スズキの燃費偽装の件ですが。先頃行われた鈴木会長等の釈明会見で判明した驚愕の事実の数々には唖然とさせられてしまいました。
一番驚いたのは、問題の抵抗値の計測について、そもそも計測になっていない、でっち上げと言ってもいいような測り方をして、しかもその方法を恥ずかしげもなく、さも適切であるかのように強弁していた点です。テストコースが風が強くて計測が難しかっただとか、5%の誤差だから問題ないだとか、ホントにプロのメーカーなの?と疑わざるを得ないあまりの非常識ぶりに戦慄しました。
本来言うまでもない話の筈ですが、環境条件の厳密な管理設定は計測の大前提であり、基本中の基本です。逆に言えば、そこに僅かにでも綻びがあれば、それは計測とは言えず、せいぜい目安値程度のものに過ぎない無意味な作業でしかありません。外部的な変動要因を十分無視し得る程度まで排除し、変動を排除不能な内部要因のみに限定した上で、その内部的変動誤差を統計的に十分な精度が得られるまでサンプルを集めて除去し、それでようやく初めて計測値と呼べるのです。しかるに、無風状態を前提にしているのに海岸沿いで風があって計測が困難だったとか、何を言っているのかと。サンプルの計測すら出来ていないという事なわけです。話になりません。
そんな杜撰と言うのも馬鹿馬鹿しいような方法で取ってきた数値を恥ずかしげもなく持ちだした挙句、誤差5%以内だから問題ないだとか、寝言は死んでから言えというのです。自分が何を言っているのか理解していないとしか思えません。
それに、5%の誤差が適切という物言い自体があり得ません。本来計測というのは、まず許容可能な誤差範囲を設定し、その設定した条件を満たすよう計測方法及びサンプル数を設計して行うものです。しかるに鈴木会長の言に従えば、スズキは高々5%の精度しか期待できないような方法かつサンプル数しか用いておらず、かつそれで十分と考えている、という事になるわけです。自動車販売事業における5%のズレ、それがマイナスに振れた場合に引き起こす損失の大きさを誰よりもよく知っている筈の当人の口から、そんな言葉を聞く事になろうとは。。。開発部門が%単位で目標未達、しかもちゃんと計測すればもう少し高いかも知れないが誤差5%だから分からない、なんて報告を上げてきたとして、じゃあそれで、と了承して、あまつさえそのまま市場に投入してしまうメーカーが何処にあるというのでしょう。5%どころか、1%だって許容出来ないでしょうに。
手間を惜しんだ、というのは間違いないでしょう。環境条件の設定と、サンプル数の確保は共にとてもリソースのかかる大変な作業であって、出来れば省略したくなるだろう事は理解出来ます。しかしそもそも簡略化にすらなっていないでっち上げ同然の数値で適切と言い張る姿には、手間を惜しんだという理由では到底説明が付けられない決定的な齟齬があるように見えます。率直に言って、そんな理由ではなく、計測値のでっち上げを取り繕うために無理やりそういうストーリーを作り上げたんだろうな、と考える方が余程自然に思えるわけです。何となくそれらしい説明だけど実はほとんど作り話、というのは大企業の外向けの説明でよくある話ですね。特に理由が後付という辺りが。客観的には虚偽に他ならないわけですが、一般に追求を受ける事もなく横行する業界・社内にあって、当人達にとって既に罪の意識すらなく、むしろ当然のものとなってしまっているのでしょう。
ともあれ。見るからに破綻した説明で、呆れ返った人が沢山出ただろう会見だったわけですけれども。それだけスズキが自動車販売業と日本の法を舐めているという事なのか、それとも本当に理解しておらず、それで問題ないと思っているのか。おそらくは前者なんでしょうけど、いずれにせよ論外と言う他ありません。そんな話を聞かされて、誰が納得など出来るでしょう。
素直に非を認めれば、そのまま生産・販売共にほとんど不可能になって、従って国内事業が三菱自同様終わってしまうのですから、どれほど見苦しかろうとも保身に走ろうとするのも分からないではないですが、それにしても今回の破綻した物言いと、そこで曝け出されたスズキのメーカーとしての最低限のモラルも感じさせない終わりっぷりには、心の底から失望しました。 残念です。他も似たりよったりなんでしょうか。
[前記事 [biz law] スズキも不正発覚で疑惑が全国内自動車メーカーに波及]
5/18/2016
[biz law] スズキも不正発覚で疑惑が全国内自動車メーカーに波及
スズキよ、お前もか。
燃費偽装の件、詳細は不明ながら、軽自動車2強の一角であり、カタログ上の燃費性能ではここ数年業界をリードし続けて来た筈のスズキも手を染めていた事が発覚したそうで。いやまあぶっちゃけ疑わなかった向きの方が少なかろうとは思うものの、それでもバレた時のヤバさ加減からして流石に言い逃れ出来る程度には自制しているものと思われていただろうところにこれ。また大変な事になったものです。
正確には計測方法の不正で、おそらくは三菱と同様、数字上良好な抵抗値が出やすく簡便な方法によっていたものと推測されているところ、実質的な不正の程度は明らかではありません。が、その程度の多少は問題ではないわけです。元より他社にも同様の嫌疑はかかっていたところ、本件発覚によりその疑惑は確固たるものとなり、既に疑惑は業界全体に及ぶものになってしまった、その事自体が決定的であり、あるいは致命的と言うべきでしょう。
当局から各社に対し、当然これから積極的かつ強制的に監査等がなされる事は必至です。現在メーカーに任せられている各種のパラメータの測定も第三者機関の検証を受ける事になるでしょう。あるいは検証に留まらず、検査の全てが行政法人の管轄に改められるかもしれません。無論不正がなければ何の問題もないわけですけれども、国内の開発現場において、諸々の対外的な数字への化粧等と称する誤魔化しが横行している事は周知の通り、何も出てこない筈もないのです。従ってその不正の内容と悪質性が問題になるところ、仮に本件のような致命的なレベルの不正が蔓延していたというのなら、連鎖的に主要メーカーが販売停止・多額の損害賠償を強いられる事も必至。結果、国内の自動車産業が壊滅する事態すらあり得るように思われるところです。
国外でも、米国は無論、韓国では日産に排ガス規制絡みで具体的な嫌疑がかかってるそうですし、むしろ国内で済めばまだマシな位と言えるでしょうか。無論最大手のトヨタ(ダイハツ含)の実態もこれから明かされる事になるんでしょうけれども、さてどんなものなんでしょうか。
といって、紛うこと無き詐欺、それも国を相手取ってのものでもある前代未聞の規模なのだし、長年のツケを払う羽目になっただけの話、例え存亡の危機に晒されようと、それも仕方ないというよりむしろ当然の話なのだろうと言わざるを得ません。最低限不正で得た利益は返還されなくてはならないし、損害は償われなければならないし、今後の再発は絶対に許されず、まして不正車の販売継続は論外、それだけの事です。結果的に言えば、本件発覚の引き金は直近の軽自動車需要増に対する競争だった、と言えるでしょうけれども、つまり目先の需要に目が眩んで客を騙した結果身を滅ぼした構図になるわけで。いやほんと馬鹿ですね。救えません。
逆に無事なところがあれば、一気に天下を取る事も可能と言えるでしょうけれども、さてそんな所はあるのでしょうか。日産なんて、余裕こいて救済してる場合じゃなくなったかもしれないんですしね。
スズキ 燃費データ測定 国の方法と異なる形で
そして鈴木会長の会見で明かされた驚愕の実態。そんな出鱈目だったのかと。
[続き [biz law] 計測の体を成していない方法を適切と強弁するスズキに戦慄]
[関連記事 [biz] 日産はどうして三菱自の救済に動いたのだろうか]
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燃費偽装の件、詳細は不明ながら、軽自動車2強の一角であり、カタログ上の燃費性能ではここ数年業界をリードし続けて来た筈のスズキも手を染めていた事が発覚したそうで。いやまあぶっちゃけ疑わなかった向きの方が少なかろうとは思うものの、それでもバレた時のヤバさ加減からして流石に言い逃れ出来る程度には自制しているものと思われていただろうところにこれ。また大変な事になったものです。
正確には計測方法の不正で、おそらくは三菱と同様、数字上良好な抵抗値が出やすく簡便な方法によっていたものと推測されているところ、実質的な不正の程度は明らかではありません。が、その程度の多少は問題ではないわけです。元より他社にも同様の嫌疑はかかっていたところ、本件発覚によりその疑惑は確固たるものとなり、既に疑惑は業界全体に及ぶものになってしまった、その事自体が決定的であり、あるいは致命的と言うべきでしょう。
当局から各社に対し、当然これから積極的かつ強制的に監査等がなされる事は必至です。現在メーカーに任せられている各種のパラメータの測定も第三者機関の検証を受ける事になるでしょう。あるいは検証に留まらず、検査の全てが行政法人の管轄に改められるかもしれません。無論不正がなければ何の問題もないわけですけれども、国内の開発現場において、諸々の対外的な数字への化粧等と称する誤魔化しが横行している事は周知の通り、何も出てこない筈もないのです。従ってその不正の内容と悪質性が問題になるところ、仮に本件のような致命的なレベルの不正が蔓延していたというのなら、連鎖的に主要メーカーが販売停止・多額の損害賠償を強いられる事も必至。結果、国内の自動車産業が壊滅する事態すらあり得るように思われるところです。
国外でも、米国は無論、韓国では日産に排ガス規制絡みで具体的な嫌疑がかかってるそうですし、むしろ国内で済めばまだマシな位と言えるでしょうか。無論最大手のトヨタ(ダイハツ含)の実態もこれから明かされる事になるんでしょうけれども、さてどんなものなんでしょうか。
といって、紛うこと無き詐欺、それも国を相手取ってのものでもある前代未聞の規模なのだし、長年のツケを払う羽目になっただけの話、例え存亡の危機に晒されようと、それも仕方ないというよりむしろ当然の話なのだろうと言わざるを得ません。最低限不正で得た利益は返還されなくてはならないし、損害は償われなければならないし、今後の再発は絶対に許されず、まして不正車の販売継続は論外、それだけの事です。結果的に言えば、本件発覚の引き金は直近の軽自動車需要増に対する競争だった、と言えるでしょうけれども、つまり目先の需要に目が眩んで客を騙した結果身を滅ぼした構図になるわけで。いやほんと馬鹿ですね。救えません。
逆に無事なところがあれば、一気に天下を取る事も可能と言えるでしょうけれども、さてそんな所はあるのでしょうか。日産なんて、余裕こいて救済してる場合じゃなくなったかもしれないんですしね。
スズキ 燃費データ測定 国の方法と異なる形で
そして鈴木会長の会見で明かされた驚愕の実態。そんな出鱈目だったのかと。
[続き [biz law] 計測の体を成していない方法を適切と強弁するスズキに戦慄]
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5/12/2016
[biz] 日産はどうして三菱自の救済に動いたのだろうか
日産が瀕死というか既に死に体の三菱自に出資するんだそうで。
正直行ってどう捉えていいのやら、困惑しております。いや、当面の資金調達が出来なければ即死する三菱自側にとっては願ってもない話なんでしょうけれども、日産が何を考えてしたのか、合理的な説明を付けるのが難しいように思うのです。
というのも、周知の通り三菱自の製品は性能の虚偽発覚によりほぼ全滅しています。特に素の製品の競争力が決定的に競合他社に劣っているのが問題で、仮に法的な問題を解決したとしてもそもそも売り物にならない事も目に見えています。製品として成立させるためには技術面で少なくとも競合他社と競り合う位までキャッチアップしなければ話にならず、その極めて高い技術開発の難度と、その種の技術開発に必要となる標準的な時間の長さを考慮すれば、まずもって5年程度は販売再開は見込めないだろう状況にあるわけです。無論、多額の投資も必要になるでしょう。その間、利益を得ないまま、ずっと資金供給を続けるつもりなのか、そんな判断があり得るのか、と強く疑問を抱かざるを得ません。
加えて、日産と三菱自は、SUV等の軽自動車以外のカテゴリでは従来から強く競合する関係にありました。 日産が属するルノーグループ内では既にプラットフォームも統合済みであり、今更三菱自の独自規格の割って入る余地など無い筈です。従って、軽自動車事業以外は当然リストラする必要があるだろうわけですけれども、それを視野に入れているにしては、3割強という出資割合は明らかに少なすぎます。法的には重要事項への拒否権を持つに過ぎず、その種のドラスティックな措置を強制出来るわけではないのですから。
本当に当面の救済が主目的であって、駄目で元々位で自前の軽自動車部門へと成長する可能性にベットしただけであり、当面は膨らむ事が避けられない損失の本体の財務への悪影響を抑えるために過半数は取らなかった、という事なんでしょうか。だとしたら、その成算云々以前に、今回の件による直接の損失の見積もりすら覚束ないこの段階で、2000億もの資金を捨て金同然に供給する事を即決出来る、というのは極めて大胆な話だと思います。そんな怖い事よくやるな、と戦慄を覚えずにはいられません。少なくとも、国内事業を見れば日産にそんな余裕は無い筈ですから、自然中国はじめ他所で稼いだ分を突っ込んだ形になるわけですけれども、そんな決定が通る社内事情というのも、そんなんで大丈夫なのかと、他人事ながら不安を覚える次第です。
もっとも逆に言えば、日産も国内事業が思わしくないが故に、今軽自動車事業を失うわけにはいかず、こんなリスクしかない案件に突っ込まざるを得ない程に切羽詰っているという事なのかもしれませんが。だとしても、技術面の周回遅れというのは多少資金を突っ込んだところでどうにかなる類の話ではないのだし、まして信用が完全に失われた所から回復を目指すというのでは、既に現実性が無いと言っても過言ではない状況であって、逆に損失を広げるだけに終わる可能性の方が遙かに高いのではないかと思うわけです。しかし、そんな事位日産の経営陣に分からない筈もまたなかろうに何故、とそこで再び首を捻らざるを得ないのです。
色々考えてはみるものの、やはり理解に苦しみます。しかし何にせよ、ユーザーにとっては補償・賠償の担保が得られたという事で、社会的には歓迎すべき事ではあるのでしょう。三菱自は表向き歓迎しつつ、心情的には三菱グループから見捨てられた悲しみに昏れているかもしれませんが、まあそれは自業自得だし、むしろまだ存続の目が残されただけ幸運と思って然るべきところでしょうか。しかしどうなるんでしょうねこれから。
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というのも、周知の通り三菱自の製品は性能の虚偽発覚によりほぼ全滅しています。特に素の製品の競争力が決定的に競合他社に劣っているのが問題で、仮に法的な問題を解決したとしてもそもそも売り物にならない事も目に見えています。製品として成立させるためには技術面で少なくとも競合他社と競り合う位までキャッチアップしなければ話にならず、その極めて高い技術開発の難度と、その種の技術開発に必要となる標準的な時間の長さを考慮すれば、まずもって5年程度は販売再開は見込めないだろう状況にあるわけです。無論、多額の投資も必要になるでしょう。その間、利益を得ないまま、ずっと資金供給を続けるつもりなのか、そんな判断があり得るのか、と強く疑問を抱かざるを得ません。
加えて、日産と三菱自は、SUV等の軽自動車以外のカテゴリでは従来から強く競合する関係にありました。 日産が属するルノーグループ内では既にプラットフォームも統合済みであり、今更三菱自の独自規格の割って入る余地など無い筈です。従って、軽自動車事業以外は当然リストラする必要があるだろうわけですけれども、それを視野に入れているにしては、3割強という出資割合は明らかに少なすぎます。法的には重要事項への拒否権を持つに過ぎず、その種のドラスティックな措置を強制出来るわけではないのですから。
本当に当面の救済が主目的であって、駄目で元々位で自前の軽自動車部門へと成長する可能性にベットしただけであり、当面は膨らむ事が避けられない損失の本体の財務への悪影響を抑えるために過半数は取らなかった、という事なんでしょうか。だとしたら、その成算云々以前に、今回の件による直接の損失の見積もりすら覚束ないこの段階で、2000億もの資金を捨て金同然に供給する事を即決出来る、というのは極めて大胆な話だと思います。そんな怖い事よくやるな、と戦慄を覚えずにはいられません。少なくとも、国内事業を見れば日産にそんな余裕は無い筈ですから、自然中国はじめ他所で稼いだ分を突っ込んだ形になるわけですけれども、そんな決定が通る社内事情というのも、そんなんで大丈夫なのかと、他人事ながら不安を覚える次第です。
もっとも逆に言えば、日産も国内事業が思わしくないが故に、今軽自動車事業を失うわけにはいかず、こんなリスクしかない案件に突っ込まざるを得ない程に切羽詰っているという事なのかもしれませんが。だとしても、技術面の周回遅れというのは多少資金を突っ込んだところでどうにかなる類の話ではないのだし、まして信用が完全に失われた所から回復を目指すというのでは、既に現実性が無いと言っても過言ではない状況であって、逆に損失を広げるだけに終わる可能性の方が遙かに高いのではないかと思うわけです。しかし、そんな事位日産の経営陣に分からない筈もまたなかろうに何故、とそこで再び首を捻らざるを得ないのです。
色々考えてはみるものの、やはり理解に苦しみます。しかし何にせよ、ユーザーにとっては補償・賠償の担保が得られたという事で、社会的には歓迎すべき事ではあるのでしょう。三菱自は表向き歓迎しつつ、心情的には三菱グループから見捨てられた悲しみに昏れているかもしれませんが、まあそれは自業自得だし、むしろまだ存続の目が残されただけ幸運と思って然るべきところでしょうか。しかしどうなるんでしょうねこれから。
[関連記事 [biz law] 25年不正を隠蔽し果せた戦慄すべき三菱自の組織力と、混沌とする先行きについて]
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5/11/2016
[law] Panama papersが晒す形式的合法性の詭弁とその破綻
このところ世界中を悪い意味で賑わせている、Tax Havenの大手法律事務所Mossack Fonsecaから流出した利用企業・個人等のリスト、通称パナマ文書ですけれども、ICIJにより公開されたデータベースファイル一式をダウンロードして眺めてみました。
ダウンロードした圧縮ファイル(offshoreleaks_data-csv.zip or data-csv.zip)を解凍すると、下記の通り4つのデータファイルと、その要素間の関係情報のファイルの合計5つのcsvファイルが入っています。
・Addresses.csv : 住所一覧
・Entities.csv : 法人一覧
・Intermediaries.csv : 仲介者一覧
・Officers.csv : 役員一覧
・all_edges.csv : 上記各情報間の関係情報
どれもテキストファイルなので、取扱はとても簡単です。個々のデータも余計な情報は皆無の極めてシンプルなものです。ただ、レコード数が半端ないので一々眺めるのも大変。それでも、ICIJのHPで提供されている検索用インタフェースから一つずつ検索するよりは、テキストファイル中を行きつ戻りつ追跡する方がまだやりやすいとは言えるでしょうか。
国内でほとんど一人だけ個人名が取り沙汰されている楽天の三木谷浩史氏を例に取ると、まずOfficers.csvに下記のような形式でレコードが入っています。
Hiroshi Mikitani,FF94FFD781684756215F927DDB8610C3,The Panama Papers data is current through 2015,SGP,Singapore,12128826,Panama Papers
なお各要素は名前,ICIJの管理番号,有効期限,国ID,国名,ノードID,ソース名となっています。
ここからは住所がシンガポールという事位しかわかりませんが、その他の情報はノードIDから追跡可能になっています。all_edges.csvで12128826を検索すると、
12128826,officer_of,10068469
12128826,registered_address,14053224
という2件のレコードが見つかります。 これから、役員を務めている会社と住所のIDがそれぞれ10068469と14053224であるとわかります。で、それぞれEntities.csvとAddresses.csvとから検索すれば、法人と住所の情報が分かるわけです。住所の詳細は流石に個人情報でもあるのでここには載せませんが、法人は下記の通り、香港に本店を持つTradenet investments ltd.という金融系の企業である事がわかります。なお管轄は英領バージン諸島ですね。
TRADENET INVESTMENTS LTD.,TRADENET INVESTMENTS LTD.,,BVI,British Virgin Islands,,FINANCIAL & CORPORATE SERVICES LTD. SUITES 1904-6; 19/F.; DOMINION CENTRE; 4\
3-59 QUEEN'S ROAD EAST; WANCHAI; HONG KONG WANCHAI HONG KONG,515718,10-NOV-1995,12-JUN-2013,30-APR-2014,,Changed agent,Mossack Fonseca,165794,HKG,Hong Kong,,\
The Panama Papers data is current through 2015,10068469,Panama Papers
国籍は日本なのに住所がシンガポールで会社は香港、という辺り、如何にもと思わざるを得ませんが、その辺の疑惑の真偽、程度は兎も角、どれもこれもそんな感じで中々に香ばしい雰囲気が漂っている事だけは間違いありません。
実際、周知の通り、殆どの法人が現地に営業の実体のない、いわゆるペーパーカンパニーである事はほぼ疑いようのないところでしょう。であれば広く世間から疑いの目を向けられるのも当然の結果と言えるし、或いは各国当局の捜査対象になり、実際に資産・利益隠しや資金洗浄等の違法行為が確認されれば犯罪として摘発されてしまうだろうケースは少なくないものと考えられます。当事者たる役員や法人が揃って戦々恐々とするのもむべなるかな。
名前の載っていた国内大手各社は、判を押したように適法に処理している、とのコメントを出しています。無論形式上は適法な形にはしているのでしょうけれども、しかし今後の捜査で問われるのは形式面ではなく実態面であり、建前上は適法に見えても各法人の営業・活動の実体が伴っていなければアウトになるのです。実体を認められるためには、最低限HQの機能を有する事務所を継続的に保有し、代表権ある役員の常駐も必要だろうところ、まあそんなわけないよね、と誰もが思う時点でもはや建前は通用しないのであって、そこに具体的な実態の説明を伴わず、適法と主張をしてもそれは無意味なわけです。
各国間の法制の齟齬による損失の回避、すなわち二重課税の防止だったり、単なる脱税や資金洗浄とは異なるフェアな事由による場合も多々あるんでしょうけれども、それは企業や個人の側の都合でしかなく、現地での実体を伴わない以上、各国の法に照らせばまず正当な事由とは言えないだろうわけで。一部で、資本誘致の為にはある程度許容すべきものとして正当化ないし擁護を図る論説もあるようですが、それは詭弁と言う他ないように思います。
勿論、当局としてもそこまで捜査するには相当な労力が必要ですから普通ならわざわざ突っ込んだりはしません。というかやりたくても出来ません。が、本件では具体的な、既に整理もされた証拠が提供された事によってそのコストは大幅に縮小しました。むしろ、社会的に広く疑惑が共有されもした以上、もはや何らの捜査もしないというわけにはいかないでしょう。摘発すれば膨大な税収を回収し得る可能性がある事、また今後の税収増も見込めるという事情もありますから、労力を使いながらも当局が突っ込んで行く可能性は低くないと見て良いのではないでしょうか。といって、政府側に後ろ暗い人達が沢山いたりすると、逆に隠蔽に走る可能性は高くなってしまうのですけれども、さて。逆に、中国よろしくもみ消しに走るか否かによって、各国がどの程度汚染されているのかを測る事も可能でしょうから、それはそれで興味深いだろう実態を明るみに出して把握すると共に、可能ならば是正を図る良い機会とも言えるかもしれません。
ともあれ、実際に捜査がなされるとすれば、果たして、そこで明らかになる租税回避の実態はどのようなものなのか。想像の通り、大国の国家予算に迫るようなセンセーショナルなものなのか、実はそこまででもなかったりするのか。いずれにせよ、今後の捜査の行方には、非常に大きな興味をもって注目せざるを得ないのです。どう転んでも、租税回避地の法人絡みの会計処理に規制が強まる事は確実でしょうけれども。
How to download this database
ダウンロードした圧縮ファイル(offshoreleaks_data-csv.zip or data-csv.zip)を解凍すると、下記の通り4つのデータファイルと、その要素間の関係情報のファイルの合計5つのcsvファイルが入っています。
・Addresses.csv : 住所一覧
・Entities.csv : 法人一覧
・Intermediaries.csv : 仲介者一覧
・Officers.csv : 役員一覧
・all_edges.csv : 上記各情報間の関係情報
どれもテキストファイルなので、取扱はとても簡単です。個々のデータも余計な情報は皆無の極めてシンプルなものです。ただ、レコード数が半端ないので一々眺めるのも大変。それでも、ICIJのHPで提供されている検索用インタフェースから一つずつ検索するよりは、テキストファイル中を行きつ戻りつ追跡する方がまだやりやすいとは言えるでしょうか。
国内でほとんど一人だけ個人名が取り沙汰されている楽天の三木谷浩史氏を例に取ると、まずOfficers.csvに下記のような形式でレコードが入っています。
Hiroshi Mikitani,FF94FFD781684756215F927DDB8610C3,The Panama Papers data is current through 2015,SGP,Singapore,12128826,Panama Papers
なお各要素は名前,ICIJの管理番号,有効期限,国ID,国名,ノードID,ソース名となっています。
ここからは住所がシンガポールという事位しかわかりませんが、その他の情報はノードIDから追跡可能になっています。all_edges.csvで12128826を検索すると、
12128826,officer_of,10068469
12128826,registered_address,14053224
という2件のレコードが見つかります。 これから、役員を務めている会社と住所のIDがそれぞれ10068469と14053224であるとわかります。で、それぞれEntities.csvとAddresses.csvとから検索すれば、法人と住所の情報が分かるわけです。住所の詳細は流石に個人情報でもあるのでここには載せませんが、法人は下記の通り、香港に本店を持つTradenet investments ltd.という金融系の企業である事がわかります。なお管轄は英領バージン諸島ですね。
TRADENET INVESTMENTS LTD.,TRADENET INVESTMENTS LTD.,,BVI,British Virgin Islands,,FINANCIAL & CORPORATE SERVICES LTD. SUITES 1904-6; 19/F.; DOMINION CENTRE; 4\
3-59 QUEEN'S ROAD EAST; WANCHAI; HONG KONG WANCHAI HONG KONG,515718,10-NOV-1995,12-JUN-2013,30-APR-2014,,Changed agent,Mossack Fonseca,165794,HKG,Hong Kong,,\
The Panama Papers data is current through 2015,10068469,Panama Papers
国籍は日本なのに住所がシンガポールで会社は香港、という辺り、如何にもと思わざるを得ませんが、その辺の疑惑の真偽、程度は兎も角、どれもこれもそんな感じで中々に香ばしい雰囲気が漂っている事だけは間違いありません。
実際、周知の通り、殆どの法人が現地に営業の実体のない、いわゆるペーパーカンパニーである事はほぼ疑いようのないところでしょう。であれば広く世間から疑いの目を向けられるのも当然の結果と言えるし、或いは各国当局の捜査対象になり、実際に資産・利益隠しや資金洗浄等の違法行為が確認されれば犯罪として摘発されてしまうだろうケースは少なくないものと考えられます。当事者たる役員や法人が揃って戦々恐々とするのもむべなるかな。
名前の載っていた国内大手各社は、判を押したように適法に処理している、とのコメントを出しています。無論形式上は適法な形にはしているのでしょうけれども、しかし今後の捜査で問われるのは形式面ではなく実態面であり、建前上は適法に見えても各法人の営業・活動の実体が伴っていなければアウトになるのです。実体を認められるためには、最低限HQの機能を有する事務所を継続的に保有し、代表権ある役員の常駐も必要だろうところ、まあそんなわけないよね、と誰もが思う時点でもはや建前は通用しないのであって、そこに具体的な実態の説明を伴わず、適法と主張をしてもそれは無意味なわけです。
各国間の法制の齟齬による損失の回避、すなわち二重課税の防止だったり、単なる脱税や資金洗浄とは異なるフェアな事由による場合も多々あるんでしょうけれども、それは企業や個人の側の都合でしかなく、現地での実体を伴わない以上、各国の法に照らせばまず正当な事由とは言えないだろうわけで。一部で、資本誘致の為にはある程度許容すべきものとして正当化ないし擁護を図る論説もあるようですが、それは詭弁と言う他ないように思います。
勿論、当局としてもそこまで捜査するには相当な労力が必要ですから普通ならわざわざ突っ込んだりはしません。というかやりたくても出来ません。が、本件では具体的な、既に整理もされた証拠が提供された事によってそのコストは大幅に縮小しました。むしろ、社会的に広く疑惑が共有されもした以上、もはや何らの捜査もしないというわけにはいかないでしょう。摘発すれば膨大な税収を回収し得る可能性がある事、また今後の税収増も見込めるという事情もありますから、労力を使いながらも当局が突っ込んで行く可能性は低くないと見て良いのではないでしょうか。といって、政府側に後ろ暗い人達が沢山いたりすると、逆に隠蔽に走る可能性は高くなってしまうのですけれども、さて。逆に、中国よろしくもみ消しに走るか否かによって、各国がどの程度汚染されているのかを測る事も可能でしょうから、それはそれで興味深いだろう実態を明るみに出して把握すると共に、可能ならば是正を図る良い機会とも言えるかもしれません。
ともあれ、実際に捜査がなされるとすれば、果たして、そこで明らかになる租税回避の実態はどのようなものなのか。想像の通り、大国の国家予算に迫るようなセンセーショナルなものなのか、実はそこまででもなかったりするのか。いずれにせよ、今後の捜査の行方には、非常に大きな興味をもって注目せざるを得ないのです。どう転んでも、租税回避地の法人絡みの会計処理に規制が強まる事は確実でしょうけれども。
How to download this database
5/10/2016
[law] 俄に注目を集め出したLGBT問題に纏わり付く違和感
俄に社会問題として取り上げられるようになった性的少数者について少し思う所を。
社会から疎外されるsexual minorityの問題自体は別に今に始まった話では全く無く、それこそ何十年も前から散々議論の的になって来たものです。国内でも様々なケースが司法も巻き込んで争われ、様々な権利が法的にも認められるようになり、完全に解決する見込みは得られていないながらも環境の改善が着実に図られてきているところです。それが、何故今になって突然、何らの対策もされず放置されているかのように世論を殊更煽るような形で特別に問題視されるのか、今ひとつ腑に落ちないわけです。
その理由は、と疑問を抱いたところで、一個人が考えても分かる筈もなかろうけれども、色々と仮説を立てる気にもなろうというものではないかと。
おそらく最大かつ直接的な要因の一つは、米North Calorina州で3月に成立したTransgenderのトイレ利用を禁止する州法について、DOJが、連邦法の規定する性差別の禁止に違反している、としてクレームを付けた事でしょう。これを受けた米国内での世論の注目の高まり、それが日本国内に波及したものと考える事は不自然でしょうか。もしそうだとすれば、国内での注目は、ある種の便乗に過ぎないものとも言えるわけで、いささか恣意的な印象を否めません。
そうではなく、純粋に日本国内の問題として、社会的に疎外されているマイノリティの保護・救済が必要であり、その中で特に社会的な対応が緊急に必要になった、という事なのでしょうか。しかし、国内での状況を鑑みれば、本件類似の社会・人権問題としてこれまで特に重点的に取り扱われて来た問題、すなわち身体・精神障害者、外国人殊に少数人種や不法滞在者、宗教的被差別、部落等の地域性に基づく差別等、より深刻かつ大規模な問題は多数存在し、その種の問題意識と政策の主たる対象となって来たところです。これらと比較すれば、個々人の内心の問題に留まり、本来的に社会的な問題とは認識されない傾向の強い性的少数者を、現状のように特別に取り上げ、社会政策上の救済の必要性が強く主張するにはやはりそれなりの特別かつ具体的な理由が必要だと思われるところ、現在各所で流れている様々な報道、論評を見る限り、そのような事情は見受けられません。そこにやはり強く違和感を感じずにはいられないのです。
もっとも、先に挙げたマイノリティの例については、これまで優先的に対処が成されて来たところでありますから、解決したわけではないけれども政策も含め概ねやれる事はやって、もはや劇的な改善は見込めない所まで行き着いた結果、これまであまり組織立って救済されて来なかった比較的小さな問題にも取り組む余裕が出て来た、とかそういう事なのかもしれません。しかしそうだとしても、某不満足な御仁がやらかしたタイミングでというのにも如何にもな因果関係を連想させられてしまうわけで、余裕が出たというよりは、それらの問題に取り組んで来た活動家らが目先を変えただけなのかもしれない、等と邪推も浮かぶわけです。もっとも、御仁は関係なく、手持ち無沙汰になったり、単に飽きて目新しい問題に取り組み出したりしただけな可能性もあると思いますけれど。どうなんでしょうね?
ともあれ。考えても仕方のない理由についてはこの辺にしておきましょう。
で、話を戻して、今回の件についてですけれども。性的少数者を代表する形で取り上げられているところのLGBTの内、LGBまで、すなわちLesbian,Gay,Bisexualについてはいずれも元々広く認知され、一般に個人の性的嗜好の一つとして受け入れられており、結局のところその性的特性によって特に差別を受けているわけでもありません。唯一の例外は、外形上元の性別のままであり、社会生活上で周囲との齟齬が常に顕在化するT、すなわちTransgenderのみです。米国で問題になっているのもやはりこの場合だけなわけですが、何故か日本国内ではLGBTは全て同質のものであり、等しく救済が必要なものとして扱われているようです。この事が便乗感というか、問題提起自体に対する不合理な印象をより強くしているようにも思うのですが、それはさておき。
Transgenderは、周知の通り生物学的(遺伝子的)な性別と精神的(主観的)な性別が不一致を起こしている人もしくはその精神状態の事を指すわけです。手術等の身体的な操作の有無は問いません。人格は一義的に精神と同一視し得るものである以上、彼ら彼女らが、主観的な性別で生きる権利、つまり社会的に生物的性別と異なる性別として認容される権利が、人格権の一つとして保護されるべきものである事には、個々人の好悪はともかくとして、法的な面から言えばおよそ異論のない、というより異論を立てる事は困難なところでしょう。
ただ、その保護を実際に実現するに際して、生物学的には別性であり、客観的にTransgenderである事が判別不能であるが故の社会上の看過し難い困難が発生するのであって、それを法によって如何に解消するか、あるいは調整するのかが問題になっているわけです。
具体的な例で言えば、トイレや更衣室等の、個々人の性的人権の保護のため性的に厳格な隔離が必要な場に、通常の利用者が客観的に見て別性と判断するだろう人間の利用を許容する事の可否と、仮にそれを可とするならばどのようなシステムによって実現するのか、という方法論の問題との二重の問題が存在しているとも言えるでしょう。米国の件の場合は、DOJが抽象的に権利侵害を認定して是正を求めているのに対し、NC州側はそんな事言っても外見上異性がトイレに侵入しているようにしか見えないのだからトラブルになると現実的な事情から反発しているのです。どちらの主張も正当性がありますが、現実的には整合せず、理想と現実が衝突を起こしている形ですね。
個人的には、もしTransgenderの権利を保護するというのなら、トイレの例で言えば転換のない男女と別に、転換男性・転換女性用のエリアをそれぞれ設けるしかないのかな、等と思ったりもするのですが、特定の少数者のためだけの負担としてはあまりに大きすぎるため、実際問題それを強制するのは難しいでしょう。理想的にはいっそ男女の区別も撤廃するという考えもあって、もしそのように変更出来れば様々な面で社会的には望ましい筈ですが、それは逆に性的プライバシーの侵害というより大きな人権侵害を伴うところ、その許容の強制はおそらく不可能であり、やはり実際には極めて困難と言えそうです。
結局のところ、全てを解決し、副作用なしに性的少数者の権利の保護を実現する方法というのは見当たらず、従って理想と現実の齟齬が解消される見込みもないまま衝突を続けているというのが現状なわけです。社会システム上で解決する手段がないのなら、これまで通り個々人の内心や個々のプライベートな場の内に収め、そこで各自が折り合いを付ける他ないのでしょう。
しかし、一度こうして声高に社会問題として取り上げられてしまうと、元に戻すのも困難になるわけで。これも一つの無責任の報いという事になるんでしょうが、どうするんでしょうね?そういう問題提起だけして放り出す、意識だけが高い無責任な人たちには困ったものです。一度取り上げたからには、責任を持って解決までマネジメントして頂きたく思う次第なのです。
The Department of Justice is suing North Carolina over its same-sex bathroom law
社会から疎外されるsexual minorityの問題自体は別に今に始まった話では全く無く、それこそ何十年も前から散々議論の的になって来たものです。国内でも様々なケースが司法も巻き込んで争われ、様々な権利が法的にも認められるようになり、完全に解決する見込みは得られていないながらも環境の改善が着実に図られてきているところです。それが、何故今になって突然、何らの対策もされず放置されているかのように世論を殊更煽るような形で特別に問題視されるのか、今ひとつ腑に落ちないわけです。
その理由は、と疑問を抱いたところで、一個人が考えても分かる筈もなかろうけれども、色々と仮説を立てる気にもなろうというものではないかと。
おそらく最大かつ直接的な要因の一つは、米North Calorina州で3月に成立したTransgenderのトイレ利用を禁止する州法について、DOJが、連邦法の規定する性差別の禁止に違反している、としてクレームを付けた事でしょう。これを受けた米国内での世論の注目の高まり、それが日本国内に波及したものと考える事は不自然でしょうか。もしそうだとすれば、国内での注目は、ある種の便乗に過ぎないものとも言えるわけで、いささか恣意的な印象を否めません。
そうではなく、純粋に日本国内の問題として、社会的に疎外されているマイノリティの保護・救済が必要であり、その中で特に社会的な対応が緊急に必要になった、という事なのでしょうか。しかし、国内での状況を鑑みれば、本件類似の社会・人権問題としてこれまで特に重点的に取り扱われて来た問題、すなわち身体・精神障害者、外国人殊に少数人種や不法滞在者、宗教的被差別、部落等の地域性に基づく差別等、より深刻かつ大規模な問題は多数存在し、その種の問題意識と政策の主たる対象となって来たところです。これらと比較すれば、個々人の内心の問題に留まり、本来的に社会的な問題とは認識されない傾向の強い性的少数者を、現状のように特別に取り上げ、社会政策上の救済の必要性が強く主張するにはやはりそれなりの特別かつ具体的な理由が必要だと思われるところ、現在各所で流れている様々な報道、論評を見る限り、そのような事情は見受けられません。そこにやはり強く違和感を感じずにはいられないのです。
もっとも、先に挙げたマイノリティの例については、これまで優先的に対処が成されて来たところでありますから、解決したわけではないけれども政策も含め概ねやれる事はやって、もはや劇的な改善は見込めない所まで行き着いた結果、これまであまり組織立って救済されて来なかった比較的小さな問題にも取り組む余裕が出て来た、とかそういう事なのかもしれません。しかしそうだとしても、某不満足な御仁がやらかしたタイミングでというのにも如何にもな因果関係を連想させられてしまうわけで、余裕が出たというよりは、それらの問題に取り組んで来た活動家らが目先を変えただけなのかもしれない、等と邪推も浮かぶわけです。もっとも、御仁は関係なく、手持ち無沙汰になったり、単に飽きて目新しい問題に取り組み出したりしただけな可能性もあると思いますけれど。どうなんでしょうね?
ともあれ。考えても仕方のない理由についてはこの辺にしておきましょう。
で、話を戻して、今回の件についてですけれども。性的少数者を代表する形で取り上げられているところのLGBTの内、LGBまで、すなわちLesbian,Gay,Bisexualについてはいずれも元々広く認知され、一般に個人の性的嗜好の一つとして受け入れられており、結局のところその性的特性によって特に差別を受けているわけでもありません。唯一の例外は、外形上元の性別のままであり、社会生活上で周囲との齟齬が常に顕在化するT、すなわちTransgenderのみです。米国で問題になっているのもやはりこの場合だけなわけですが、何故か日本国内ではLGBTは全て同質のものであり、等しく救済が必要なものとして扱われているようです。この事が便乗感というか、問題提起自体に対する不合理な印象をより強くしているようにも思うのですが、それはさておき。
Transgenderは、周知の通り生物学的(遺伝子的)な性別と精神的(主観的)な性別が不一致を起こしている人もしくはその精神状態の事を指すわけです。手術等の身体的な操作の有無は問いません。人格は一義的に精神と同一視し得るものである以上、彼ら彼女らが、主観的な性別で生きる権利、つまり社会的に生物的性別と異なる性別として認容される権利が、人格権の一つとして保護されるべきものである事には、個々人の好悪はともかくとして、法的な面から言えばおよそ異論のない、というより異論を立てる事は困難なところでしょう。
ただ、その保護を実際に実現するに際して、生物学的には別性であり、客観的にTransgenderである事が判別不能であるが故の社会上の看過し難い困難が発生するのであって、それを法によって如何に解消するか、あるいは調整するのかが問題になっているわけです。
具体的な例で言えば、トイレや更衣室等の、個々人の性的人権の保護のため性的に厳格な隔離が必要な場に、通常の利用者が客観的に見て別性と判断するだろう人間の利用を許容する事の可否と、仮にそれを可とするならばどのようなシステムによって実現するのか、という方法論の問題との二重の問題が存在しているとも言えるでしょう。米国の件の場合は、DOJが抽象的に権利侵害を認定して是正を求めているのに対し、NC州側はそんな事言っても外見上異性がトイレに侵入しているようにしか見えないのだからトラブルになると現実的な事情から反発しているのです。どちらの主張も正当性がありますが、現実的には整合せず、理想と現実が衝突を起こしている形ですね。
個人的には、もしTransgenderの権利を保護するというのなら、トイレの例で言えば転換のない男女と別に、転換男性・転換女性用のエリアをそれぞれ設けるしかないのかな、等と思ったりもするのですが、特定の少数者のためだけの負担としてはあまりに大きすぎるため、実際問題それを強制するのは難しいでしょう。理想的にはいっそ男女の区別も撤廃するという考えもあって、もしそのように変更出来れば様々な面で社会的には望ましい筈ですが、それは逆に性的プライバシーの侵害というより大きな人権侵害を伴うところ、その許容の強制はおそらく不可能であり、やはり実際には極めて困難と言えそうです。
結局のところ、全てを解決し、副作用なしに性的少数者の権利の保護を実現する方法というのは見当たらず、従って理想と現実の齟齬が解消される見込みもないまま衝突を続けているというのが現状なわけです。社会システム上で解決する手段がないのなら、これまで通り個々人の内心や個々のプライベートな場の内に収め、そこで各自が折り合いを付ける他ないのでしょう。
しかし、一度こうして声高に社会問題として取り上げられてしまうと、元に戻すのも困難になるわけで。これも一つの無責任の報いという事になるんでしょうが、どうするんでしょうね?そういう問題提起だけして放り出す、意識だけが高い無責任な人たちには困ったものです。一度取り上げたからには、責任を持って解決までマネジメントして頂きたく思う次第なのです。
The Department of Justice is suing North Carolina over its same-sex bathroom law
5/06/2016
[biz law] 悪質極まる東亜建設工業の空港耐震工事詐欺、すら普通に感じる現状
またか。どいつもこいつもいい加減にしろよ。
東亜建設工業による羽田空港C滑走路の施工不良隠蔽の件ですが、多くの人が似たような事を思ったのではないでしょうか。もっとも、後半部分はもうどうでもいい、だったかもしれませんが。
具体的な事の経緯は次の通り。羽田空港が埋め立て地につき地震時に懸念される液状化の防止策として2015年5月から2016年3月にかけて施工された(事になっている)補強工事について、それを請け負った同社が、自社開発の薬剤注入方式による施工に際し、工法の問題から予定量の5.4%の注入に留まり、ほぼ完全に失敗していたにも関わらず、予定通り全量注入に成功したものとしてデータを改竄、それに基づいて完了の旨虚偽報告を提出し、代金を詐取していた、というのものです。
本件で問題の工法による施工は、今回が初めてではなく、既に複数の実績があったとの事。という事はあれですよね。過去の例でも同様の隠蔽・虚偽報告がなされたのかは現時点で不明ですが、少なくとも入札参加前の段階である程度施工の可否というか薬剤注入の実行可能性は分かっていた筈で、であれば最初から出来ないものと知りながら提案・入札・落札し、施工・完了報告までやり通した、という話になるわけです。
何なんでしょう。あまりの情状酌量の余地のなさ加減に目眩がします。
既存の類似犯罪との比較で言えば、利用者の安全性を犠牲にして自社の利益を図ったという意味では旭化成の件と類似しており、従って前代未聞とまでは感じません。しかし本件は最初から代金詐取を目論んで事に臨んだ点からして、明らかな計画性が認められ、よって遥かに悪質性は高いものと言えるでしょう。その意味では東洋ゴムの件の方が近いと言えるかもしれません。目的が耐震性の確保である所も共通ですし。三菱自動車の件は、安全性について犠牲にしたわけではない、という点では異なりますが、確信性というか、悪意の明確さや計画性等の面ではやはり類似性が高いように思われるところです。こうして比較して見ると、それら過去の類似例の悪い所をかき集めたようにも感じられますね。
そんなわけで、企業犯罪ここに極まれり、とも言うべき酷い事件ですが、しかし近年頻発して来た類似例、そのあまりの多さに既に慣らされてしまったのか、取り立てて衝撃を受ける事はなく、むしろまたか、と思ってしまうわけです。しかしその事実、すなわち社会システムの基幹を担う部分ですら、もはやそれを維持するに欠くべからざる最低限の規律や倫理までもが失われ、しかもそれに衝撃を受ける事すらなくなってしまった、という現実には、改めて戦慄を覚えずにはいられません。まともに是正する気すら起こらないという事なのですから。
福島原発の件ですらあれなわけですし。もう法定刑を大幅に引き上げて見せしめも出し、やれば文字通り会社も人生も終わる、という状況を作り、かつ知らしめる事で抑止を図るしかないのではないでしょうか。経営者・担当も、関与しなかった事を証明出来なければまとめて全員5年以上の執行猶予なしの懲役刑とか。それ位しなければ、根絶はおろか抑制すら期待し得ないでしょう。事実、現状はいたちごっこにすらなっていないのですから。致命的なレベルの罰則が無ければ最低限の倫理すら保てない、というのはとても残念かつ遺憾な事ですけれども、それが現実というのなら是非もなし、です。
羽田滑走路耐震工事改ざん=東亜建設、社長辞任へ-薬液注入、予定の5%
[関連記事 [biz law] 懲りない三菱自動車、主力軽自動車の燃費改竄詐欺]
[関連記事 [biz law] VWディーゼル車に排気ガス適合試験での不正プログラム使用発覚]
[関連記事 [biz law] タカタ製エアバッグ全面リコール、責任逃れの果て]
[関連記事 [biz law] 東洋ゴム社製免震装置材料の性能評価偽装発覚に]
東亜建設工業による羽田空港C滑走路の施工不良隠蔽の件ですが、多くの人が似たような事を思ったのではないでしょうか。もっとも、後半部分はもうどうでもいい、だったかもしれませんが。
具体的な事の経緯は次の通り。羽田空港が埋め立て地につき地震時に懸念される液状化の防止策として2015年5月から2016年3月にかけて施工された(事になっている)補強工事について、それを請け負った同社が、自社開発の薬剤注入方式による施工に際し、工法の問題から予定量の5.4%の注入に留まり、ほぼ完全に失敗していたにも関わらず、予定通り全量注入に成功したものとしてデータを改竄、それに基づいて完了の旨虚偽報告を提出し、代金を詐取していた、というのものです。
本件で問題の工法による施工は、今回が初めてではなく、既に複数の実績があったとの事。という事はあれですよね。過去の例でも同様の隠蔽・虚偽報告がなされたのかは現時点で不明ですが、少なくとも入札参加前の段階である程度施工の可否というか薬剤注入の実行可能性は分かっていた筈で、であれば最初から出来ないものと知りながら提案・入札・落札し、施工・完了報告までやり通した、という話になるわけです。
何なんでしょう。あまりの情状酌量の余地のなさ加減に目眩がします。
既存の類似犯罪との比較で言えば、利用者の安全性を犠牲にして自社の利益を図ったという意味では旭化成の件と類似しており、従って前代未聞とまでは感じません。しかし本件は最初から代金詐取を目論んで事に臨んだ点からして、明らかな計画性が認められ、よって遥かに悪質性は高いものと言えるでしょう。その意味では東洋ゴムの件の方が近いと言えるかもしれません。目的が耐震性の確保である所も共通ですし。三菱自動車の件は、安全性について犠牲にしたわけではない、という点では異なりますが、確信性というか、悪意の明確さや計画性等の面ではやはり類似性が高いように思われるところです。こうして比較して見ると、それら過去の類似例の悪い所をかき集めたようにも感じられますね。
そんなわけで、企業犯罪ここに極まれり、とも言うべき酷い事件ですが、しかし近年頻発して来た類似例、そのあまりの多さに既に慣らされてしまったのか、取り立てて衝撃を受ける事はなく、むしろまたか、と思ってしまうわけです。しかしその事実、すなわち社会システムの基幹を担う部分ですら、もはやそれを維持するに欠くべからざる最低限の規律や倫理までもが失われ、しかもそれに衝撃を受ける事すらなくなってしまった、という現実には、改めて戦慄を覚えずにはいられません。まともに是正する気すら起こらないという事なのですから。
福島原発の件ですらあれなわけですし。もう法定刑を大幅に引き上げて見せしめも出し、やれば文字通り会社も人生も終わる、という状況を作り、かつ知らしめる事で抑止を図るしかないのではないでしょうか。経営者・担当も、関与しなかった事を証明出来なければまとめて全員5年以上の執行猶予なしの懲役刑とか。それ位しなければ、根絶はおろか抑制すら期待し得ないでしょう。事実、現状はいたちごっこにすらなっていないのですから。致命的なレベルの罰則が無ければ最低限の倫理すら保てない、というのはとても残念かつ遺憾な事ですけれども、それが現実というのなら是非もなし、です。
羽田滑走路耐震工事改ざん=東亜建設、社長辞任へ-薬液注入、予定の5%
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[note] Lubuntuはやはり軽くて良いけれど
16.04LTSのリリースからしばらくして、それに対応したLXDEによる軽量化環境のlubuntu-desktopもリリースされたので、久しぶりに使ってみました。対象はノートPC2台、内一台はクリーンインストールでもう一台は元々入れてあったUbuntu16.04LTS上でのモジュールのみの追加インストールからの切替です。
なお後者の切替元の環境はcairo-dockです。無駄に画面を占拠するUnityは論外として、cairo-dockは良く出来てると思うんですが、兎にも角にもリソースを食うのが欠点なのです。topで見ると四六時中CPUを使ってるんですよね。特に操作してるわけでもないのに、一体何をやってるのかと不思議に思うと共に、その無駄の多さにはいささか辟易とするところもあって。なのでもういい加減デスクトップ環境は何処も安定してる筈だし、と軽い方に心機一転切替えてみようかと思ったわけです。
インストール自体は特に言うこともありません。クリーンインストールはddでisoを書き込んだUSBメモリからインストーラーを起動して、指示に従い数十分で終了。切替えについても、端末から
> sudo apt install lubuntu-desktop
で入れて、再起動後にgdm等マネージャの環境選択リストから切り替えてログイン、で完了。特にトラブルらしいトラブルもありません。いい時代になったものです。
使ってみると、まず見た目はお世辞にも良いとは言えません。果てしなく古臭さを醸し出すバーのグラデーションとか、何故この色?このパターン?と首をひねる他ない壁紙とか、見た目は非常に時代遅れというかとても野暮ったいし、ウィンドウの挙動もスムーズとは言い難く、スタイリッシュさとかデザイン性の面での配慮は欠片も感じさせません。私がLubuntu環境を使うのはもう何年も前にLooxUに試しに入れた時以来ですけれども、全く進歩が見られないのは感心すべきか呆れるべきか。とりあえず、themeをデフォルトのOnyxからNaturaに変更しました。
しかし、肝心な部分、すなわちデスクトップ環境としての動作・機能は問題ないし、確かに軽い。メモリ消費は最小限です。cairo-dockのように裏でこっそり大量のリソースを消費するプロセスも見当たりません。これはやはりとても良いですね。というより、単なるランチャーの癖に気がつくとGbytes単位でメモリを消費しているcairo-dockがおかしいって話なんでしょうけれども。
とはいえ環境内には問題も色々と見られます。見た目が今一つなのはいいとして、端末のフォントとその色がデフォルトでは極めて見づらいのは頂けません。即はっきりした等幅フォントかつ輝度の高い白色に変更して解決しましたが、何故あのような設定なのか全く以って解せないわけです。
ログイン時の各種常駐プログラムの自動起動設定も、 設定用のGUIが無く、手動で~/.config/autostart以下等をいじる必要があったのも面倒でした。切替の場合だと元々autostartフォルダがあったので、その中の.desktopファイルの取捨選別をしたわけですけれども、これがクリーンインストールの場合だとautostartフォルダ自体が存在しないため、それを作成する所から始める必要があったのも頂けません。~/.config/lxsession/LXDE/autostart等、別途設定項目もあって、優先順位とかどうなっているのかも今ひとつ不明ですし。
また、明らかな不具合もありました。 一定時間非使用時のセッションロックに関連して、ディスプレイがオフの状態から復帰する際に時々マウスカーソルが消える不具合があり、ならばとロックを無効に設定変更すべく設定ツール(light-locker-settings)を起動しようとすると、これが起動しません。
調べてみるとこれもバグで、下記の通りlaunchpadにも報告が上がっていました。
light-locker-settings does not start
上記報告中のパッチ情報に従って、下記の通りスクリプトの219行目と234行目を修正する事で解決、設定ツールが起動可能になりましたが、ちょっとあり得ないバグだと思います。何故にこんな事が起こるんでしょうね?
<セッションロック設定ツール所在>
/usr/share/light-locker-settings/light-locker-settings/light-locker-settings.py
<セッションロック設定ツール修正箇所・修正内容>
219,234行目をそれぞれ下記の通り修正
(元) for pid in psutil.get_pid_list():
(修正後) for pid in psutil.pids():
他にも、私が常用しているランチャーのlaunchyについて、ログイン直後は普通に使えるのに、しばらく時間が経つと使えなくなる(プロセスは生きているが、ショートカットを押してもウィンドウが表示されない)という不具合もありました。autostart回りを色々と整理した所、それなりにマシになったようではあるのですが、なくなったわけではないし、原因も今ひとつはっきりしません。なんとも気持ち悪いのです。何処かのプロセスがショートカットを横取りするのかと思うんですが、何故そうなるのやら。
他にも色々と。それらを一つ一つ潰す手間はかかりますが、それを一通り終えてからの使用感は非常に良いと思います。 余計な事をしていないからか、安定性は非常に高いですし、やはり軽いは正義です。
とまあ、総じてやはりそれなりに自分で設定やworkaroundが出来る人でないと使えそうな気がしない不親切な環境ではありますけれども、とにかくリソースの最適化をしたいという向きには必要十分ではあるのでしょう。いい環境なんですけどね。ともあれ、もうしばらく使ってみて、問題なければ他のPCも切替えてしまおうかと思った次第です。というわけで今回はこれでおしまい。
[関連記事 [note] Ubuntu16.04LTS導入]
なお後者の切替元の環境はcairo-dockです。無駄に画面を占拠するUnityは論外として、cairo-dockは良く出来てると思うんですが、兎にも角にもリソースを食うのが欠点なのです。topで見ると四六時中CPUを使ってるんですよね。特に操作してるわけでもないのに、一体何をやってるのかと不思議に思うと共に、その無駄の多さにはいささか辟易とするところもあって。なのでもういい加減デスクトップ環境は何処も安定してる筈だし、と軽い方に心機一転切替えてみようかと思ったわけです。
インストール自体は特に言うこともありません。クリーンインストールはddでisoを書き込んだUSBメモリからインストーラーを起動して、指示に従い数十分で終了。切替えについても、端末から
> sudo apt install lubuntu-desktop
で入れて、再起動後にgdm等マネージャの環境選択リストから切り替えてログイン、で完了。特にトラブルらしいトラブルもありません。いい時代になったものです。
使ってみると、まず見た目はお世辞にも良いとは言えません。果てしなく古臭さを醸し出すバーのグラデーションとか、何故この色?このパターン?と首をひねる他ない壁紙とか、見た目は非常に時代遅れというかとても野暮ったいし、ウィンドウの挙動もスムーズとは言い難く、スタイリッシュさとかデザイン性の面での配慮は欠片も感じさせません。私がLubuntu環境を使うのはもう何年も前にLooxUに試しに入れた時以来ですけれども、全く進歩が見られないのは感心すべきか呆れるべきか。とりあえず、themeをデフォルトのOnyxからNaturaに変更しました。
しかし、肝心な部分、すなわちデスクトップ環境としての動作・機能は問題ないし、確かに軽い。メモリ消費は最小限です。cairo-dockのように裏でこっそり大量のリソースを消費するプロセスも見当たりません。これはやはりとても良いですね。というより、単なるランチャーの癖に気がつくとGbytes単位でメモリを消費しているcairo-dockがおかしいって話なんでしょうけれども。
とはいえ環境内には問題も色々と見られます。見た目が今一つなのはいいとして、端末のフォントとその色がデフォルトでは極めて見づらいのは頂けません。即はっきりした等幅フォントかつ輝度の高い白色に変更して解決しましたが、何故あのような設定なのか全く以って解せないわけです。
ログイン時の各種常駐プログラムの自動起動設定も、 設定用のGUIが無く、手動で~/.config/autostart以下等をいじる必要があったのも面倒でした。切替の場合だと元々autostartフォルダがあったので、その中の.desktopファイルの取捨選別をしたわけですけれども、これがクリーンインストールの場合だとautostartフォルダ自体が存在しないため、それを作成する所から始める必要があったのも頂けません。~/.config/lxsession/LXDE/autostart等、別途設定項目もあって、優先順位とかどうなっているのかも今ひとつ不明ですし。
また、明らかな不具合もありました。 一定時間非使用時のセッションロックに関連して、ディスプレイがオフの状態から復帰する際に時々マウスカーソルが消える不具合があり、ならばとロックを無効に設定変更すべく設定ツール(light-locker-settings)を起動しようとすると、これが起動しません。
調べてみるとこれもバグで、下記の通りlaunchpadにも報告が上がっていました。
light-locker-settings does not start
上記報告中のパッチ情報に従って、下記の通りスクリプトの219行目と234行目を修正する事で解決、設定ツールが起動可能になりましたが、ちょっとあり得ないバグだと思います。何故にこんな事が起こるんでしょうね?
<セッションロック設定ツール所在>
/usr/share/light-locker-settings/light-locker-settings/light-locker-settings.py
<セッションロック設定ツール修正箇所・修正内容>
219,234行目をそれぞれ下記の通り修正
(元) for pid in psutil.get_pid_list():
(修正後) for pid in psutil.pids():
他にも、私が常用しているランチャーのlaunchyについて、ログイン直後は普通に使えるのに、しばらく時間が経つと使えなくなる(プロセスは生きているが、ショートカットを押してもウィンドウが表示されない)という不具合もありました。autostart回りを色々と整理した所、それなりにマシになったようではあるのですが、なくなったわけではないし、原因も今ひとつはっきりしません。なんとも気持ち悪いのです。何処かのプロセスがショートカットを横取りするのかと思うんですが、何故そうなるのやら。
他にも色々と。それらを一つ一つ潰す手間はかかりますが、それを一通り終えてからの使用感は非常に良いと思います。 余計な事をしていないからか、安定性は非常に高いですし、やはり軽いは正義です。
とまあ、総じてやはりそれなりに自分で設定やworkaroundが出来る人でないと使えそうな気がしない不親切な環境ではありますけれども、とにかくリソースの最適化をしたいという向きには必要十分ではあるのでしょう。いい環境なんですけどね。ともあれ、もうしばらく使ってみて、問題なければ他のPCも切替えてしまおうかと思った次第です。というわけで今回はこれでおしまい。
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4/27/2016
[biz law] 25年不正を隠蔽し果せた戦慄すべき三菱自の組織力と、混沌とする先行きについて
三菱自動車の燃費等不正の件、流石に戦慄が走りました。
次々と明るみに出る不正行為の数々、その規模も凄いしそれぞれの態様も驚くべきものですが、特に恐ろしいのはその不正を行っていたとされる期間の長さです。その開始は1991年、およそ25年も前から、というのを見た時には目を疑いました。え、本当に?と。
このあまりに長い期間の中には、件のリコール隠しの時期も当然に含んでいるわけですから、あの犯行が露見した後、二度と欺かないと誓いつつ謝罪し、再生を謳って販売回復に奔走する裏で実際にはユーザは無論、当局をも含めおよそ自社以外の全てを欺く詐欺が続けられていた事になるわけです。あれだけの全方位的な非難に晒され、調査や取材等が殺到し、組織の内実を明らかにすべく多くの外部の目が注がれ続け、当局の捜索も受けておきながら、本件のような大規模な不正の情報を漏らさず、最終的に日産から追求を受けるまで隠しおおせたという事実、そこに透けて見える組織の自己防衛の不自然なまでの完璧さには、空恐ろしいものを感じずにはいられません。
本件は開発目標の達成に直結する部分での不正なのだから、開発の最初から最後まで、進捗のあらゆる段階で確認が行われるべきものである以上、少なくとも開発部門と検証部門が関わらなかったわけはないし、少なくない人数が直接間接に関与しただろう点に疑いを入れる余地はないように思われるところです。そして、それらの部門で、20年以上もの間、人の入れ替わりがなかった、などという事もまたあり得ません。普通に出入りはあったでしょうし、組織の再編も頻繁に行われた筈だし、無論退社・転社した者も相当にいる筈ですから、通常ならその過程で情報が漏れそうなものです。しかし、そのおよそ全てが本件を秘匿し続けた事になるわけで。そんな事が現実に可能であるとは、それが事実として突き付けられた今でさえ信じがたく思われてなりません。そこは日本を代表する企業の筆頭たる三菱、その並外れた組織力と忠誠心のなせる業という事なのでしょうか。だとしても、こんな形でそれを実感する事になろうとは露ほども思いませんでした。最悪です。
しかしこれで三菱自動車がこれからどうなるのか、さらに見通せなくなりました。本件不正が20年以上前から続いていたという事は、事実上現存するほぼ全ての三菱自動車製の車両について賠償等の責任が発生するという事でもあるわけです。法的には半分以上が時効になっている、とは言っても、過失ではなく完全な悪意による犯行である点からすれば、法律を盾にしたところで顧客に対しては無意味、最低限補償なくして被害者たるユーザが戻る筈もなく、さもなくば今後の事業継続がより困難になるだろうわけで。結局のところ補償しなければ立ち行かない話のように思われるわけです。
本件への補償を特に困難なものにしているのは、不正が燃費に関する詐欺であり、すなわち取得時点のみならず、日々の運行につき継続的に損害が発生する性質のものであるために、当然に膨大になるその被害の範囲です。一例を挙げると、一時的に借りて使用したに過ぎない利用者も燃料費について損害を被っている以上、補償すべき対象に含まれるわけです。額の多寡は兎も角として。
取得時の不当に高価な評価額による損失についても、現在のオーナーがその補償すべき対象に含まれる事は当然として、価格の評価に燃費がどの程度影響したかは個別の事例毎に異なるでしょうから、その評価にも困難が生じます。さらに、当然譲渡がくり返されたケースは多々あるでしょうし、所有者の追跡すら困難な事も少なくないでしょう。
要するに、誰にどういう形で賠償するのか、すればいいのか、補償の相手を判別する事すら極めて困難になっているわけです。理論的には、全ての所有者と利用者について、個別にその取得・利用の態様と保有・利用の期間や頻度等に応じて個別に算定された相当の補償がなされるべきところですが、言うまでもなく現実的には困難もしくは不可能な場合も少なくないでしょう。それでも個別の訴えがあれば裁判所はそのように対処するでしょうけれども、何しろ数が多すぎるわけで、その全てを訴訟により処理する事は司法システムの容量的に不可能ですから、大半は当事者間の和解により解決を期す事になるでしょうが、それも何処まで可能かは見通せません。
しかも、仮にその膨大な補償の実行が可能だとしても、今後の三菱自の事業継続の可否はまた別の話なのであって。とりわけリコール隠し以降の主たる販売経路だった日産が、今後もOEM取引を継続する可能性は無きに等しい以上、売上の大部分が消える事に変わりはないし、同時にユーザの大半が決定的に離反してしまう事実は致命的としか言いようがありません。法的にも致命的な障害を抱え、そもそも製品の生産・販売を行う事自体が困難です。率直に言って事業が成立しません。状況を客観的に見れば、継続は困難というより不能と言い切って良いところでしょう。
おそらく今後三菱自がとり得る選択肢は2通り。一つは三菱グループの支援を受けて抜本的な再生を目指す道。三菱グループにはそれだけの力はある筈です。ただ、直近でグループの主要3社、特に商事が資源安から巨額損失を出し、重工も船舶・航空で不手際から少なくない損失を出している状態ですから、あまり楽観は出来ないだろうところです。銀行は余力十分ですが、問題の性質からして銀行主導で立て直しが可能なものか疑義がつくところでしょう。
この点、再建の前提として、三菱自が競合他社と同等の製品開発を可能な所まで開発レベルを引き上げななければ話にならないわけですが、そもそもそれが可能なら元々こんな状況にはなっていなかった筈で、その達成に必要な資本や時間を云々する以前に、その可能性というか、実現方法の見通しすら立っていないのです。三菱自の事業状況は、本件発覚によるマイナスがなくとも、製品開発の段階で競合に決定的に敗北しており、元々の生産規模の小ささも相俟って、本来的に退場を余儀なくされるだろうケースにあたります。その立て直しには、多額の人的物的なリソース・資本の追加投入が当然に必要なわけです。当面の資金さえあればどうにかなる性質のものではあり得ませんし、まして組織の隠蔽体質の改善云々は製品競争力の回復には関係ありません。そこに本件。信用がマイナスに振り切れているというのも、本来ならそれだけで致命的な話な筈ですし、常識的にはもう資産を切り売りして清算する以外の選択肢は無いように見えるところですが、それでも三菱は見捨てず、その資本力で立て直そうとするのでしょうか。一部にはそういったグループ幹部の意向も伝えられていますが、いささか正気を疑わざるを得ないところです。さて。
もう一つの選択肢は、既に触れたように、大人しく独立での事業継続を諦め、身売りもしくは資産切り売りのち会社自身は清算し、自主営業を廃する方向へ進む道です。こちらは残る大きな問題は補償だけで、再建とは比べるべくもなく現実性は遥かに上です。ただ、関連会社を含め、多数の失業者が出るのが社会的には問題になるでしょう。とはいえ、人不足の折ですから、より好みをしなければ大半はどうにでもなるでしょうか。まあ、そこで三菱のプライドが邪魔するかもしれませんが。。。三菱重工あたりに転籍するケースもありそうですが、全員が出来る筈もなし、却って不公平感が強まりそうです。あと、工場を処分するにあたっては、軽自動車が日本国内特化規格である事から、プラットフォームの共通化が普及している他社には獲得しづらい案件であろう点は問題になるでしょうか。日産等が開発部隊の一部と一緒に取得して軽専用の開発ラインを立ち上げるという案もないではないでしょうけれども、やはり軽が国内限定である事と、それによる売上規模の小ささがネックになって揉めるでしょう。だからこそこれまでOEMで調達してきたのですしね。
いやもう、無茶苦茶過ぎて整理しようにもキリも付かず、逆にどうなるのか興味も尽きない本件ですが、とりあえずはそんな感じで、引き続きウォッチさせて頂こうと思うのです。ここまで来ると、追加で何が出てきてもおかしくないですしね。ともあれ、因果応報になるのならそれでよし、というか相応に報いがないと流石に社会的にまずいんでしょうけど。
----その後追記
さほど日を置かず行き先が決まったようです。三菱グループからは見捨てられ、あえなく日産傘下に。このような腐りきった会社を取り込もうとする日産の思惑には色々と疑問を覚えずにはいられませんが、このまま三菱自は消える運びになったという事でしょうか。
[続き記事 [biz] 日産はどうして三菱自の救済に動いたのだろうか]
[前記事 [biz law] 三菱自、主力車種ほぼ全滅]
[前々記事 [biz law] 懲りない三菱自動車、主力軽自動車の燃費改竄詐欺]
次々と明るみに出る不正行為の数々、その規模も凄いしそれぞれの態様も驚くべきものですが、特に恐ろしいのはその不正を行っていたとされる期間の長さです。その開始は1991年、およそ25年も前から、というのを見た時には目を疑いました。え、本当に?と。
このあまりに長い期間の中には、件のリコール隠しの時期も当然に含んでいるわけですから、あの犯行が露見した後、二度と欺かないと誓いつつ謝罪し、再生を謳って販売回復に奔走する裏で実際にはユーザは無論、当局をも含めおよそ自社以外の全てを欺く詐欺が続けられていた事になるわけです。あれだけの全方位的な非難に晒され、調査や取材等が殺到し、組織の内実を明らかにすべく多くの外部の目が注がれ続け、当局の捜索も受けておきながら、本件のような大規模な不正の情報を漏らさず、最終的に日産から追求を受けるまで隠しおおせたという事実、そこに透けて見える組織の自己防衛の不自然なまでの完璧さには、空恐ろしいものを感じずにはいられません。
本件は開発目標の達成に直結する部分での不正なのだから、開発の最初から最後まで、進捗のあらゆる段階で確認が行われるべきものである以上、少なくとも開発部門と検証部門が関わらなかったわけはないし、少なくない人数が直接間接に関与しただろう点に疑いを入れる余地はないように思われるところです。そして、それらの部門で、20年以上もの間、人の入れ替わりがなかった、などという事もまたあり得ません。普通に出入りはあったでしょうし、組織の再編も頻繁に行われた筈だし、無論退社・転社した者も相当にいる筈ですから、通常ならその過程で情報が漏れそうなものです。しかし、そのおよそ全てが本件を秘匿し続けた事になるわけで。そんな事が現実に可能であるとは、それが事実として突き付けられた今でさえ信じがたく思われてなりません。そこは日本を代表する企業の筆頭たる三菱、その並外れた組織力と忠誠心のなせる業という事なのでしょうか。だとしても、こんな形でそれを実感する事になろうとは露ほども思いませんでした。最悪です。
しかしこれで三菱自動車がこれからどうなるのか、さらに見通せなくなりました。本件不正が20年以上前から続いていたという事は、事実上現存するほぼ全ての三菱自動車製の車両について賠償等の責任が発生するという事でもあるわけです。法的には半分以上が時効になっている、とは言っても、過失ではなく完全な悪意による犯行である点からすれば、法律を盾にしたところで顧客に対しては無意味、最低限補償なくして被害者たるユーザが戻る筈もなく、さもなくば今後の事業継続がより困難になるだろうわけで。結局のところ補償しなければ立ち行かない話のように思われるわけです。
本件への補償を特に困難なものにしているのは、不正が燃費に関する詐欺であり、すなわち取得時点のみならず、日々の運行につき継続的に損害が発生する性質のものであるために、当然に膨大になるその被害の範囲です。一例を挙げると、一時的に借りて使用したに過ぎない利用者も燃料費について損害を被っている以上、補償すべき対象に含まれるわけです。額の多寡は兎も角として。
取得時の不当に高価な評価額による損失についても、現在のオーナーがその補償すべき対象に含まれる事は当然として、価格の評価に燃費がどの程度影響したかは個別の事例毎に異なるでしょうから、その評価にも困難が生じます。さらに、当然譲渡がくり返されたケースは多々あるでしょうし、所有者の追跡すら困難な事も少なくないでしょう。
要するに、誰にどういう形で賠償するのか、すればいいのか、補償の相手を判別する事すら極めて困難になっているわけです。理論的には、全ての所有者と利用者について、個別にその取得・利用の態様と保有・利用の期間や頻度等に応じて個別に算定された相当の補償がなされるべきところですが、言うまでもなく現実的には困難もしくは不可能な場合も少なくないでしょう。それでも個別の訴えがあれば裁判所はそのように対処するでしょうけれども、何しろ数が多すぎるわけで、その全てを訴訟により処理する事は司法システムの容量的に不可能ですから、大半は当事者間の和解により解決を期す事になるでしょうが、それも何処まで可能かは見通せません。
しかも、仮にその膨大な補償の実行が可能だとしても、今後の三菱自の事業継続の可否はまた別の話なのであって。とりわけリコール隠し以降の主たる販売経路だった日産が、今後もOEM取引を継続する可能性は無きに等しい以上、売上の大部分が消える事に変わりはないし、同時にユーザの大半が決定的に離反してしまう事実は致命的としか言いようがありません。法的にも致命的な障害を抱え、そもそも製品の生産・販売を行う事自体が困難です。率直に言って事業が成立しません。状況を客観的に見れば、継続は困難というより不能と言い切って良いところでしょう。
おそらく今後三菱自がとり得る選択肢は2通り。一つは三菱グループの支援を受けて抜本的な再生を目指す道。三菱グループにはそれだけの力はある筈です。ただ、直近でグループの主要3社、特に商事が資源安から巨額損失を出し、重工も船舶・航空で不手際から少なくない損失を出している状態ですから、あまり楽観は出来ないだろうところです。銀行は余力十分ですが、問題の性質からして銀行主導で立て直しが可能なものか疑義がつくところでしょう。
この点、再建の前提として、三菱自が競合他社と同等の製品開発を可能な所まで開発レベルを引き上げななければ話にならないわけですが、そもそもそれが可能なら元々こんな状況にはなっていなかった筈で、その達成に必要な資本や時間を云々する以前に、その可能性というか、実現方法の見通しすら立っていないのです。三菱自の事業状況は、本件発覚によるマイナスがなくとも、製品開発の段階で競合に決定的に敗北しており、元々の生産規模の小ささも相俟って、本来的に退場を余儀なくされるだろうケースにあたります。その立て直しには、多額の人的物的なリソース・資本の追加投入が当然に必要なわけです。当面の資金さえあればどうにかなる性質のものではあり得ませんし、まして組織の隠蔽体質の改善云々は製品競争力の回復には関係ありません。そこに本件。信用がマイナスに振り切れているというのも、本来ならそれだけで致命的な話な筈ですし、常識的にはもう資産を切り売りして清算する以外の選択肢は無いように見えるところですが、それでも三菱は見捨てず、その資本力で立て直そうとするのでしょうか。一部にはそういったグループ幹部の意向も伝えられていますが、いささか正気を疑わざるを得ないところです。さて。
もう一つの選択肢は、既に触れたように、大人しく独立での事業継続を諦め、身売りもしくは資産切り売りのち会社自身は清算し、自主営業を廃する方向へ進む道です。こちらは残る大きな問題は補償だけで、再建とは比べるべくもなく現実性は遥かに上です。ただ、関連会社を含め、多数の失業者が出るのが社会的には問題になるでしょう。とはいえ、人不足の折ですから、より好みをしなければ大半はどうにでもなるでしょうか。まあ、そこで三菱のプライドが邪魔するかもしれませんが。。。三菱重工あたりに転籍するケースもありそうですが、全員が出来る筈もなし、却って不公平感が強まりそうです。あと、工場を処分するにあたっては、軽自動車が日本国内特化規格である事から、プラットフォームの共通化が普及している他社には獲得しづらい案件であろう点は問題になるでしょうか。日産等が開発部隊の一部と一緒に取得して軽専用の開発ラインを立ち上げるという案もないではないでしょうけれども、やはり軽が国内限定である事と、それによる売上規模の小ささがネックになって揉めるでしょう。だからこそこれまでOEMで調達してきたのですしね。
いやもう、無茶苦茶過ぎて整理しようにもキリも付かず、逆にどうなるのか興味も尽きない本件ですが、とりあえずはそんな感じで、引き続きウォッチさせて頂こうと思うのです。ここまで来ると、追加で何が出てきてもおかしくないですしね。ともあれ、因果応報になるのならそれでよし、というか相応に報いがないと流石に社会的にまずいんでしょうけど。
----その後追記
さほど日を置かず行き先が決まったようです。三菱グループからは見捨てられ、あえなく日産傘下に。このような腐りきった会社を取り込もうとする日産の思惑には色々と疑問を覚えずにはいられませんが、このまま三菱自は消える運びになったという事でしょうか。
[続き記事 [biz] 日産はどうして三菱自の救済に動いたのだろうか]
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4/25/2016
[pol] 批判票を集めても届かない、野党の虚しい現実
前職死去に伴う衆議院北海道5区の補選が終わりました。本選挙はこのところの政治を巡る諸々の変化を反映するものとして注目されていましたが、期待通りというか、やはりその結果は中々に興味深いものであったようです。
前提として、前職が大物議員だった事もあり、当然ながら地域の地盤面ではその後継者として擁立された与党候補が圧倒的に有利でした。ただ新人ではあるので、コア層以外の支持は得られておらず、とりわけ無党派層の動向に現状のマクロな情勢を反映する余地があり、その結果は現状の、特に夏の参院選についての指標になるものと言われていたわけです。
その変動に影響する要因としては、政策面では
・安保法施行、及び政権の改憲(9条廃止)推進姿勢の鮮明化
・TPP(特に北海道につき)の推進と大臣更迭に伴う頓挫
・経済指標の悪化及びマイナス金利等金融政策、
またそれに伴う運用難からの年金等社会保障の破綻懸念
・消費税増税
等、主に経済面の政策とその結果への賛否等の評価が挙げられ、政府・政党自体については、
・甘利前大臣を筆頭とした政府・与党側の不祥事とその自己弁護
・山尾衆院議員ら野党側の不祥事とその自己弁護
・民主党と維新の合併・共産党の選挙協力による批判受け皿の一本化
等、主たるものだけでも色々とあって、与党候補・野党候補への支持・不支持が差し引きどのようになるかは極めて読みづらい状態だったわけです。強いて言えば、金融政策への批判の程度が一番の争点であっただろうとは言えるでしょうか。
結果から言えば、僅差での与党側候補の勝利に終わりました。報道によれば、各党の支持層はほぼ崩れる事はなく、注目の無党派層は野党候補への支持が大勢を占めたようです。投票率は低くはなく、60%弱。この結果をどう解釈すべきか。
無党派層での与党への支持が明らかに少数だった点からすれば、政策等への批判は相当にあるものと言えるでしょうし、野党の選挙協力による受け皿一本化の効果も有意にあったものと見て良さそうです。ただ、そもそもここ数年で拡大していた与党と野党の支持基盤の規模の差を埋める程ではなかった、とそのように解釈し得るでしょう。
そのような傾向が他の地域にも通じると仮定すれば、都市圏等の流動性の高い地域では、野党候補が逆転する可能性は以前より高まっていると推測出来るだろうし、逆に流動性の低い地域では批判票は増えても及ばず、結局のところ与党側が勝利する傾向が強くなるものと予想されます。今回の北海道が農業セクターが強く、従ってTPP絡みで批判が強い地域であったにも関わらず与党側が勝利した点を重視すれば、流動的な部分での逆転の可能性は高まったとは言っても、平均的にはまださらに弱いと考えるべきかもしれません。総合すれば、以前ほど圧倒的ではないものの、全体的には与党側が優勢と考えるのが妥当なところでしょうか。
一言で言えば、批判は相当に強いけれども、野党は基本的な支持地盤自体が貧弱で過半の支持には大半の地域で届かない、と言えそうです。その要因は、無論民主党の政権時代の致命的な失敗が大元の原因だろう事は明らかです。また直近では、完全に黒と見做されている中、誰もが反感を覚えるだろう詭弁と強弁を弄し続ける山尾衆院議員を処分せず、それどころか今回の選挙戦も含め看板として晒し続けた事も相当に影響したでしょう。あれでは支持の獲得など期待しようもないところです。
言うまでもなく本番は次の参院選ですが、既に固定されたと言っていいだろう野党への不信・嫌悪はもはや回復不能と言うべき程であって、おそらく参院選までに野党側に打てる、この状況を改善し得る手立ては殆どないでしょう。ただ、批判票を集められるよう、障害を除いておく位がせいぜいです。といっても元々それが基本な筈なのですが、それが出来ていないからこその現状なわけです。少なくとも、山尾氏のような例を抱えている内は変わりようがないでしょう。せめてその辺位は処理して臨むのか、それともこのまま、そこそこ批判の受け皿になるに留まり玉砕するのか。どう転ぶにしても経済等の改善が期待出来るわけではないのですけれども、悪化を緩和する可能性はあるわけだし、せめて見える部分だけでも見苦しくないよう取り繕う位はして頂きたく願う次第なのです。
一方その陰で旧維新の大阪部門はひっそりと爆死しました。目的も組織も名前からしても大阪の地域内に特化した政党が、大阪の外で、しかも唯一の売りだった看板もなく、政党としての存在意義も既に乏しく、聞くに耐えない暴言を吐く所属議員だけが顔になっている現状を以って臨んだというのだから、むしろ当然の結果なんでしょうけど。というかそもそも何の勝算があって他所の選挙に出てきたのか謎です。協力関係を強める他の野党連とも競合し、足を引っ張る位しか出来ない事は明らかなのだから、潔く諦めた方が良さそうなものですけど、そんな空気を読む能力すらもうないのかもしれません。残念な話です。
前提として、前職が大物議員だった事もあり、当然ながら地域の地盤面ではその後継者として擁立された与党候補が圧倒的に有利でした。ただ新人ではあるので、コア層以外の支持は得られておらず、とりわけ無党派層の動向に現状のマクロな情勢を反映する余地があり、その結果は現状の、特に夏の参院選についての指標になるものと言われていたわけです。
その変動に影響する要因としては、政策面では
・安保法施行、及び政権の改憲(9条廃止)推進姿勢の鮮明化
・TPP(特に北海道につき)の推進と大臣更迭に伴う頓挫
・経済指標の悪化及びマイナス金利等金融政策、
またそれに伴う運用難からの年金等社会保障の破綻懸念
・消費税増税
等、主に経済面の政策とその結果への賛否等の評価が挙げられ、政府・政党自体については、
・甘利前大臣を筆頭とした政府・与党側の不祥事とその自己弁護
・山尾衆院議員ら野党側の不祥事とその自己弁護
・民主党と維新の合併・共産党の選挙協力による批判受け皿の一本化
等、主たるものだけでも色々とあって、与党候補・野党候補への支持・不支持が差し引きどのようになるかは極めて読みづらい状態だったわけです。強いて言えば、金融政策への批判の程度が一番の争点であっただろうとは言えるでしょうか。
結果から言えば、僅差での与党側候補の勝利に終わりました。報道によれば、各党の支持層はほぼ崩れる事はなく、注目の無党派層は野党候補への支持が大勢を占めたようです。投票率は低くはなく、60%弱。この結果をどう解釈すべきか。
無党派層での与党への支持が明らかに少数だった点からすれば、政策等への批判は相当にあるものと言えるでしょうし、野党の選挙協力による受け皿一本化の効果も有意にあったものと見て良さそうです。ただ、そもそもここ数年で拡大していた与党と野党の支持基盤の規模の差を埋める程ではなかった、とそのように解釈し得るでしょう。
そのような傾向が他の地域にも通じると仮定すれば、都市圏等の流動性の高い地域では、野党候補が逆転する可能性は以前より高まっていると推測出来るだろうし、逆に流動性の低い地域では批判票は増えても及ばず、結局のところ与党側が勝利する傾向が強くなるものと予想されます。今回の北海道が農業セクターが強く、従ってTPP絡みで批判が強い地域であったにも関わらず与党側が勝利した点を重視すれば、流動的な部分での逆転の可能性は高まったとは言っても、平均的にはまださらに弱いと考えるべきかもしれません。総合すれば、以前ほど圧倒的ではないものの、全体的には与党側が優勢と考えるのが妥当なところでしょうか。
一言で言えば、批判は相当に強いけれども、野党は基本的な支持地盤自体が貧弱で過半の支持には大半の地域で届かない、と言えそうです。その要因は、無論民主党の政権時代の致命的な失敗が大元の原因だろう事は明らかです。また直近では、完全に黒と見做されている中、誰もが反感を覚えるだろう詭弁と強弁を弄し続ける山尾衆院議員を処分せず、それどころか今回の選挙戦も含め看板として晒し続けた事も相当に影響したでしょう。あれでは支持の獲得など期待しようもないところです。
言うまでもなく本番は次の参院選ですが、既に固定されたと言っていいだろう野党への不信・嫌悪はもはや回復不能と言うべき程であって、おそらく参院選までに野党側に打てる、この状況を改善し得る手立ては殆どないでしょう。ただ、批判票を集められるよう、障害を除いておく位がせいぜいです。といっても元々それが基本な筈なのですが、それが出来ていないからこその現状なわけです。少なくとも、山尾氏のような例を抱えている内は変わりようがないでしょう。せめてその辺位は処理して臨むのか、それともこのまま、そこそこ批判の受け皿になるに留まり玉砕するのか。どう転ぶにしても経済等の改善が期待出来るわけではないのですけれども、悪化を緩和する可能性はあるわけだし、せめて見える部分だけでも見苦しくないよう取り繕う位はして頂きたく願う次第なのです。
一方その陰で旧維新の大阪部門はひっそりと爆死しました。目的も組織も名前からしても大阪の地域内に特化した政党が、大阪の外で、しかも唯一の売りだった看板もなく、政党としての存在意義も既に乏しく、聞くに耐えない暴言を吐く所属議員だけが顔になっている現状を以って臨んだというのだから、むしろ当然の結果なんでしょうけど。というかそもそも何の勝算があって他所の選挙に出てきたのか謎です。協力関係を強める他の野党連とも競合し、足を引っ張る位しか出来ない事は明らかなのだから、潔く諦めた方が良さそうなものですけど、そんな空気を読む能力すらもうないのかもしれません。残念な話です。
4/22/2016
[note] Ubuntu16.04LTS導入
またこの季節がやって来ました。半年に一度のUbuntuバージョンアップ、今回は2年ぶりのLTS版となる16.04LTSです。コードネームはXenial Xerus、饗応のリスさんです。意味不明なのは相変わらずではあるものの、ここ最近の明らかにファンタジーに遊んでいた例と比べると格段にわかりやすい方でしょうか。LTS版だから?前は信頼のおけるヤギさんでしたしね。
なお、LTS版という事で、14.04LTSから久しぶりにアップグレードを検討する向きも多いかと思われますが、14.04LTSから16.04LTSへの直接のアップグレードは可能になる旨予定されてはいるものの、現時点ではまだ実行不可な事に注意が必要です。リリースノートによると当該LTS間のアップグレードパスは3ヶ月後、7月にリリース予定の16.04.1で可能になる予定なんだそうで。
サポートを謳う以上、アップグレードに伴う諸々のバグや問題を十分に潰してからにしたいという事なんでしょう。特にLTS間に限れば2年も開いていますし、差分を引き継げるようにするのも大変なんでしょう。一応、14.10,15.04,15.10と逐次アップグレードをすれば当然今からでも上げられるのですが、手間もかかるしリスクも大きいしで、余程の理由がない限り避けたほうが無難でしょうね。
これに伴い、私の所にも一台14.04LTSがあるのですが、当然それのアップグレードはしばらくお預けとなりました。もっともLTS版は安定が命だし、14.04LTSのサポートもまだ十分残っているので、特に問題もないのですけれども。update managerを立ち上げて、14.04LTSだけ何時まで待っても始まらないのには少し気持ち悪さと不安を感じた次第です。Release Noteはよく読むべきでした、と反省しきり。
一方、15.10からのアップグレードはいつもの通りです。update managerの設定で、"Ubuntuの新バージョンの通知"を"すべての新バージョン"に設定して、アップグレード可能な旨ポップアップ表示されたら適用するだけ。サーバ・クライアント含め4台程アップグレードしましたが、それぞれ一時間前後で完了し、特に大きな問題はなし。不要になったパッケージにpython関連がごっそり載っているのに少し驚いた(pythonのバージョンが2から3に変わったため)のと、何故か存在しない設定ファイルを置換する旨警告が出て差分も空白というのがあって理解に苦しんだものの置き換えを選択しても特に問題は無い様子だったのに戸惑ったり、Braseroとか幾つか標準アプリにリストラがあって驚きはしましたけれども、その程度です。
gtk等GUI周りも特に大きな問題はなく、概ね良好。ただ、一部挙動が変わっているところも。特にIME周り。私はfcitx-mozcを使っていて、全角/半角キーでOn/Offを切替える設定にしているのですけれども、GUI版のemacsで以前は特に設定せずとも他のアプリと同様に切替出来ていたのが、デフォルトでは出来なくなっていました。切り替わりません。仕方なく暫定的にemacs-mozcを入れた上で.emacsを編集してfcitxを経由せずにmozcを使う設定にする事で日本語入力可能にしていますが、一々ウィンドウ内部に候補表示を割り込ませたりするせいかレスポンスが今ひとつで、誤入力が頻発するのが気に入りません。なので以前と同じようにする方法を探しているのですが、それは今の所まだ不明。うーん困った。使えなくはないんですけどね。emacs以外はアップグレード前と変わりないのだから、emacs側の問題だとは思うんですが。(追記:これは勘違いで、IM側の問題だったようです)
ともあれ。見た目とか微妙に変化はありますが、挙動自体はLTS版らしく安定しているようで一安心です。引き続きこの調子で、14.04LTSからの直接アップグレードも同様にすんなり行けるよう、周到な準備がなされる事を願いたいところです。というわけで、今回はひとまずこれでおしまい。
<追記:emacsでfcitxが使えない現象の修正方法>
emacsでfcitxが使えない点は頑張ってworkaroundに勤しみました。色々と調べた結果、アップグレード後にも環境変数が一部不適切で、
XMODIFIERS=@im=ibus
になってしまっているのが原因(の一部)のようです。16.04LTSではfcitxが標準なのでバグですね。これを、fcitxに戻してやればいいわけです。
具体的には、環境変数を
export XMODIFIERS=@im=fcitx
等としてやれば元通り。ちなみにtcsh等Cシェル系の場合は下記。
setenv XMODIFIERS @im=fcitx
暫定で適用したemacs-mozcはインライン入力出来るのはいいんですが、私のようなかな入力派には駄目なのです。というのも、ローマ字入力を標準として想定しているらしく、かな文字入力の時には一旦ローマ字に変換してからmozcに渡される仕様みたいで、そのためにかな入力で速く打つと誤って途中の英文字が入力されたりして誤入力・誤変換が頻発するんです。濁点が`になったり。一文打つのにどれだけ打ち直しさせるのって位で、そうでなくとも候補のインライン表示等でラグが激しいところにこれでは、とても話になりません。しかしこれで元に戻りました。やれやれです。おそらく直ぐに公式でも修正されるんでしょうけれども、そんなの待ってられなかったのです。一安心。
しかし、起動時に自動適用する設定はまだ適切な方法が見つかっていません。というのも、上記環境変数設定を.bashrcとか.xinputとかに入れて起動すると、fcitx自体が起動しないようなのです。emacsはおろか、他のアプリも含めIMが全く使えなくなります。なので、暫定的に起動後に上記変数設定を別途行うようにして回避していて、とりあえずはそれでいいのですが、とても適切な方法とは思えません。困ったものです。LTS版なのに。。。
その後、どうにも気持ち悪いので何とかならないかと、さらに色々とfcitx-diagnoseの出力結果を見ながら試してみたところ、ibusをアンインストールして、かつ.xprofileに上記XMODIFIERSと併せてQT_IM_MODULE=fcitx,GTK_IM_MODULE=fcitxを設定した上でfcitxを手動起動すると上手く行きました。具体的には下記。(Cシェル系はsetenv)
export QT_IM_MODULE=fcitx
export GTK_IM_MODULE=fcitx
なお、ibusをアンインストールしておかないと、起動はせずとも邪魔をするのかこれらの変数を設定しても上手く行きません。という事でibus sucksというわけなのですが、でもibusって削除の時にシステムの設定周りをごっそり引き連れて消えていくんですよね。開発用のライブラリも含めて。使えなくはないんですけど、gnomeのシステム設定周りのインタフェースとかも消えるので、これはあまりよろしくありません。ibus自体クソな事は周知の通りなので、もう公式に外してくれればいいと思うんですが、難しいですかね。下手に組み込んじゃうからこんな事に。。。うーん。
さらにその後、ibusをアンインストールせずとも、下記でibusを無効化してから手動でfcitx起動、でも行けるらしい事が判明しましたのでメモ。なおこの場合、上記3件の環境変数設定は不要のようです。
>gsettings set org.gnome.settings-daemon.plugins.keyboard active false
fcitxは自動起動アプリに登録しておけばいいでしょう。まだすっきりしたわけではありませんが、とりあえずこれで一段落でしょうか。やれやれです。
<解決?>
さらに後日、別のPCで色々試してみたところ、何故か言語サポートの"キーボード入力に使うIMシステム"をibusにしておき、上記3変数を.xprofileに登録の上、fcitxを自動起動アプリに登録(~/.config/autostartに.desktopファイルを作成)してみたところ、emacsも含め正常にfcitx-mozcが使えるようになりました。他の一台では、同様に.xprofileの変数と自動起動を設定だけで、IMシステムはfcitxのままでOKでした。PCによって挙動も違います。わけがわかりません。どういうことなの。
<その他不具合>
後気になった点としては、今回アップグレードした内の一台(ノートPC)で、端末ウィンドウの操作中等に画面が頻繁にチラつく現象が起こっていて、とても気になります。あまり使わないPCなので運用上問題はないのですが、とても落ち着きません。早めに対処して貰えるとありがたいんですけれども。
→その後配信されたアップデートを適用したところ、この問題は解決したようです。しかしアップデートされたパッケージを見ても描画に関係しそうなものなんてないんですけど、どういうことなんでしょう。libllvmとか関係ないだろうし、distro-info-data?うーん。まあ治ればなんでもいいんですけどね。
---後日追記
軽量化環境Lubuntuの16.04LTS版がリリースされて、ふと気が向いたので試しに使ってみました。数年ぶり。色々面倒なのは変わっていませんが、パフォーマンスはとても良いです。
[関連記事 [note] Lubuntuはやはり軽くて良いけれど]
[関連記事 [note] Ubuntu15.10導入]
[関連記事 [note] ubuntu 14.04LTS導入]
なお、LTS版という事で、14.04LTSから久しぶりにアップグレードを検討する向きも多いかと思われますが、14.04LTSから16.04LTSへの直接のアップグレードは可能になる旨予定されてはいるものの、現時点ではまだ実行不可な事に注意が必要です。リリースノートによると当該LTS間のアップグレードパスは3ヶ月後、7月にリリース予定の16.04.1で可能になる予定なんだそうで。
サポートを謳う以上、アップグレードに伴う諸々のバグや問題を十分に潰してからにしたいという事なんでしょう。特にLTS間に限れば2年も開いていますし、差分を引き継げるようにするのも大変なんでしょう。一応、14.10,15.04,15.10と逐次アップグレードをすれば当然今からでも上げられるのですが、手間もかかるしリスクも大きいしで、余程の理由がない限り避けたほうが無難でしょうね。
これに伴い、私の所にも一台14.04LTSがあるのですが、当然それのアップグレードはしばらくお預けとなりました。もっともLTS版は安定が命だし、14.04LTSのサポートもまだ十分残っているので、特に問題もないのですけれども。update managerを立ち上げて、14.04LTSだけ何時まで待っても始まらないのには少し気持ち悪さと不安を感じた次第です。Release Noteはよく読むべきでした、と反省しきり。
一方、15.10からのアップグレードはいつもの通りです。update managerの設定で、"Ubuntuの新バージョンの通知"を"すべての新バージョン"に設定して、アップグレード可能な旨ポップアップ表示されたら適用するだけ。サーバ・クライアント含め4台程アップグレードしましたが、それぞれ一時間前後で完了し、特に大きな問題はなし。不要になったパッケージにpython関連がごっそり載っているのに少し驚いた(pythonのバージョンが2から3に変わったため)のと、何故か存在しない設定ファイルを置換する旨警告が出て差分も空白というのがあって理解に苦しんだものの置き換えを選択しても特に問題は無い様子だったのに戸惑ったり、Braseroとか幾つか標準アプリにリストラがあって驚きはしましたけれども、その程度です。
gtk等GUI周りも特に大きな問題はなく、概ね良好。ただ、一部挙動が変わっているところも。特にIME周り。私はfcitx-mozcを使っていて、全角/半角キーでOn/Offを切替える設定にしているのですけれども、GUI版のemacsで以前は特に設定せずとも他のアプリと同様に切替出来ていたのが、デフォルトでは出来なくなっていました。切り替わりません。仕方なく暫定的にemacs-mozcを入れた上で.emacsを編集してfcitxを経由せずにmozcを使う設定にする事で日本語入力可能にしていますが、一々ウィンドウ内部に候補表示を割り込ませたりするせいかレスポンスが今ひとつで、誤入力が頻発するのが気に入りません。なので以前と同じようにする方法を探しているのですが、それは今の所まだ不明。うーん困った。使えなくはないんですけどね。emacs以外はアップグレード前と変わりないのだから、emacs側の問題だとは思うんですが。(追記:これは勘違いで、IM側の問題だったようです)
ともあれ。見た目とか微妙に変化はありますが、挙動自体はLTS版らしく安定しているようで一安心です。引き続きこの調子で、14.04LTSからの直接アップグレードも同様にすんなり行けるよう、周到な準備がなされる事を願いたいところです。というわけで、今回はひとまずこれでおしまい。
<追記:emacsでfcitxが使えない現象の修正方法>
emacsでfcitxが使えない点は頑張ってworkaroundに勤しみました。色々と調べた結果、アップグレード後にも環境変数が一部不適切で、
XMODIFIERS=@im=ibus
になってしまっているのが原因(の一部)のようです。16.04LTSではfcitxが標準なのでバグですね。これを、fcitxに戻してやればいいわけです。
具体的には、環境変数を
export XMODIFIERS=@im=fcitx
等としてやれば元通り。ちなみにtcsh等Cシェル系の場合は下記。
setenv XMODIFIERS @im=fcitx
暫定で適用したemacs-mozcはインライン入力出来るのはいいんですが、私のようなかな入力派には駄目なのです。というのも、ローマ字入力を標準として想定しているらしく、かな文字入力の時には一旦ローマ字に変換してからmozcに渡される仕様みたいで、そのためにかな入力で速く打つと誤って途中の英文字が入力されたりして誤入力・誤変換が頻発するんです。濁点が`になったり。一文打つのにどれだけ打ち直しさせるのって位で、そうでなくとも候補のインライン表示等でラグが激しいところにこれでは、とても話になりません。しかしこれで元に戻りました。やれやれです。おそらく直ぐに公式でも修正されるんでしょうけれども、そんなの待ってられなかったのです。一安心。
しかし、起動時に自動適用する設定はまだ適切な方法が見つかっていません。というのも、上記環境変数設定を.bashrcとか.xinputとかに入れて起動すると、fcitx自体が起動しないようなのです。emacsはおろか、他のアプリも含めIMが全く使えなくなります。なので、暫定的に起動後に上記変数設定を別途行うようにして回避していて、とりあえずはそれでいいのですが、とても適切な方法とは思えません。困ったものです。LTS版なのに。。。
その後、どうにも気持ち悪いので何とかならないかと、さらに色々とfcitx-diagnoseの出力結果を見ながら試してみたところ、ibusをアンインストールして、かつ.xprofileに上記XMODIFIERSと併せてQT_IM_MODULE=fcitx,GTK_IM_MODULE=fcitxを設定した上でfcitxを手動起動すると上手く行きました。具体的には下記。(Cシェル系はsetenv)
export QT_IM_MODULE=fcitx
export GTK_IM_MODULE=fcitx
なお、ibusをアンインストールしておかないと、起動はせずとも邪魔をするのかこれらの変数を設定しても上手く行きません。という事でibus sucksというわけなのですが、でもibusって削除の時にシステムの設定周りをごっそり引き連れて消えていくんですよね。開発用のライブラリも含めて。使えなくはないんですけど、gnomeのシステム設定周りのインタフェースとかも消えるので、これはあまりよろしくありません。ibus自体クソな事は周知の通りなので、もう公式に外してくれればいいと思うんですが、難しいですかね。下手に組み込んじゃうからこんな事に。。。うーん。
さらにその後、ibusをアンインストールせずとも、下記でibusを無効化してから手動でfcitx起動、でも行けるらしい事が判明しましたのでメモ。なおこの場合、上記3件の環境変数設定は不要のようです。
>gsettings set org.gnome.settings-daemon.plugins.keyboard active false
fcitxは自動起動アプリに登録しておけばいいでしょう。まだすっきりしたわけではありませんが、とりあえずこれで一段落でしょうか。やれやれです。
<解決?>
さらに後日、別のPCで色々試してみたところ、何故か言語サポートの"キーボード入力に使うIMシステム"をibusにしておき、上記3変数を.xprofileに登録の上、fcitxを自動起動アプリに登録(~/.config/autostartに.desktopファイルを作成)してみたところ、emacsも含め正常にfcitx-mozcが使えるようになりました。他の一台では、同様に.xprofileの変数と自動起動を設定だけで、IMシステムはfcitxのままでOKでした。PCによって挙動も違います。わけがわかりません。どういうことなの。
<その他不具合>
後気になった点としては、今回アップグレードした内の一台(ノートPC)で、端末ウィンドウの操作中等に画面が頻繁にチラつく現象が起こっていて、とても気になります。あまり使わないPCなので運用上問題はないのですが、とても落ち着きません。早めに対処して貰えるとありがたいんですけれども。
→その後配信されたアップデートを適用したところ、この問題は解決したようです。しかしアップデートされたパッケージを見ても描画に関係しそうなものなんてないんですけど、どういうことなんでしょう。libllvmとか関係ないだろうし、distro-info-data?うーん。まあ治ればなんでもいいんですけどね。
---後日追記
軽量化環境Lubuntuの16.04LTS版がリリースされて、ふと気が向いたので試しに使ってみました。数年ぶり。色々面倒なのは変わっていませんが、パフォーマンスはとても良いです。
[関連記事 [note] Lubuntuはやはり軽くて良いけれど]
[関連記事 [note] Ubuntu15.10導入]
[関連記事 [note] ubuntu 14.04LTS導入]
[biz law] 三菱自、主力車種ほぼ全滅
やはり余罪が、というか、むしろ氷山の一角だったという事でしょうか。三菱自動車の燃費改竄詐欺の件、当局の立ち入り検査の結果、当初発覚した軽自動車4種以外の車種でも同様の不正がされていた事が明らかになったそうです。
とりあえず確定したのはi-MiEV。疑われているのはアウトランダー、RVR、パジェロ等、全車種の半数以上に上るとのこと。揃いも揃って主力車種ばかりです。もっとも競合とのカタログ性能差埋めと減税区分の達成という目的を考えれば主力にこそ必要な措置だっただろう事は間違いないところで、それ自体はむしろ自然な帰結なのかもしれません。
が、もしこれが事実なら、いや報道のされ方とか見る限りもうほぼ確定なんでしょうけれど、であれば看板でもあるEVとRV系がアウトになった事で、軽と併せて主力車種が揃って生産販売停止、どころか報道によれば十年以上に渡って行って来た不正につき既に販売した分の賠償責任まで降りかかって来ますから、いくら国内向けの比率が高くはないとは言っても、普通に廃業に追い込まれるだろう事態に思われるところです。シャープの次は三菱自、と何となく各業界で競合に負けた弱いところが順調に淘汰されているように見えなくもない気もします。淘汰のされ方が如何にも急激に過ぎますし、経緯は最悪の一言ではありますけれども。
当然の報いではありますから同情はしませんが、本当に知らなかった社員はご愁傷さまです。とはいえ人不足の折ですし、選り好みしなければ再就職先が見つからないという事もあまりないかもしれません。ご健闘をお祈り申し上げます。知ってた社員?経営陣もろとも責任取って死ねばいいと思いますよ。償いようのない事態なわけですし。というかもう既に死人も出てるんじゃないでしょうか。
一度他のメーカーでもチェックはしておいた方がいいかもしれませんね。今回発覚の契機になった日産あたりへの疑いは薄いとしても、動機は十分だし実行は容易、本件のような前例もあるとなれば、必要な措置と言えるでしょう。併せて国交省への報告時に第三者のチェックを義務付けるとか、真正を担保出来るよう制度の改善も必要に思われるところです。もっともわざわざ外野が言わずとも、やましいところがなければそのように業界が自主的に動くでしょう。逆に消極的な姿勢を見せるようなら不正が推定されてしまうだろうわけですが、さて。
[前記事 [biz law] 懲りない三菱自動車、主力軽自動車の燃費改竄詐欺]
とりあえず確定したのはi-MiEV。疑われているのはアウトランダー、RVR、パジェロ等、全車種の半数以上に上るとのこと。揃いも揃って主力車種ばかりです。もっとも競合とのカタログ性能差埋めと減税区分の達成という目的を考えれば主力にこそ必要な措置だっただろう事は間違いないところで、それ自体はむしろ自然な帰結なのかもしれません。
が、もしこれが事実なら、いや報道のされ方とか見る限りもうほぼ確定なんでしょうけれど、であれば看板でもあるEVとRV系がアウトになった事で、軽と併せて主力車種が揃って生産販売停止、どころか報道によれば十年以上に渡って行って来た不正につき既に販売した分の賠償責任まで降りかかって来ますから、いくら国内向けの比率が高くはないとは言っても、普通に廃業に追い込まれるだろう事態に思われるところです。シャープの次は三菱自、と何となく各業界で競合に負けた弱いところが順調に淘汰されているように見えなくもない気もします。淘汰のされ方が如何にも急激に過ぎますし、経緯は最悪の一言ではありますけれども。
当然の報いではありますから同情はしませんが、本当に知らなかった社員はご愁傷さまです。とはいえ人不足の折ですし、選り好みしなければ再就職先が見つからないという事もあまりないかもしれません。ご健闘をお祈り申し上げます。知ってた社員?経営陣もろとも責任取って死ねばいいと思いますよ。償いようのない事態なわけですし。というかもう既に死人も出てるんじゃないでしょうか。
一度他のメーカーでもチェックはしておいた方がいいかもしれませんね。今回発覚の契機になった日産あたりへの疑いは薄いとしても、動機は十分だし実行は容易、本件のような前例もあるとなれば、必要な措置と言えるでしょう。併せて国交省への報告時に第三者のチェックを義務付けるとか、真正を担保出来るよう制度の改善も必要に思われるところです。もっともわざわざ外野が言わずとも、やましいところがなければそのように業界が自主的に動くでしょう。逆に消極的な姿勢を見せるようなら不正が推定されてしまうだろうわけですが、さて。
[前記事 [biz law] 懲りない三菱自動車、主力軽自動車の燃費改竄詐欺]
4/20/2016
[biz law] 懲りない三菱自動車、主力軽自動車の燃費改竄詐欺
三菱自動車がまたやらかしてくれたようです。国交省に報告する燃費試験の結果を改ざんしていたんだそうで。
対象は、主力の軽自動車2車種。ekワゴン・ekスペース。日産にもデイズ・デイズルークスとしてOEM供給されているものです。当然その他車種での余罪も疑われるわけですが、それはさておき。
その手法は、試験時の車輪に加えられる負荷を軽く設定する事で、5〜10%程度燃費を良く見せかけていた、との事。ekワゴンで言えば、カタログ燃費は25〜30.4km/lですけれども、実際には22〜27km/l程度だったという事ですね。 確かに全然受ける印象が違ってきます。競合するスズキのワゴンRが33km/lを謳っているところからすれば、素の数値では太刀打ち出来ない感が漂います。減税の区分も当然変更になるでしょう。
本件の後始末については、よりによっての主力車種ですし、当該車種の総販売台数にして60万台を超える規模のカテゴリー自体が丸ごと事業から消える事による年間数千億規模の売上減少、ユーザーと日産への損害賠償、減税分の不当利得返還、あといよいよ壊滅的に失われた信用の将来への影響も考えれば、少なく見積もっても会社の存続に強い疑義が付くだろう、極めて深刻な事態と評価すべきものでしょう。
しかしもうなんでそんな事したの、としか。無論燃費が最重要項目な車種である事は間違いなく、上述の通り到底敵わない競合がある以上、改竄の動機は十分ではあるだろうところですが、そもそも第3者が試験したら即バレな数値、しかもOEM車種。車の性能値の中ではおそらく最も誰もが気にするところでもあるし、隠しおおせる可能性など最初からなく、やったが最後、遅かれ早かれその先には破滅しかないだろう事は分かり切っていた筈なのですけれども。全く以ってわけがわかりません。
そういえば、三菱自では以前に開発の遅れの責任を取らされて部長が2人クビになってましたけど、実はこの辺の絡みだったという事なんでしょうか。しかしあの時の部門は確かRVRだった筈で、今回は軽自動車なので直接の関係は無い筈、であれば間接的に、すなわちそういう恐怖政治的というか、無茶な目標を現場に押し付け、目標未達ならクビ、という理不尽な社内体質が、その場しのぎの破滅的な改竄に走らせたものと考えるべき所でしょうか。
もしそうなら、なんと言うか。あまりにも愚かで、かつ哀れな話です。開発部門はじめ、三菱自の社員は何のために生きてるんでしょうね。そこまで追い詰められたなら、RVRの部長達と同じように、さっさと辞めればよかったのに、と残念に思わずにはいられません。彼らが諭旨退職であり、すなわち自発的なものではおそらくなかった点からすれば、見せしめ効果で恐怖が先に立ったか、それともやはり元々の社員の体質的にも難しかったのか。外野からではわかりませんが、もはや云々しても仕方ないところなのでしょう。返す返すも残念です。
無論、そうさせた会社側は存分に報いを受ければいいと思うわけですけれども。リコールの件の時も酷いと思いましたが、組織というのは一度腐るとこうまで救えなくなってしまうものなのかと、驚きと共に落胆を禁じえません。どうせそうさせた体質は棚に上げて、部門に責任を押し付けて済まそうとするんでしょうし、もう会社ごと潰れてしまえばいいと思わずにはいられないわけです。いやはや。
三菱自、燃費試験での不正を発表 日産自の指摘で発覚
---
そして当然のようにその他車種でも余罪が発覚。主力車種が全滅の模様で、流石にもう無理ですかね。
[続き記事 [biz law] 三菱自、主力車種ほぼ全滅]
対象は、主力の軽自動車2車種。ekワゴン・ekスペース。日産にもデイズ・デイズルークスとしてOEM供給されているものです。当然その他車種での余罪も疑われるわけですが、それはさておき。
その手法は、試験時の車輪に加えられる負荷を軽く設定する事で、5〜10%程度燃費を良く見せかけていた、との事。ekワゴンで言えば、カタログ燃費は25〜30.4km/lですけれども、実際には22〜27km/l程度だったという事ですね。 確かに全然受ける印象が違ってきます。競合するスズキのワゴンRが33km/lを謳っているところからすれば、素の数値では太刀打ち出来ない感が漂います。減税の区分も当然変更になるでしょう。
本件の後始末については、よりによっての主力車種ですし、当該車種の総販売台数にして60万台を超える規模のカテゴリー自体が丸ごと事業から消える事による年間数千億規模の売上減少、ユーザーと日産への損害賠償、減税分の不当利得返還、あといよいよ壊滅的に失われた信用の将来への影響も考えれば、少なく見積もっても会社の存続に強い疑義が付くだろう、極めて深刻な事態と評価すべきものでしょう。
しかしもうなんでそんな事したの、としか。無論燃費が最重要項目な車種である事は間違いなく、上述の通り到底敵わない競合がある以上、改竄の動機は十分ではあるだろうところですが、そもそも第3者が試験したら即バレな数値、しかもOEM車種。車の性能値の中ではおそらく最も誰もが気にするところでもあるし、隠しおおせる可能性など最初からなく、やったが最後、遅かれ早かれその先には破滅しかないだろう事は分かり切っていた筈なのですけれども。全く以ってわけがわかりません。
そういえば、三菱自では以前に開発の遅れの責任を取らされて部長が2人クビになってましたけど、実はこの辺の絡みだったという事なんでしょうか。しかしあの時の部門は確かRVRだった筈で、今回は軽自動車なので直接の関係は無い筈、であれば間接的に、すなわちそういう恐怖政治的というか、無茶な目標を現場に押し付け、目標未達ならクビ、という理不尽な社内体質が、その場しのぎの破滅的な改竄に走らせたものと考えるべき所でしょうか。
もしそうなら、なんと言うか。あまりにも愚かで、かつ哀れな話です。開発部門はじめ、三菱自の社員は何のために生きてるんでしょうね。そこまで追い詰められたなら、RVRの部長達と同じように、さっさと辞めればよかったのに、と残念に思わずにはいられません。彼らが諭旨退職であり、すなわち自発的なものではおそらくなかった点からすれば、見せしめ効果で恐怖が先に立ったか、それともやはり元々の社員の体質的にも難しかったのか。外野からではわかりませんが、もはや云々しても仕方ないところなのでしょう。返す返すも残念です。
無論、そうさせた会社側は存分に報いを受ければいいと思うわけですけれども。リコールの件の時も酷いと思いましたが、組織というのは一度腐るとこうまで救えなくなってしまうものなのかと、驚きと共に落胆を禁じえません。どうせそうさせた体質は棚に上げて、部門に責任を押し付けて済まそうとするんでしょうし、もう会社ごと潰れてしまえばいいと思わずにはいられないわけです。いやはや。
三菱自、燃費試験での不正を発表 日産自の指摘で発覚
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そして当然のようにその他車種でも余罪が発覚。主力車種が全滅の模様で、流石にもう無理ですかね。
[続き記事 [biz law] 三菱自、主力車種ほぼ全滅]
[IT] QuickTIme for Windowsの脆弱性へのAppleの対応拒絶の仕方が酷すぎる
Apple製メディアプレイヤーQuickTimeのWindows版に脆弱性が発見され、しかしAppleがパッチ提供を拒否した件、ちょっと酷いと思うのです。特にAppleの対応の仕方が。
当該プレイヤーは、Appleが今年初め頃にリリースした7.7.9を最後にWindows版のサポートは打ち切られているので、パッチ提供も出来ない、とした事については、非難は免れずとも仕方ないと言えなくもないかもしれません。元々Vistaと7しかサポートしていなかった点等から、打ち切りが完全に唐突だったわけでもないように見えなくもありませんから。
しかし、サポートの打ち切りにあたり、ユーザに告知がなされず、その後のアナウンスも皆無であり、そのために多くのユーザが本件脆弱性の発覚、またそれに伴うTrendMicroや米国当局の警告とその報道がなされるに至って初めてサポートが無い事を知らされ、当然殺到した筈の問い合わせすらもサポート切れを理由に門前払いになっているという、不誠実という言葉でも足りないだろう対応ぶりには、流石に酷すぎて擁護の余地はないと思うのです。
せめてユーザに事前事後ともアナウンス位はしておくべきだし、このような状況に至ったからには、サポートは当然すべきものな筈なのですが、いまだにHP上には全くその辺の警告のかけらもないあたり、Appleにはそういう考え自体が存在しないようです。恐ろしい。
被害が個人に留まらず、Adobeのサービスが影響を受けているのも、Appleの対応自体が不適切だった証左と言えるでしょう。事前のしかるべきアナウンスがあれば、そのような大手のサービスならば当然に対応はされていたでしょうから。不具合自体はAdobeの不手際でもあるわけですが、Appleのサポート、クロージングの仕方が不適切な事が第一の要因である事も疑いようのないところであって、Adobeにしてみればとんだとばっちりです。
これがQuickTime自体の廃止というならまだわかる話だったんですが、OSX等のApple製品版は継続というのもまた苛立たしい話です。共通のプラットフォームとして運用していた所では余計に混乱するに決まってるでしょうに。
付け加えれば、本件の脆弱性は、QuickTime for Windowsというプレイヤーアプリケーションのものであって、QuickTimeのビデオコーデック自体に問題は無く、従って他のプレイヤーやエディタ等でQuickTimeコーデックを導入して再生・編集等している場合には関係しません。なのでQuickTimeビデオを扱うユーザでも、その大半には関係ない話なのですが、Appleがサポートを完全に拒否しているために、それらのユーザも脆弱性の影響を受ける可能性を懸念して、その確認等に手間をかける羽目になっているのです。というか私自身、懸念もしたし確認もせざるを得ませんでした。QuickTimeファイルを扱う事自体殆ど無きに等しい状態ではありましたけれども、それでもゼロデイ脆弱性があると言われれば、確認するしかないに決まっているのです。それは完全にAppleの無責任な無対応ぶりによる被害であるわけで、非常に遺憾な事と言わざるを得ません。腹立たしい限りです。
サポートはされているけれども、脆弱性が多すぎて常時危険に晒されているも同然のFlashも酷いですけれど、悪意が感じられる分、本件Appleの方が腹立たしさでは上ですね。とはいえ五十歩百歩的な話で、Flash同様アンインストールしてしまうのが良いのでしょう。やれやれです。
Apple Ends Support for QuickTime for Windows; New Vulnerabilities Announced
当該プレイヤーは、Appleが今年初め頃にリリースした7.7.9を最後にWindows版のサポートは打ち切られているので、パッチ提供も出来ない、とした事については、非難は免れずとも仕方ないと言えなくもないかもしれません。元々Vistaと7しかサポートしていなかった点等から、打ち切りが完全に唐突だったわけでもないように見えなくもありませんから。
しかし、サポートの打ち切りにあたり、ユーザに告知がなされず、その後のアナウンスも皆無であり、そのために多くのユーザが本件脆弱性の発覚、またそれに伴うTrendMicroや米国当局の警告とその報道がなされるに至って初めてサポートが無い事を知らされ、当然殺到した筈の問い合わせすらもサポート切れを理由に門前払いになっているという、不誠実という言葉でも足りないだろう対応ぶりには、流石に酷すぎて擁護の余地はないと思うのです。
せめてユーザに事前事後ともアナウンス位はしておくべきだし、このような状況に至ったからには、サポートは当然すべきものな筈なのですが、いまだにHP上には全くその辺の警告のかけらもないあたり、Appleにはそういう考え自体が存在しないようです。恐ろしい。
被害が個人に留まらず、Adobeのサービスが影響を受けているのも、Appleの対応自体が不適切だった証左と言えるでしょう。事前のしかるべきアナウンスがあれば、そのような大手のサービスならば当然に対応はされていたでしょうから。不具合自体はAdobeの不手際でもあるわけですが、Appleのサポート、クロージングの仕方が不適切な事が第一の要因である事も疑いようのないところであって、Adobeにしてみればとんだとばっちりです。
これがQuickTime自体の廃止というならまだわかる話だったんですが、OSX等のApple製品版は継続というのもまた苛立たしい話です。共通のプラットフォームとして運用していた所では余計に混乱するに決まってるでしょうに。
付け加えれば、本件の脆弱性は、QuickTime for Windowsというプレイヤーアプリケーションのものであって、QuickTimeのビデオコーデック自体に問題は無く、従って他のプレイヤーやエディタ等でQuickTimeコーデックを導入して再生・編集等している場合には関係しません。なのでQuickTimeビデオを扱うユーザでも、その大半には関係ない話なのですが、Appleがサポートを完全に拒否しているために、それらのユーザも脆弱性の影響を受ける可能性を懸念して、その確認等に手間をかける羽目になっているのです。というか私自身、懸念もしたし確認もせざるを得ませんでした。QuickTimeファイルを扱う事自体殆ど無きに等しい状態ではありましたけれども、それでもゼロデイ脆弱性があると言われれば、確認するしかないに決まっているのです。それは完全にAppleの無責任な無対応ぶりによる被害であるわけで、非常に遺憾な事と言わざるを得ません。腹立たしい限りです。
サポートはされているけれども、脆弱性が多すぎて常時危険に晒されているも同然のFlashも酷いですけれど、悪意が感じられる分、本件Appleの方が腹立たしさでは上ですね。とはいえ五十歩百歩的な話で、Flash同様アンインストールしてしまうのが良いのでしょう。やれやれです。
Apple Ends Support for QuickTime for Windows; New Vulnerabilities Announced
[biz] IntelがPC部門に見切りを付け、大規模リストラ
予想通りと言うべきでしょうか。intelが大規模なリストラを計画中だそうです。
規模はおよそ全体の一割12000人程度、主な削減対象はPC関連部門で、新規ビジネスに注力する方針との事なんだそうです。PC市場の急激な縮小と、それを代替する筈のモバイル系でARM系に概ね敗北した事で不良債権化したリソースに見切りをつけた、という事で。PC周りは技術の進歩の余地もほぼ枯渇して、実質的に新製品の投入が困難になっている事も併せて見れば当然の結果と言えるでしょう。外部環境面では割と八方塞がりな感じですから。
もっとも、外部的な要因を別にしても、以前ALTERAを買収した事でintel内部のリソースには明らかに余剰があって、かつソリューション面とプロダクト面とで組織体制に齟齬が生じていただろうところ、それを整理統合する必要は当然あっただろうから、そちらが主な目的で、リストラは副次的な位置づけのものなのかもしれませんけれども。
ともあれ、今後の方針としては、基本的にはデータセンター向け中心にFPGAとサーバ用プロセッサのラインを統合して、それによって成立するソリューションをこれからの主力に位置づけるって感じでしょうか。その割を食うのが決算でほとんど一人負け状態なクライアントコンピューティング部門と。具体的な製品で言えばAtom系とか厳しそうですね。本来なら主力になっていた筈なんでしょうが、ARM系ともろ競合で惨敗した結果ということで、当該部門の人達はさぞ無念でしょう。解雇されるのでなければ、新しい分野に挑戦出来る機会と捉えてむしろ喜んでいるかもしれませんが。
一応、PCが衰退しているって言っても、Windowsは無論、OSXもLinuxも基本的にCPUはintelの独占は変わりないわけだし、intelのクライアント向け製品自体が近い内に消えてしまうわけではないんでしょう。それでもこうして、先日のムーアの法則終了宣言と併せ、intel自身がゆっくりとしかし確実に白旗を挙げていくのを見て、少なくともこれからはもう殆ど進歩もしないんだろうと思うと、やはり残念に思う部分はあるわけです。一つの時代の終わり、になるんでしょうか。
[関連記事 [biz] IntelがFPGA大手ALTERAを買収]
規模はおよそ全体の一割12000人程度、主な削減対象はPC関連部門で、新規ビジネスに注力する方針との事なんだそうです。PC市場の急激な縮小と、それを代替する筈のモバイル系でARM系に概ね敗北した事で不良債権化したリソースに見切りをつけた、という事で。PC周りは技術の進歩の余地もほぼ枯渇して、実質的に新製品の投入が困難になっている事も併せて見れば当然の結果と言えるでしょう。外部環境面では割と八方塞がりな感じですから。
もっとも、外部的な要因を別にしても、以前ALTERAを買収した事でintel内部のリソースには明らかに余剰があって、かつソリューション面とプロダクト面とで組織体制に齟齬が生じていただろうところ、それを整理統合する必要は当然あっただろうから、そちらが主な目的で、リストラは副次的な位置づけのものなのかもしれませんけれども。
ともあれ、今後の方針としては、基本的にはデータセンター向け中心にFPGAとサーバ用プロセッサのラインを統合して、それによって成立するソリューションをこれからの主力に位置づけるって感じでしょうか。その割を食うのが決算でほとんど一人負け状態なクライアントコンピューティング部門と。具体的な製品で言えばAtom系とか厳しそうですね。本来なら主力になっていた筈なんでしょうが、ARM系ともろ競合で惨敗した結果ということで、当該部門の人達はさぞ無念でしょう。解雇されるのでなければ、新しい分野に挑戦出来る機会と捉えてむしろ喜んでいるかもしれませんが。
一応、PCが衰退しているって言っても、Windowsは無論、OSXもLinuxも基本的にCPUはintelの独占は変わりないわけだし、intelのクライアント向け製品自体が近い内に消えてしまうわけではないんでしょう。それでもこうして、先日のムーアの法則終了宣言と併せ、intel自身がゆっくりとしかし確実に白旗を挙げていくのを見て、少なくともこれからはもう殆ど進歩もしないんだろうと思うと、やはり残念に思う部分はあるわけです。一つの時代の終わり、になるんでしょうか。
[関連記事 [biz] IntelがFPGA大手ALTERAを買収]
4/15/2016
[biz] 富士通・東芝・VAIOのPC事業統合破談
国内大手PCメーカー3社事業統合の件、破談したそうで。
統合後の事業方針やらで合意出来なかったからとかいう事ですが、あれですかね。統合の主たる目的である所の集約によるコスト削減及び生産性の向上において、当然必要になるところのOEM先とか、国内・国外工場とかの統廃合については、まず間違いなくそれぞれ一つを残して残りはリストラ、って話になっていた筈なわけで。それはすなわち実質的に3社の内2社が撤退するのと同等と言えるだろうところ、先は無い事は明白ではあるけれども、各々が即倒産するわけではない現時点の状況下では受け入れ難かった、という事なのでしょうか。
保身と言えば保身ではあるのでしょうけれども、事実上の生き死にが掛かっている以上は致し方ないと言うか、これはもう各々が本当に単独では立ち行かない、文字通りの破綻直前ぐらいにならないと纏まらない話なのかもしれないと、改めて思うわけです。
おそらく大きな問題は2点。一点は、統合後のカラーというか、主にVAIOの主力たる尖った製品ラインの継続の是非、また搾り込みをどうするかという事。ある程度は残すにしても、その特殊性の強さから開発・生産体制の統合には相当な困難が見込まれるし、販売の戦略面でも色々とややこしい面が生まれるのは間違いないところです。VAIOのようなブランドイメージ重視の路線は、少なくとも事業体の前面に出さないと意味のないものですが、そうするとブランド的にはVAIOが他2社を吸収した形になるわけで、事業体の規模比的にそれは難しいでしょうし。そりゃ揉めて当然でしょう。
もう一点は、上記で触れたように、純粋に生産・開発・販売リソースの統廃合の方法でしょうか。東芝と富士通は法人向け中心に類似性は高いものの、それだけにどちらか片方は余剰につき必然的かつ単純に削減対象とせざるを得ないだろうところです。しかるに工場も開発部隊も販売部隊も。それらはそれぞれ垂直的に繋がりがあるわけですから、各々が丸ごと残すべきだと主張すれば、自然と一社分だけを残してそこに合流出来る一部以外の残り2社分は廃棄、というような思惑になりがちなパターンに見えます。富士通は特に国内工場の処遇も頭の痛いところでしょう。これまた揉めて当然、というか普通ならやはり、統合出来なければ破綻、位になってないと受け入れられない類の話と言えるでしょう。
一応、当初の思惑的には、各社の全リソースを一旦まとめてシャッフルして、そこから最適化を図る、とかそういう理想論的な考えはあったんでしょうけれども、具体的なプランに出来なかったか、出来ても実現が極めて困難だったか、はたまた3社共が欲をかく、もしくは保身に走ったか。いずれにしろ結果として形にはなりませんでした。やはり3社の統合、それも概ね対等に近い立場の事業体同士のそれとなると、余程の明確かつ差し迫った、強制力の強い事由がないと、任意ではまとまりませんよね、という話で。問答無用で買収するとかするのが普通、と言ってもそんな余力は何処にもなかったのも要因と言えるかもしれません。こう見てみると、圧倒的な資本力の差からあっさりLenovoに買われたNECのPC事業は高く買われ、かつそれなりにリソースの保全も出来て幸運だったとも言えるんでしょうか。
第三者的には、DynabookとかVAIOとか、それらの個々のPC製品自体が枯れてしまって、従来のブランド戦略とか個々の製品品質やらものづくり技術云々ではどうにもならないからこそここまで追い込まれてるわけだし、もう一旦そういうのは全て捨てて、ビジネスモデルから何から名称も含めて全て事業丸ごと新規に立ち上げた方がいいんじゃないの、と無責任にも思うわけですけれども、そんな怖い事したくないというか出来ない、って話なんでしょう。難儀な事です。まあ競合が多すぎるし勝算の立てようもない以上、どうにもならないのかもしれませんけれども。でもね、そもそもの話、統合した所で規模的にはLenovoやら海外大手とは勝負にならないのだから、この辺は結局は避けて通れない筈なんですけれどもね。最終的に買収される事を想定しているのなら別ですが。
ともあれ。さしあたりご破算になったのは事実ですから、しばらくはこのまま、少なくとも本年度は各社とも赤字を垂れ流す運びになってしまいました。
およそチキンレースの様相を強めている本件、その中でいよいよ持たなくなった所から、相対的にまだマシな所へと、力関係がはっきりした時点で順次吸収されていく、とかいう流れになるのかもしれませんね。というよりそれ以外ないと言うべきなんでしょうか。しかし今でさえ瀕死の弱者連合と揶揄される位なのに、さらに弱ってからだと、その時に統合する余力があるのか疑問、というか吸収するorされる意味があるのかすら怪しいし、そのまま共倒れになる可能性の方が高いだろうと思うわけなのですが。とはいえこれも当人達の選択、ありもしない可能性に妄想じみた期待を抱いて機会を逸してしまったとしても、致し方ないところなのでしょう。やれやれです。
しかし困っただろうのは東芝ですかね。どうするのでしょう。まさか単体で放り出す?次いで富士通。既に分社化した同社のPC事業ですが、目的であるところの切り離しができなくなってしまいました。このままだと超赤字で即死コースです。両社とも一刻も早く連結から外したかった筈の両事業、その目論見が崩れてしまったわけですが、さてどうする。
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統合後の事業方針やらで合意出来なかったからとかいう事ですが、あれですかね。統合の主たる目的である所の集約によるコスト削減及び生産性の向上において、当然必要になるところのOEM先とか、国内・国外工場とかの統廃合については、まず間違いなくそれぞれ一つを残して残りはリストラ、って話になっていた筈なわけで。それはすなわち実質的に3社の内2社が撤退するのと同等と言えるだろうところ、先は無い事は明白ではあるけれども、各々が即倒産するわけではない現時点の状況下では受け入れ難かった、という事なのでしょうか。
保身と言えば保身ではあるのでしょうけれども、事実上の生き死にが掛かっている以上は致し方ないと言うか、これはもう各々が本当に単独では立ち行かない、文字通りの破綻直前ぐらいにならないと纏まらない話なのかもしれないと、改めて思うわけです。
おそらく大きな問題は2点。一点は、統合後のカラーというか、主にVAIOの主力たる尖った製品ラインの継続の是非、また搾り込みをどうするかという事。ある程度は残すにしても、その特殊性の強さから開発・生産体制の統合には相当な困難が見込まれるし、販売の戦略面でも色々とややこしい面が生まれるのは間違いないところです。VAIOのようなブランドイメージ重視の路線は、少なくとも事業体の前面に出さないと意味のないものですが、そうするとブランド的にはVAIOが他2社を吸収した形になるわけで、事業体の規模比的にそれは難しいでしょうし。そりゃ揉めて当然でしょう。
もう一点は、上記で触れたように、純粋に生産・開発・販売リソースの統廃合の方法でしょうか。東芝と富士通は法人向け中心に類似性は高いものの、それだけにどちらか片方は余剰につき必然的かつ単純に削減対象とせざるを得ないだろうところです。しかるに工場も開発部隊も販売部隊も。それらはそれぞれ垂直的に繋がりがあるわけですから、各々が丸ごと残すべきだと主張すれば、自然と一社分だけを残してそこに合流出来る一部以外の残り2社分は廃棄、というような思惑になりがちなパターンに見えます。富士通は特に国内工場の処遇も頭の痛いところでしょう。これまた揉めて当然、というか普通ならやはり、統合出来なければ破綻、位になってないと受け入れられない類の話と言えるでしょう。
一応、当初の思惑的には、各社の全リソースを一旦まとめてシャッフルして、そこから最適化を図る、とかそういう理想論的な考えはあったんでしょうけれども、具体的なプランに出来なかったか、出来ても実現が極めて困難だったか、はたまた3社共が欲をかく、もしくは保身に走ったか。いずれにしろ結果として形にはなりませんでした。やはり3社の統合、それも概ね対等に近い立場の事業体同士のそれとなると、余程の明確かつ差し迫った、強制力の強い事由がないと、任意ではまとまりませんよね、という話で。問答無用で買収するとかするのが普通、と言ってもそんな余力は何処にもなかったのも要因と言えるかもしれません。こう見てみると、圧倒的な資本力の差からあっさりLenovoに買われたNECのPC事業は高く買われ、かつそれなりにリソースの保全も出来て幸運だったとも言えるんでしょうか。
第三者的には、DynabookとかVAIOとか、それらの個々のPC製品自体が枯れてしまって、従来のブランド戦略とか個々の製品品質やらものづくり技術云々ではどうにもならないからこそここまで追い込まれてるわけだし、もう一旦そういうのは全て捨てて、ビジネスモデルから何から名称も含めて全て事業丸ごと新規に立ち上げた方がいいんじゃないの、と無責任にも思うわけですけれども、そんな怖い事したくないというか出来ない、って話なんでしょう。難儀な事です。まあ競合が多すぎるし勝算の立てようもない以上、どうにもならないのかもしれませんけれども。でもね、そもそもの話、統合した所で規模的にはLenovoやら海外大手とは勝負にならないのだから、この辺は結局は避けて通れない筈なんですけれどもね。最終的に買収される事を想定しているのなら別ですが。
ともあれ。さしあたりご破算になったのは事実ですから、しばらくはこのまま、少なくとも本年度は各社とも赤字を垂れ流す運びになってしまいました。
およそチキンレースの様相を強めている本件、その中でいよいよ持たなくなった所から、相対的にまだマシな所へと、力関係がはっきりした時点で順次吸収されていく、とかいう流れになるのかもしれませんね。というよりそれ以外ないと言うべきなんでしょうか。しかし今でさえ瀕死の弱者連合と揶揄される位なのに、さらに弱ってからだと、その時に統合する余力があるのか疑問、というか吸収するorされる意味があるのかすら怪しいし、そのまま共倒れになる可能性の方が高いだろうと思うわけなのですが。とはいえこれも当人達の選択、ありもしない可能性に妄想じみた期待を抱いて機会を逸してしまったとしても、致し方ないところなのでしょう。やれやれです。
しかし困っただろうのは東芝ですかね。どうするのでしょう。まさか単体で放り出す?次いで富士通。既に分社化した同社のPC事業ですが、目的であるところの切り離しができなくなってしまいました。このままだと超赤字で即死コースです。両社とも一刻も早く連結から外したかった筈の両事業、その目論見が崩れてしまったわけですが、さてどうする。
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