3/26/2026

[IT law] ネット中毒等についてSNS事業者の消費者保護責任を認定

する判決が米で出されました。

対象はMetaとGoogle。LAの地裁での判決です。

その趣旨は、Instagram等のSNSサイトのデザインについて、際限なく情報を表示し、ユーザーの興味を引き続ける構造になっており、若年者にネット中毒に陥らせる危険が高いにも関わらず、その旨の注意喚起等を全くしておらず、消費者保護の責任を果たしていない、との事。

賠償金は二社合計で6m$(Meta7割、Google3割)と米国のこの手の裁判にしては控えめですが、同種の係争が多数提起されている中、それらへの波及は避けられないだろう事から両社は無論、SNS業界全体について構造的な転換を迫るものになると見られています。

MetaについてはNew Mexicoで提起されていた別の裁判で児童に対する性加害についての責任が認定されたとの報道もあります。安全だと誤認させ、かつ防止措置を怠ったとの事です。こちらは児童への性犯罪という事で賠償額が300m$と高額。

如何な巨大企業と言えども積み重なればその事業の存亡にも関わるでしょう。米ではタバコへの規制になぞらえる向きも多数見られます。いわゆるデジタルドラッグに認定された、という見方も出来るでしょう。

タバコの例を見ても明らかな通り、この種の社会的な認定は、その対象が継続的に被害者を生む性質のものであって、とりわけネガティブなものである場合、ほぼ半永久的に継続します。ほとぼりが冷めれば忘れられる、というような事業者にとって都合のいい事は起こりません。

自社サービスへのユーザーの依存をそのビジネスの生命線とするSNS事業者は、しかし過剰な依存は防がなければならない、という根本的に背反する制約の下、極めて困難な舵取りを余儀なくされる事になるでしょう。

あるいはAustraliaのように若年者のSNS利用制限に踏み切らなければならなくなるかもしれません。事業者にとっては極めて厳しいシナリオですが、仮にそうなったとしても、これまで何の配慮も対策もせず、各ユーザーの自己責任として問題を放置し続けて来た事業者側の自業自得なので諦めて従う他ないでしょうね。

ネットの有用性、社会インフラとしての重要性等がどれほどあろうとも、個人の人権はそれに優越します。それが子供達についてのものであればなおさらです。

若年者がネットに依存する事は健全とは到底言い難いし、依存性も含めて有害な情報が溢れるネットに触れるのは精神がそれなりに成熟して情報の選別や自制が出来るようになってからにすべき、という主張には一理も二理もあります。事業者側の事情や建前を持ち出したところで、到底太刀打ちできないでしょう。

もっとも、大人になれば必ずしも自制等が出来るというわけではなく、単に年齢制限や年齢によるゾーニング等をすれば済む、とは言えないのが悩ましいところではあります。本来なら、年齢によらず依存に陥らせないように律せられるべきだろうし、性犯罪者等の悪意、依存すれば社会生活に問題が生じる違法行為への誘引、またデマや陰謀論、扇動のような明らかに悪性の情報は排除されるべきなのでしょうが、そんな事が出来るとも思えません。

その辺りの議論はこれから嫌が応にもせざるを得ないだろうし、その中である種の基準が形成されていくのでしょう。それが巨大企業、産業の利益を優先させるものではなく、子供達にとってあるべきものとなる事を願います。

3/25/2026

[IT] OpenAIの動画生成サービスSoraが突如として終了、高コスト低収益という現実

OpenAIの動画生成サービスSoraが突然終了する旨発表されたそうで。

サービス開始からわずか数ヶ月。議論は様々あれど、技術的な評価は低くはなかっただけに、あまりにも早い打ち切りに、ユーザーはじめ各所には驚きをもって受け止められています。

理由は定かではありませんが、大方の推測するところでは必要とする計算リソースがあまりに大きく、採算の見込みが立たないためだと言われています。

今後はより収益の見込めるコード生成等の他のサービスにそのリソースを振り分けるつもりなのだろう、とも。

生成AIサービスの火付け役として、集まった莫大な投資資金を元に多方面にほとんど無差別的に手を出していた同社ですが、コード生成等の将来性の高い分野では後発のAnthropicに先行を許してしまい、収益化の見込みについても疑義が付く状態でした。

動画生成はどんなモデルを用いるにせよとにかくデータ量が半端でなく、当然計算量もテキスト生成とは比較にならない膨大なコストがかかる一方、それに見合う収入をどうやって得るのかは全く見込みが立たない状態でしたので、今回の決定は致し方ないというか当然の帰結であるように思います。著作権の問題も解決出来そうにありませんでしたしね。

やっぱり現状のLLMベースの生成AIはコスト(と収益性の低さ)が問題ですよねぇ。。。特に画像関連は結果が一目瞭然なので素人にも訴求しやすく多くの人が夢を見るのも当然だろうとは思うのですが、そのコストに見合う高い料金を払う理由、ニーズが見いだせない、という根本的なビジネス上の欠陥を解決出来ない事にはどうにもなりません。

Google系のGeminiも利用者増で計算機リソースが不足した結果、無料版の使用制限がきつくなって突然使い物にならなくなったと嘆くユーザーが多数出ているとも聞きます。中には、ワークフローの見直しを余儀なくされて、こんな事ならはじめから無料版のサービスなどない方がよかったと言う人もいるとか。

ユーザーとしては、ある日突然サービスが使えなくなるようでは危なくて業務等では使えないし、今後はその辺のリスクを警戒し、信用出来ないサービスを敬遠する向きも増えるでしょう。

ただでさえ高コストなのに、競合が増えればそれだけユーザーの獲得も難しくなるわけで。未だ採算化のロードマップも確立出来ていない各サービスが、ユーザーを獲得しつつ収益も飛躍的に上げるというのは極めて困難なミッションです。

初期の熱狂が冷め、その莫大な計算コストという現実と向き合う事を余儀なくされる生成AI業界ですが、さてどこがどの程度生き残る事が出来るのやら。

なお、数ヶ月前から行われていたDisneyとの協業もこれでご破産だそうです。こっちはもし進めていたとしても莫大な著作権料を要求される事は必至だったでしょうし、どう転んでも採算的には詰んでいたのかもしれませんね。

3/06/2026

[PC] pdfの編集コマンドpdftkでファイルが開けない問題

この間、pdfファイルのページの順番を入れ替えようとしたんです。Linux環境で。

問題のpdfファイルは、スキャン時に設定を怠ったのか、見開き2ページの順番が逆になっていたものでした。本来p1,p2,p3,p4,p5,p6,p7...とページが並ぶべきところが、p1,p3,p2,p5,p4,p7,p6...となっていたんです。見開きで表示する分には問題ないんでしょうけれど、1ページずつ見るとなると行ったり来たりしなければならないので鬱陶しく、当然修正したくなったのです。ただ、ページ数が多く、libreoffice等のGUIアプリで手動でちまちま編集するのは流石に厳しかったのですね。

で、コマンドラインから実行出来るユーティリティpdftkを使おうとしたんですが。そのsnap版を入れて使ってみたら、pdfファイルが存在しないとエラーが出る。

具体的には下記のような感じです。入力ファイル名がaaa.pdf、800ページまでを入れ替えてaaa_fix.pdfに保存するコマンドです。コマンドに並べたい順番にページを入力するんですが、多すぎるので途中(p8からp799まで)は省略しています。(なお実際のコマンドはスクリプトで出力、実行しています。)

 $ pdftk A=aaa.pdf cat A1 A3 A2 A5 A4 A7 A6 (中略) A800-end output aaa_fix.pdf
     Error: Unable to find file.
     Error: Failed to open PDF file: 
        aaa.pdf
     Done.  Input errors, so no output created.

もちろんファイルはカレントに存在します。だけど見つからない、開けないという。どうにもなりません。

調べてみると、同様の問題に遭遇した例はいくつか見受けられました。あまり例が多くなく、状況もまちまちで原因がいまいちはっきりしなかったのですが、それらを総合した結果としては、どうもsnapの実行ファイルのファイルアクセス権限が制限されている事が原因のように思われました。私の使っているubuntuの現行であるところの25.10ではapparmor周り等でセキュリティ権限の厳格化が行われ、幾つかのアプリでファイルが開けない問題が発生したりしましたが、その関連とかかな、と。

ので、 調べた中にあった解決法の一つ、snapの実行ファイルから/usr/binにシンボリックリンクを貼る、というのをやってみました。下記コマンドです。

$ sudo ln -s /snap/pdftk/current/usr/bin/pdftk /usr/bin/pdftk

すると上記エラーが解消され、正常に変換されるようになったのです。

これで直ったという事は、snapの実行ファイルディレクトリからの実行と/usr/bin/以下からの実行では権限が違う、という話だったのでしょうか。そうだとして、セキュリティの面からはそういう区別をするポリシーもわからなくはないのですが、ユーザー側からすれば不具合でしかないし、そういう齟齬は生じないようにして欲しかったですね。snapは環境によらず動作出来るのが売りの筈なのですし。

なおpdftkにはaptからインストール出来るjava版があって、試してはいませんがこちらなら今回のような問題は起こらないでしょう。私はjavaは処理のオーバーヘッドがきついし実行環境周りでよく問題が起きる(起きていた)のがトラウマになっているので基本使わないのですが、その辺を気にしない方であればこちらの方が無難かもしれません。

ともあれ、そういう事で。やれやれです。 

3/01/2026

[note] IsraelとUSがIranのKhameneiを殺害

Iranの最高指導者、Ali Hosseini Khameneiが殺害されたとの事です。

勿論IsraelとUSの犯行です。Khameneiが指導者としての執務をしていた建物を多数の親族らもろとも破壊したそうです。

Iranは当然ながらミサイル等でIsraelや周辺国の米軍関連施設に報復を行い、Hormuz海峡も封鎖しました。事実上IranとIsrael及びUSは戦争に突入したと言えるでしょう。

Israelの目的は前回と同じく自国に対するIranの脅威の排除、USはそのサポートをしつつ、敵国Iranを潰して壊滅的になったUS国内の政権支持率の改善を狙う、といったところでしょう。

まあ、そんなこと出来るわけがないんですが。正直何がしたいのか、何が出来ると思っているのか、理解し難いところです。どうするつもりなんでしょう。まさか何も考えていないのでしょうか。Trumpとその取り巻きの事ですから、まさかではないんでしょうね。

周知の通り、Iranは古来から国民のほぼ全員が生まれながらのイスラム教徒の国です。それも厳格で原理主義に近いShia派の。そしてIranの指導者は強い権限こそあるものの、独裁者ではありません。文字通り国民を指導する代表者であり、国民の支持も相応に得ている、むしろ教皇や大統領に近い性質のものです。

当然、体制の実質も、強権的な独裁者が君臨していたかつてのイラクやリビア、シリア等とはわけが違います。指導者を排除したところで、国民の意識がイスラムの教義に支配されている以上、Israelへの敵対的な姿勢は変わる筈もないし、誰に代わろうと指導者は敬虔で厳格、原理主義的なイスラム教徒のままです。

また、KhameneiはIsraelとの敵対的な姿勢、そしてIsraelやUSからの攻撃への反撃も辞さない姿勢から穏健派とまでは言えなかったものの、ISISやAl-Qaeda、タリバンといったイスラム過激派とは一線を画し、自国の側からの武力行使には抑制的でした。実際、9/11の同時多発テロの際には、Al-Qaedaを非難する声明を出してもいました。そのKhameneiの排除は、Iranの穏健化をもたらすどころか、逆に積極的な武力行使を引き起こす可能性があります。

加えて、Khameneiは既に86歳と高齢で、当然ながら死去に備えて後継者の選定も進められていました。排除したところで、多少スタンスが違うだけの似たような指導者に代わるだけの話でしょう。実際Iranでは混乱は生じておらず、まして民主化の動きなどは全く見られません。

つまり、Khameneiの排除には意味がない。少なくとも、IsraelやUSの意図しているだろうような、IsraelやUSに友好的なIranに変わる事などありえないのです。イラクにはあったような抵抗勢力、対立勢力というのが存在しない以上、傀儡政権というのも作り得ないでしょう。

なお、先日のIran国内での大規模デモの際には、Iran革命で滅んだPahlavi朝の復活を叫んだ者もそれなりにいたと言われていますが、その崩壊から既に50年近く、今更そんな求心力はないでしょう。また、そもそも王朝の復活は独裁体制への回帰にほかならないわけで、国民に広く受け入れられるとは考えられないし、その復活を望む者も少なくとも現体制周りには皆無でしょうから、なおさら現実的ではないでしょう。

すなわち、IranがKhameneiの死を契機として、親Israel、親US的な国へと自発的に変化する事など考えられないのです。本当にそのような変化を求めるというのなら、それこそIranと全面戦争をした上で征服し、IsraelかUSの完全な支配下に置く必要があるでしょう。

しかしそれは主にリソースの面で物理的に不可能です。

Iranは人口9000万を超える大国なのです。国土も広大で、日本と比較すれば4倍超。この規模の国が完全に他国の支配下に置かれた例は第二次世界大戦の終結以降は存在しません。USとの距離も考えれば尚更でしょう。やはりIranの体制は変わり得ないのです。

そして、体制が変わらないのならば、Iranを攻撃し、Khameneiをはじめとした上層部を中心に多数を殺害したIsraelとUSに対する報復は嫌が応にも激化するでしょう。IsraelとUSの側としても、指導者を殺してしまった以上、もう後戻りも出来ません。双方がやめどころを見失い、際限なく応酬がエスカレートする可能性も決して低くはありません。

少なくとも、Hormuz海峡近辺の情勢は相当の長期に渡って極めて厳しいものになるだろう事が予想されます。当然ながら、その見通しに従って、石油価格等は既に大きく動いてもいます。

IsraelとUSは、取り返しのつかない、出口のない泥沼の戦争に踏み出してしまったのではないか。そのように思えてならないのです。Israelは言うに及ばず、Trump政権下のUSが後先考えない危険な国になってしまった事はわかり切っていた話ですが、第一次Trump政権での唯一の美徳であった武力行使への抑制的な姿勢も失った今、もはや最悪の人的災害と化してしまいました。

その被害を受けるIranはじめ関係各国の方々には誠にご愁傷様です。おそらくその後でTrump周りが大量に弾劾を受け、大幅に権限が抑制されるだろう中間選挙まであと半年余り、あまりにも長いその苦難の時期を、どうか被害を抑制して生き延びられるよう祈ります。

<追記>

US側にも死者が確認されました。Iranの報復は、その継続が困難になるまで続くものと予想されます。そしてその攻撃範囲は広く、早くも迎撃ミサイル等のリソース枯渇が懸念されているUS側の死者は今後も増えるものと見込まれます。あるいは防空が満足に出来なくなれば、加速度的に増える可能性も否定できません。そうすれば当然、USはますます抜け出せなくなるでしょう。無論Iran側の死者はそれ以上に増える。双方死者が増えれば、それだけ応酬が激化する。しかし自ら対話の道を閉ざしたUSに止める術はない。

こうなるだろう事はわかり切っていたでしょうに、USはなぜこの戦争を始めてしまったのでしょうか。Israel以外の誰も望まなかっただろうこの愚かな殺し合いを。

2/28/2026

[PC] 多数の中華Androidタブレットでファームウェアへのマルウェア感染発覚

AlldocubeやHeadwolf等の格安中華タブレットの多数機種について、ファームウェアにKeenaduと呼ばれるマルウェアが感染した状態で出荷されていた事が発覚したんだそうで。

該当するモデルは現時点で確認されている限り、MediatekのHelio G99を積んだものの一部のようです。人気の機種が多数該当していますね。格安帯では最もポピュラーなSoCだけに、被害に遭ったユーザーもかなり多いでしょう。

問題のKeenaduは遠隔操作を可能にする最悪なバックドア系のもので、ファームウェアに仕込まれていた事からユーザー側ではどうする事も出来ず、使用中止を余儀なくされたユーザーの嘆きの声が溢れています。

これぐらいメーカーが開発段階か遅くともリリース前にチェックしておけば簡単に防げた筈でしょうに、そんな手間すら惜しかったんでしょうか。安かろう悪かろうにも程があるというものです。

該当する各機種については、アップデートの配信が各社で計画されているとのこと。中華タブレットではOSやファームウェアのアップデートは原則なされないのが通常なのですが、流石にこれはリコールというか返品・返金ものなので、放置するわけにもいかなかったという事なのでしょう。

しかし、その修正もすぐ配信出来るわけではなく、暫く時間もかかるとの事。アップデート自体普段していない事なので手間取っているのかもしれませんが、それを待たずに返品・返金を求めるユーザーも多いのではないでしょうか。

中華製タブレットはただでさえ信頼性の薄かったところ、今後は敬遠する人もさらに増えるでしょう。

なお私もAlldocube製のタブレットは幾つか持っているものの、どれも数年以上前のモデルなので本件とは関係は無かったのですが、alldocube製は中華タブレットの中では割と品質が良い部類だと思っていたので残念です。