1/26/2016

[note] Marvin Minsky passed.

Minskyが逝去したそうです。享年88歳、死因は脳溢血とのこと。彼の死がその終生を賭けて研究を続けたところの自身の脳から訪れた事には、偶然とは知りつつも因果めいた人生の美を感じずにはいられません。彼の人生は脳から始まり、そこで終わったのです。

近年は年齢から表舞台に立つことはなくなっていたものの、AIの創生を担った氏はあまりに偉大であり、MITを中心にして広がったその影響は広く世界に及び、理工学、殊に情報を扱う分野に関わる者ならば誰しもがその理論、著作に触れ、今なお多大な意味を有している事も周知の事実であるわけです。

しかし、人間の脳をモデルとし、その再現を目指したNeural Networkも、数十年を経てなお初期とさほど変わらない、単なるパターン識別程度の機能しか実現出来ず、未だその目標の達成は目処を立てる事すら程遠い段階に留まっています。その事実を氏がどう受け止めていたのか。単に無念を抱えていたに留まるわけはなかろうけれども、何らかの現実的な、具体的な可能性を伴う希望を見出し得ていたのか否か。その、多くの者に引き継がれただろう魂の行方に幸ある事を祈りつつ。