避けられません。今更中国から資本を引き上げようにも実際無理でしょうし。せめて、物理的・人的な被害が我々には及ばないよう、及んでも軽微で済むよう、願うばかりです。

China’s Evergrande files for bankruptcy