やっと諦めましたか。
法務省がここ10年ほど実証実験を繰り返し、無茶だという外部の声を無視して導入を推進して来た、空港における顔認証による出入国時の本人確認自動化ですけれども、先日行われた大規模実証実験での2割近い論外な認識失敗率によって、遂に引導を渡される運びとなったそうで。理由はあまりにザルで不正し放題になってしまうから、だそうですが、そんなの最初から分かり切ってたでしょうに何を今更、としか。
ベンダーは非公表ですが、以前耳にした実証実験等の結果から推測するにおそらくはNECでしょうか。技術的な裏付けの全くない中、建前だけで無理やり進められたプロジェクトに延々と付き合ったその苦労は相当なものだったでしょう。まあお疲れです。少なくとも技術担当は殆ど詐欺にも等しい本案件からようやく解放されて安堵しているところか、それとも後始末の最中、コミットメントした性能やら何やら色々と違えた責任を追求されて針の筵、あるいは失業の危機で責任逃れに邁進中でしょうか。いずれにしても、元はと言えばメーカー側が売り込んだ話だし、長年に渡り巨額の委託費も貰い続けて来たのだから、およそ全て自業自得なわけですけれども、しかしよく実現の見込みの無いハリボテ技術でこれだけ引っ張れたものと、呆れの中にも若干の感心を否定出来ないところなのです。
そして今後は、というと、既に試験導入済みの指紋認証による自動手続きのみの推進に切り替えるんだそうで。これだけやらかしておいてまだやるか、とその面の皮の厚さ加減に改めて呆れさせられてしまうわけですが、そもそも今回顔認証は不正防止に難があるから諦めた、と言うのなら、指紋認証も偽造変造が容易なのだからその点は同じ、従って法務省の説明は論理的に一貫していないわけで。そんな事で大丈夫、なわけはないとも思うんですが、一度に全部諦める、というのは偉い人や組織、あと関連業界の事情から出来ないとかそういう事なんでしょうか。もし本気で指紋認証入出国を普及させようと考えているなら、結局のところ二の舞は必至に思われますし、少なくとも税金の無駄遣いには違いないのですから、一市民としては即刻やめて頂きたく思うのですけれども、そんな思慮が出来る人たちならとっくに止めてた筈ですよね。ええ。分かっていましたとも。
とりあえず、本件で利益を得てきたメーカー各位には、せめて本件の失敗の責任だけは速やかに取って頂きたく思う次第です。当人達は逃げ切る気満々なんでしょうけれどもね。
顔認証の導入見送り 空港の出入国審査、精度低く