11/25/2014

[law] 米Missouri州Fergusonの白人警官による黒人少年射殺事件、不起訴決定で即暴動

まさかの不起訴。米Missouri州Fergusonで起こった黒人少年Michael Brownの射殺事件で、州裁判所での審理に付されていた犯人の白人警官Darren Wilsonですが、法の裁きを受けるどころか、起訴すらされないという決定がなされたそうです。

正直信じられません。いや、白人+権力至上主義に染まり、今なお人種差別の塊のような米国支配層を代弁する司法、それを象徴するところの白人が多数を占める大陪審の人種構成からすればむしろ当然の決定と言えなくもないのですけれども、流石にこれだけ嫌疑が強く、かつセンシティブな案件で、いくら法の規程があると言っても少数人の独断で無罪にするとか、それで市民の納得が得られよう筈もないし、暴動が起こるだろう事も火を見るより明らかなわけで。内戦がしたくてわざとやってるんじゃないかと、正気を疑わざるを得ないのです。

ともあれこれで、Wilsonはもちろんの事、地元警察の関係者を含め、相当な範囲が黒人民衆から決定的に敵対視されてしまったでしょうし、あるいは法の裁きが無いならと、私刑的な行為に及ぶ人も相当に生じ得る結果、死者の発生も避けられないでしょう。つくづく馬鹿な事をしたものです。他国の事とはいえ、救えませんね。

Ferguson Grand Jury Will Not Indict The Cop Who Shot Michael Brown

んで戒厳令ですか。本来なら即介入して事態の収拾に当たるべきオバマ大統領も日和ってるというか関心が無いと言わんばかりのおざなりな対応に終始するとあっては、もうどうにもならないんじゃないでしょうか。

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[biz law] ホンダの米における重大事故6割隠蔽発覚

これほどとは。公表されたホンダの米における重大事故報告漏れの件数が、実に2003年からの11年で1729件とか。タカタ製エアバッグ関連8件を含め、本来報告すべき事件のうち6割が漏れていたというのですが・・・それはもう漏れとは言えないだろうというか、組織的隠蔽の結果としか解釈しようがない規模なわけで、まさかあのホンダが、と、尋常ならざる衝撃が広がっているようです。

いやほんと、GMの事を言えないどころか悪質さではそれをも上回る話なわけですが、どうなっちゃうんでしょう。多分にタカタの件で追跡調査してみたら芋づる式に、って話なんでしょうけど、蔓の先が大きすぎて当局も困惑してるんじゃないかと。タカタもタカタで、10年ほど前に障害を把握しておきながら意図的に隠蔽した嫌疑がかかって最高に追い込まれてる最中なわけだし、只でさえ最悪レベルの案件が連鎖併発した本件、そのあまりのヤバさ加減に戦慄が走ります。

ともあれ、少なくともタカタ絡みの件については、自動車メーカー各社の中では最も採用率が高く、その疑惑の中心にあったホンダも、今回の隠蔽発覚によってめでたく完全にグルだったものと認定され、以降はセットで追及を受ける事になるんでしょう。タカタやホンダ、その他メーカー各社が受けるだろうあれこれについては自業自得ですが、質も量もヤバすぎで、影響を受ける範囲も相当なものでしょうし、とばっちりを食らう向きには誠にご愁傷様であります。

しかしホンダ。去年までは何の問題もないかのような風だったし、利益も激増を続けて順風満帆にしか見えなかったのに、フィット・ヴェゼルのリコール連発からこっちの急転直下ぶりは何というか・・・非常にアレです。むしろ、あの華々しい成功ぶりは元々こういう隠蔽による取り繕いの産物に過ぎなかった、という事なんでしょうか。とても残念です。

ホンダ、米当局に重大事故報告漏れ 03年以降1729件

Investigation of Honda Centers on Failure to Report Deaths From Takata Airbags
Takata Offers Its Rebuttal to Report of Secret Airbag Tests

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11/18/2014

[IT] 顔認証による入出国実証実験結果の出鱈目さに脱力

先日成田・羽田で実施された出入国の実証実験の結果、誤認識率0.26%、ね。。。定義が不明な以上正確な評価は出来ませんが、仮にEERとか、言葉通りに認証システムの実力に近いものだとすれば、従来の顔認証技術の限界どころか、現在標準的に実用されている指紋や静脈すら超える凄まじい値です。あらゆる本人確認の方式を顔認証で統一する事すら可能にする、革命的な性能と言えるでしょう。

勿論、そんな話を真に受けられるわけはないし、逆に嘘と確信させられてしまうわけですが。案件継続のアピールのために盛ったにしても程があるでしょう、と。大方、判定の基準を甘くすればいくらでも作為的に下げ得るFRR(誤排除率)だけを言ってるんでしょう。生体認証一般において、その方式の精度の測定・評価においては、FRRとトレードオフになるFAR(誤受入率)と合わせて見なければ意味をなさないところ、定義も不明な数値を一つだけ出されても、むしろ誤魔化しや詭弁の類かとの疑念が深まるだけ、それもこんな通常の評価ならありえない数字を出されても、困惑するしかないのですよ。

推測ながら、おそらく本実験では、なりすまし等の不正のチェックは全くやってないのではないでしょうか。テストの対象が日本人で、かつ実験参加に同意した人だけなのだから、その時点で不正すなわちパスポート内の画像と参加者が異なる可能性は極めて低く、逆に言えば本人性は殆ど保証されたデータセットになっている事は間違いありません。当然、実際になりすましが行われる場合に想定されるような変装等の類はそもそもデータに含まれておらず、従ってなりすましのチェックは事実上なされ得ないものと推測されるのですね。

そして、参加各社はその事を当然知っていたでしょうから、今回の実験において不正の検出は不要として、本人と他人を判定する基準を極めて甘く、本来であれば当然想定されるべきなりすましがあったとしても検出し得ない程度まで緩めた判定ソフトを投入した可能性が強く示唆されるところです。とすればその結果、本人を他人と誤認識する率は極限まで下がる事になりますから、件の異常に良い誤認識率と辻褄が合うのですね。

というかそうとしか考えられません。なりすましを十分に防止可能なレベルで他人受け入れが少なく、かつ本人を弾く確率が1%未満というのは、前述の通り、もう指紋や虹彩、静脈やら、その他の顔認証とは比較にならないほど情報すなわち個人的特徴が多く変動も極めて小さい高精度な部位による認証のそれと同等か超えてすらいるわけで。仮に本当にそこまで出来るなら、入出国どころかATMとか一般の入退出とかセキュリティ用途も含め、あらゆる本人確認の殆どが顔認証で代替可能になるのですし、少しでも顔認証含め実際の生体認証に触れた経験のある人なら、もう失笑するしかないような話なわけです。んなわけないだろ阿呆か、と。

ところで、そこまで緩めてなお本人排除が残った事については、意外に思うべきか、それともそれはやり過ぎによる発覚を恐れた結果と考えるべきか。発覚を恐れたにしては行き過ぎに思われますが、まあその辺はやり直しが効かないとか、参加5社間の競争とか、色々と歯止めが効き難かった部分もあるんでしょうか。

兎も角、この辺の作為、倫理的には勿論不適切な類の話だし、国際規格等で定められている精度評価の基準等に照らしても完全に不正な筈なのですが、法務省はその辺分かっているのかいないのか。もっとも、今回の実験を行うと決めた時点で既にNECやらは後に引けない状態だった筈、今更この程度の作為をやったところで大した違いもなかっただろうし、法務省側がどうあれ、業界ぐるみで丸め込む位はどうとでもしたでしょうけれども。何せ、10年以上に渡る巨大案件の存続がかかってたんですから。

ともあれ、元々出来レースの本件の進捗にその辺の実態は何ら関係しませんから、何処からも公的な指摘・追求がなければ、これで当該計画は17年度までは継続し、さらに実際のシステム構築も含めてさらに多額の予算がつぎ込まれる見込みとなりました。こういう不正でその場をしのいでも、実際に運用されるようになれば、身も蓋も容赦もない現実に晒されるわけで、不可避的に発生するだろう本当の不正や、複雑なシステムによる人手も含めた運用コストの増加によるデメリット等が顕在化するだろう事も明白なのですが、その予想される破綻も含めて、もうどうにもならないのでしょう。遺憾な限りです。

出入国審査に顔認証導入へ=17年度にも、実験で精度向上-法務省

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で、下記公式の結果報告書を読んでみたわけですが。

日本人出帰国審査における顔認証技術に係る 実証実験結果(報告)

一応本報告では認証方式評価の基本に沿ってFAR値別のFRRという形で評価されていますが、FAR0.001%、すなわち他人を誤って本人と判定する割合が10万回に1回程度になるよう厳しく判定した場合に本人を誤って他人と判定してしまう確率がA社は0.26%、D社は0.56%。やはり実際の場面ではありえないと言わざるを得ない結果です。というか、何故FAR0%の値が掲載されてないんでしょうか。特に変装等によるなりすましが無いだろうデータセット程度なら、当然誤認はゼロに設定されて然るべきところでしょうし、少なくとも参考としては必須でしょうに。やりすぎと思って自重したんでしょうか。だとしたら今更な気もするんですけれども。

ちなみにその他3社の結果は、C社が6.88%、D社が9.59%、E社が22.56%。上位2社に比べて大きく劣るC社とD社ですら、指紋認証その他に比肩する高レベルにある事になるわけですが、当然そんな筈はありません。E社だけは大きく劣っていますが、むしろこれ位の方がリアルに近いと思われるところです。この現実と建前が逆転したようなというか、もはやファンタジーとも言うべきあまりのクレイジーさに戦慄を禁じ得ません。

11/14/2014

[IT biz] Googleの決済サービスwallet一部廃止

毎度お馴染み、Googleによる突然のサービス廃止宣言がやって参りました。今回の犠牲者はオンライン決済のGoogle wallet。2015年3月に一部APIを廃止するとの事。これまでその度に数多のユーザー、デベロッパーを絶望のどん底に叩き落として来た同措置ですが、今回はその中でも飛びきりと言っていいでしょう。何せ、同社のサービスを介して金銭をやり取りする際に事実上利用が必須な基盤部分なわけですから。関係者はみんなまとめて大混乱必至です。

無論、対象が決済機能という事で、全廃止などすればそれはGoogleが事業を放棄するに等しいわけで、廃止対象は限定的ではあります。具体的には音楽やゲーム上の課金アイテム等、デジタル商品の決済APIのみが廃止。例外的に、Google Playで配信されるアプリがその中で決済をする分には引き続きサポートされるとの事なので、Google専用アプリに関しては影響が無い事にもなっています。しかし、マルチ対応のアプリでは、iOS等、Android用以外でGoogle Walletによる決済が不可能になるわけで、その点修正を強いられる時点で広範囲に甚大な影響がある事は間違いないし、少なくとも歓迎する向きは皆無でしょう。

ただ、理由は想像がつくのですよね。送配等引き渡しが必要となる都合上、自然とある程度利用者の限定・確認もなされる実物の販売と違い、取引の全プロセスがオンライン上で完結するために詐称が容易な電子データの販売は不正の温床そのものでしたし、GoogleにしろAppleにしろYahooにしろ、NSAの件からこっち、何から何までザルな事が周知され、不正利用も頻発して信用が地に落ちた現状の基盤を使い続けるのは無理がある事は明白、全面改修を考えなければならない状況にあるわけで、その後継導入の前準備といったところかな、と。実際Appleが先日リリースしたApple Payの仕様を見ても、事実上iPhone6系に利用が限定されている点からして旧システムを切り捨てる意図が見えますし。勿論あっちはあわよくば囲い込み、との思惑もあるんでしょうけれど、既存の膨大な顧客を切り捨てるデメリットを考えれば、それよりもセキュアな決済システムの確立を優先した結果と解釈するのが妥当に見えるのです。色々とちぐはぐで、傍目には全く上手く行ってない、どころか崩壊気味なのがなんとも微妙ですが。まあ意図だけはあるらしい、という事で。

勿論その辺は憶測に過ぎないし、昨今報じられるFBIの意向なんかがうっかり重視されて、むしろ後継ではトレーサビリティの確保とか言ってバックドアが仕込まれる可能性もありえないではないのですけれども。この期に及んでGoogleの良心に期待出来よう筈もありませんしね。

ともあれ。本件にしろ、Apple Payにしろ、不安定な上に四分五裂する決済サービスの乱立にはデベロッパーもユーザーにとっても、どう転んでも結局は迷惑な話で終わりそうで、誠に遺憾な限りです。汎用性は皆無でかつ継続性は絶望的、とくれば、現状ではどちらも利用に値しないと言っていいんじゃないでしょうか。さしあたりPaypalで統一してもいいように思える位ですね。もっともPaypalにしても事業自体の立場が不安定だし、ローカライズが微妙とか色々問題もあるわけですが。そういったあれこれは今に始まった話ではありませんが、ますます面倒になる一方に見えるこの状況、本当に困ったものです。

ところで、ようやく国内でもChrome Bookが販売されるようになったそうですね。海外に比べて値段が為替レート以上に超割高なのはさておき、Chrome Bookの作り自体は悪くないと思うのですけれども、その寄って立つ筈の各種Google提供の基盤サービスが本件の如き体たらくでは、とても安心して使えないし、嗜好品以上の何かにはなり得ないと思うのです。なのにWindows系OSのPCと同カテゴリの商品として売り出されているあたり、全く以て不合理に見えるのですが、その辺どう考えてるんでしょうか、Googleは。何も考えておらず適当やってるだけで、上手く行かなければあっさり廃止すればいい、とかいうつもりなんでしょうか。であれば何という迷惑な。もはやそういう時代は過ぎたように思うんですが。。。言うだけ無駄ですかね。

Google Wallet for digital goods Retirement
Google Wallet won't let you buy digital goods past March 2015

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11/05/2014

[pol] 米中間選挙、野党共和党が上下両院の過半数確保し完勝、の不合理

米国の中間選挙は事前の予想通り野党共和党の圧勝に終わったそうですね。国会においては従来から支配していた下院の勢力を伸ばしつつ、新たに上院の過半数も獲得、地方においても複数州で新たに知事職の奪取に成功する、という、文字通りの完勝です。

まさに予想通りの結果ということで、今更本選挙の分析をする必要は無いでしょう。結局のところ、その理由はオバマ大統領が華々しい成功を示す事が出来なかったために国民の失望を買って支持を落とした事に帰着されるのですから。

ただ、外野から見ていると違和感も感じます。特に、オバマ大統領の実績、それに対する評価については、全体を通して具体的に何が悪かった、というべき失政も無いように見えるわけで。ここまで低い評価を受けている事には、今ひとつ合理性を見出せないのです。経済的危機からわずか数年、ここまでよく回復させたなと感心する位だし、対テロ政策についても、あの泥沼から抜け出し、一定の距離感を保つところまで漕ぎ着けた時点で相当なものだとも思うのですが、米国民はもうそんな過去の事は忘れてしまったのでしょうか。それとも覚えているけれども、全く満足していないという事なんでしょうか。

直近の政策に対する低評価が直接の原因、という見方もそれなりにあるようですが、それは具体的に言えばISISへの対応が手ぬるいとか、エボラへの対策が不十分だとか、ウクライナを巡るロシアへの対応が弱腰だとか、それぞれの問題への対処の難度からしていささか理不尽に見えるものばかりです。むしろ、色々と思慮の浅めな人が多い共和党が仮に対処したとして、より有意に上手い対処を彼らが成し得たとは到底思えないわけで。

かろうじて政権の失点と断言出来る事と言えば、ヘルスケア関連の失態位でしょうけれども、これは現時点で概ね問題は解消されていたし、問題になっていなかったというか、今回の選挙においては忘れられていたような感じでしたしね。NSAの件はいわずもがな。その手の権力拡張・行使に積極的な共和党ならもっと派手にやっていただろうし、その分露見した後の反動も大きくなっていたでしょう。予算案を巡る行政停止やらは、野党との責任がイーブンですから、これもやはり野党との相対的な評価の優劣には影響しない筈です。

そもそも過去を振り返って見れば、一連の戦争にしろ経済の危機にしろ、現政権が直面した主要な問題は概ねブッシュ政権時代の負の遺産に他ならないわけで。その後始末をこなした実績を無視し、上記のような誰であろうと即座の解決は不可能に思える事案の進捗が今ひとつだからと言って、よりによって共和党に回帰するというのは、流石に理屈に合わないと思うのです。元の木阿弥になってもいい、という事なのか、それともやはり単に忘れているのか。

共和党自体、以前から内部分裂して寄せ集め状態だし、その活動も単に現政権に難癖を付けているだけで、諸々の問題に対して自らが行っている批判、それらに耐えうるだけの具体的な政策の立案・実施を期待し得るかというと、評価以前に立案すら覚束ず、恐らくは不可能だろうという状態なのですから。その辺、日本で言えば少し前の民主党政権の醜態やらがフラッシュバックしたりして、どうにも危うく見えて仕方がないのです。

無論、どのような選択をしようと、それは米国民の自由だし権利なわけで、外野がとやかく言う筋合いもありません。ただ、現政権はその実績の割にあまりに報われないように見えて、同情を禁じ得なく思うのです。

実際問題としても、米国が機能不全に陥ったり、迷走したりすると他国への影響も半端ないので、大統領も共和党も、少なくとも次の大統領選までは程々にして頂きたいものですが。。。難しいでしょうかねやっぱり。

Riding Wave of Discontent, G.O.P. Takes Senate


[IT biz] Appleの製品・サービスに相次ぐ致命的脆弱性

広範囲にセキュリティ上の深刻な被害を及ぼしたBash脆弱性の件も未だ完全には終息していないところに、同レベルの脆弱性が指摘されたそうです。対象は"Yosemite"ことOSXの最新版10.10。旧バージョンについては調査中とのこと。通称は"Rootpipe"で、その名の通り認証プロセスをすっ飛ばしてルート権限を取得出来る、最悪レベルの脆弱性ですね。

発見者のスウェーデン人技術者Emil Kvarnhammarが、寛容にも公表を控える旨のAppleからの要求を受け入れたために、来年(2015)1月中旬までは一応模倣による攻撃は抑制される見込みではあります。が、数多いる攻撃者の強力な解析力の前には気休めにしかならないでしょう。むしろ、bashの件の直後につき同様の致命的な脆弱性を探していた向きは少なくなかっただろうし、その大半にAppleに事前報告する理由も益も無い事を考えれば、既に知っていた者がいても全く不自然ではないわけです。仮にEmilが第一発見者だとしても、こういう脆弱性がある、という事実が知れた時点で当たりもついて発見は容易でしょうし。

ともあれ。このレベルの脆弱性を連発した、というのでは流石に擁護しようがないし、Apple製品のセキュリティ周りは以前のMS以上に終わっている、と評価せざるを得ません。

で、それだけでも酷い話なんですが・・・問題のYosemite、密かにユーザーのデータをiCloudに自動アップロードもするんだそうで。バックアップ機能の一つに、編集中の各種データを自動セーブしておく機能があって、従来はオプション扱いだったのがYosemiteになって密かにデフォルトでONになる設定に変更されたんだとか。何でこのタイミングでそんな事するの、と。

元よりこの種の機能は脆弱性に直結する可能性が非常に高いところ、このようにユーザーの管理外で常時有効に設定されているような場合は、それだけ攻撃に晒されやすくかつ事実上管理がなされないためにとりわけ極めて危険なわけです。bashやRootpipeの件を別にしても、iCloud自体が大量の情報流出をやらかして、プライベート写真を流された芸能人らが訴訟も起こしているところにこれ、もうユーザーの情報を保護する気が無い、というよりわざと漏らそうとしてるとしか思えません。

もっとも、その辺の杜撰なやり方自体は別段目新しいものではなく、むしろAppleとしては一貫しているとは思うのですが・・・そんな事でこの先やっていけるんでしょうか。というより、やってほしくないと思わされてしまうのです。

周知の通り、これまでAppleは、少なくともセキュリティ関連については一貫して傲慢な振る舞いを続けて来ました。深刻な脆弱性を把握しても悉く漫然と放置し、時折まとめて、充分なのかも定かでない大量のパッチをリリースするだけ。懸念の声には、"問題ない"とだけ返答して後は無視するのが通例だったわけです。

これまでは、その立ち位置自体が比較的マイナーで、またMSがあまりに酷かったために、その影に隠れる事でAppleのあれこれも見過ごされて来ましたが、ここ数年で状況は変わりました。OSXのシェアも拡大し、クラウドサービスのプッシュも進み、iOSやiCloud等のプロダクト・サービス間の連携を強めつつコンシューマ向けITサービス全般におけるシェアを確立した結果、その社会に対する責任は以前とは比較にならないほど大きくなりましたし、他社を引き合いにした責任回避も許されないポジションに立ってしまっている、と言えるでしょう。

それを理解しているのかいないのか。相次ぐ致命的な脆弱性の発覚、また情報漏洩の発生、そしてそれに対する対応の絶望的なまでの杜撰さ、緩慢さ。不合理な施策にサービス・機能間の不整合。Apple payの投入には、法人周りも含めた社会基盤的なカテゴリーへの進出を目指す意図が明白に見られる同社ですけれども、現状を鑑みるに、そもそもそのポジションに立つ資格に欠けるものと言わざるを得ないわけで。むしろ、適当好き勝手余計やって引っ掻き回した挙句にあっさり投げ出されたりしては堪らないし、それは御免蒙りたいところなのです。

Serious security flaw in OS X Yosemite 'Rootpipe'

Apple's OS X Yosemite slurps UNSAVED docs into iCloud

Report: Apple Knew of Security Problems Long Before iCloud Breach

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11/01/2014

[biz] 内在する不備と矛盾、普及に躓くApple Pay

案の定と言うか。Appleが今秋の目玉として売り出した小売向け決済サービスApple Payですが、小売大手を中心に導入・対応を拒否するグループが続出して立ち往生しつつあるようです。

これは意外な話とは言えない、どころか、ある意味当然の話に思われるところです。というのも、これまでAppleが成功を収めて来た商品、サービスは基本オリジナルのものだったところ、Apple Payはその逆、というか最後発なのですから。同様の決済サービスを先行して展開している小売各社とは競合して拒絶されるのも当たり前だし、大半の利用者もよほどの利点が無ければわざわざ移行しようとはしないでしょう。Appleと言えども、それなりの実力・規模もある競合を相手取って、それも一からのシェア奪取ですから、むしろ失敗する方が普通なのです。

加えて、Apple Payは原則として最新版のiPhoneからしか使えない、すなわち利用者が著しく限定される欠点があるのですし、小売業者にとってはあまりに中途半端、わざわざシステムを改修してまで対応させる理由に乏しいだろう事も明らかなわけで。Apple watchも対応する予定ではありますが、それにしたところで状況はほとんど変わらないものと思われるところです。

元々、従来の小売決済サービスを巡っては、手数料等の負担コストに対する業者と利用者双方の不満が強かった事に加え、類似サービスの乱立による弊害も目立つようになり、またクレジットカードや小売チェーンのシステム周りで深刻な顧客情報の漏洩が相次ぐなど、決済システム全体に色々と問題が積み上がり、改革の要求が高まっていたところです。Apple Payが宣伝文句に謳うように、決済に関する余分なコストを下げつつ利便性とセキュリティを改善するような統一的なサービスの出現が望まれてはいるのでしょうし、それが実際に生まれ、普及するのであれば、競争はあるにせよ、概ね歓迎される事でしょう。

が、実際のところ、Apple Payがその要件を満たしているかというと、そうではないというか、むしろ満たしている点がないのですね。手数料面では、ある程度自腹を切って普及を図る必要のある当面はともかくとして、Appleのこれまでのサービスの運営のやり方から見て将来支配的なシェアを握った後にはそれこそ過剰な位にまで上げてくるだろう事は確実に思われるし、iPhoneユーザ限定につき決済サービスのデファクトになる事は元より不可能、セキュリティ面でもiCloudで盛大にやらかして信用を失ったところでもあります。

そもそもAppleは、事業構造からしてもロイヤリティの高いユーザだけにフォーカスしてそれ以外はさっぱり切り捨てて来たわけです。決済システムのような、誰もが使うような一般向けのユニバーサルなサービスには本質的に向いてない、というより真逆な性質の会社な筈なんですよね。

結局、AppleはやはりAppleで閉じてるというか、Appleのエコシステム圏内限定のサービスとしてしか成立しようもないように思われるわけで、決済システムもその例外ではないのだろうと。最初からそれは想定されていて、閉じた範囲内の運用でも十分に規模もニーズもあり、多数のユーザーの常用が見込まれて採算も合う、というのならいいんでしょうけど、、、Apple watchの宣伝の仕方とか、諸々からしてどう見てもそうじゃない風なのがなんとも。

携帯決済が十分に普及しきった日本国内には関係ない話、混乱するのも欧米限定の話だろうとは思うんですが、もしSoftbankあたりが暴走したりして、このノリで国内も引っ掻き回されるような事になったら、とか思うだけでうんざりします。Samsung程ではなくとも、色々と頭打ちになりつつある事に加えて後方からの突き上げが厳しいのもあって焦燥感は相当にあるんでしょうけど、無理なものは無理なわけですから、乱心するのも程々にして頂きたいものです。

Apple Pay Is Disabled by Rite Aid and CVS as a Rival Makes Plans

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