5/01/2010

[biz] 法人税減税で企業誘致って嘘ばっかり

言ってはいけないと思うんですよ。法人税は利益にかかるもの
で、事業のコストは変わらないのに、どうして企業が来るんで
しょう。

減税分は、配当原資になるわけで、従って減税で利益を得るの
は株主だけ、一方で事業戦略を立てるのは経営者であって、株
主ではありません。そして、事業戦略上で実際に考慮されるの
は、何よりも顧客、市場、需要です。

工場やらが海外に流出しているのは、何を置いても事業コスト
が安く、さらに成長市場で、需要が旺盛だからです。法人税が
安いから、なんて理由で運営コストが高く、需要が頭打ちの市
場に進出する阿呆はいません。

そして、日本は間違いなく運営コストが高く、需要も頭打ちの
縮小経済状況にあります。

利益を出す前に、事業が成立しなければ話になりません。利益
の分け前を云々するのは、事業が成立して、利益が出た後の話
です。企業の進出意欲に影響したりはしません。

ただ、一応、法人税減税で株主には利益が出るので、国内在住
の株主が得た利益分、消費意欲が出る効果はあるでしょう。
しかし、そもそも株主がごく少数に過ぎない現状では、全体か
ら見れば、実体的効果は微少に留まります。株価のバブルは起
きるかもしれませんけど、所詮はバブルです。

運営コストを下げるか、需要を拡大して市場のポテンシャルを
上げるかしなければ、企業誘致は不可能です。

そして、効率化が進んだ現状にあって、さらに運営コストを下
げるのは、人件費を下げろと言うに等しく、所得すなわち需要
の激減を引き起こします。運営コストが下がっても、市場が縮
小しては話になりません。かくして今の需給ギャップが有るわ
けで。

需要に一番影響するのは、当然ながら個人所得です。
法人税減税は、そこに全く影響しません。だから需要にほとん
ど影響せず、事業環境に影響しないため、企業誘致の効果が期
待出来ないのです。

この状況にあって、もし税等の変更での企業誘致を図るなら、
何よりも消費額増加効果のある消費税の減税、次に可処分所得
を増やす所得税の減税。現役世代の社会保障費減額。これ以外
は、量的にも質的にもほぼ意味が無いでしょう。

しかし、何処の政党も、法人税減税、消費税・所得税増税と、
百害あって一利無し、な政策を当たり前のように公約に掲げ
(ようとしてい)る始末。社会保障費も凄いスピードで増額さ
れていますし、お先真っ暗です。