5/18/2021

[pol] ワクチン接種システム運用開始後の惨状を見て

笛吹けど踊らず、というか。会場は未完成、警備員も手配せず、何を踊るのかも不明なまま、とにかく集まって踊れ、踊らなければ殺す、と脅して集めて踊らせようとした結果、会場入口前でドミノ倒しが起きたような。

いや、コロナのワクチン接種、その一般向け予約開始直後のゴタゴタの件です。

やろうとしている事は至極単純。高齢者に2回のワクチン接種を受けさせるだけです。成分が不安定なワクチンの性質上、極低温での保管が必要で、解凍後は即使い切らなければならず、また接種後も副反応に備える必要もある等の制約はあるものの、その実行自体はさほど困難なものとは言えないでしょう。

しかし、現実には大混乱です。その理由は何か。然るべき準備を行わず、通常なら当然の手順を踏んでいないからです。それと言うのも、無茶な期限を最初に設定し、かつそれに間に合わせるために最初から時間的効率を突き詰めた接種の実施を要求している点に原因がある事は明らかでしょう。つまり五輪が悪い。はよ捨てろ。

個別の問題点は幾つも挙げられます。まずそもそもワクチンの供給が不安定かつ甚だ不十分である事。それでも接種を行うためには供給量に応じて対象者を選別し会場へ誘導しなければならないけれども、対象者の母数に比しての供給量の少なさから、その枠を巡って奪い合い等の混乱が生じるだろう事。さらに、行政側の対応リソースの貧弱さから、速度面の要求を満たすためにその割当システムはネット上の予約システムを中心にせざるを得ないけれども、特に高齢者はそもそもネットリテラシーが低く、アクセスすら困難な者が少なくなく、選別・割当の問題以前に対象者の誘導が不可能なケースが多数生じる事。。。

行政側にこのような問題に対処するノウハウなどあるわけもありません。これから適応していくだろうと期待する事も出来ません。決定権を持つ政府の側も、五輪の開催予定時期前に終わらせる事を要求し、徒に、理不尽とも言える圧力を行政機関にかけるだけです。

そして碌に準備もせず見切り発車的に迎えた予約システムの運用開始と共に噴出する不備、不備、不備、そして混乱とそれに対する行政の言い訳に責任転嫁。これだけ注目を浴び、センシティブな情報が詰まったシステムです。興味本位の悪戯から、システム内の情報を窃取しようとするものまで、不正アクセスの類も半端な量ではないだろう事は始まる前から明らかでした。が、重複申請等のチェックすらしないという辺り、それに十分に備えた様子はかけらも認められません。ただでさえ正確な理解・利用が困難な対象者に、入力ミスや重複の検知すら出来ないシステム。どうやって不正アクセスと本来の申請とを区別するというのでしょうか。これでは上手く行くと考える方がどうかしています。

ネット予約自体は、接種のプロセス全体からすれば入り口に過ぎないにも関わらずのこの体たらく。これでゴリ押し出来ると、おそらくは今もって考えているだろう政府首脳以下責任者連中は、全員クビにした方が世のためだと、心底から思います。

付け加えると、システムの運用の可否は別にしても、個人情報の流出なんかも懸念されるんですよね。今のシステムの円滑な運用最優先な姿勢を見る限り、セキュリティ面はザルになっている可能性が極めて高いだろうし、まあもう無理だろうなと、殆ど諦めを抱かざるを得ないのが残念というか何と言うか。

[pol] ご都合主義的コロナ政策の末路