6/20/2015

[law] 殺人犯手記出版、公然たる不法行為の異常

神戸児童連続殺人事件の犯人による自伝出版の件、てっきり速攻回収されるものだと思っていたんですが、物議は醸しつつも何となくそのまま販売継続中なようで。どういう事なんだろう、と少し首をひねっている次第なのです。

というのも、殺人等被害者遺族の精神面については過去の判例等からして法的な救済・保護が与えられるべきものと認められているのでありまして。しかるに、この種の書籍の出版は往々にして遺族に多大な精神的苦痛を与えるものであるし、実際に本件被害者遺族は出版前後を通じて明確に被害を訴え、併せて回収も求めているのですから、既に不法行為である事は疑いようのないところなわけです。出版社は公益性を主張して正当化を図っているようですが、遺族に苦痛を受忍させるに足るものとは到底認められないでしょう。実際に遺族側が裁判に訴えれば、出版の差し止めと賠償は無論として、回収等の遡及的な被害回復措置の強制までも認められる可能性は非常に高い、というか殆ど確実なように思われるところです。

なんですが、出版元の太田出版は遺族の意向を完全に無視して出版を強行し、非難を受けても逆に逆撫でするかのような反論コメントを出して当然のように継続、あまつさえ重版しようとしているんだとか。 話題性が高いのは事実だし、炎上商法として見れば今のところは成功している、と言えばそうなんでしょうけれども、それにしてもここままで明確に違法性を帯びているものを公然と強行するのはどうなんだろうと。その異常性には正直引きますし、恐怖を感じさえします。

法的には無論、社会的にも大多数からは到底容認され得ないだろうし、このまま行けば普通に起こされるだろう訴訟の結果、莫大な賠償や回収を強いられて、差し引きすればむしろマイナスになる可能性とか考えないんでしょうか。それも込みで博打を打ったか、もしくは目先の売上が目的か、はたまた単なる愉快犯か。いずれにしても論外と言わざるを得ません。それ以前に法規範を軽視する、というよりはむしろ積極的に犯し、今なお苦しむ遺族を害して恥じない殺人犯及びその共謀たる出版社の振る舞いと、それを容認する声も聞こえてくる社会の現状には、深い失望を覚えずにはいられないのです。このような不法状態が一刻も早く是正され、被害者遺族に早急かつ十分な保護・救済がなされるよう願う次第です。

本件は成年の犯行であれば当然に死刑に処せられていただろう犯人が、少年法の規定によって免ぜられた帰結でもあるところ、被害者遺族に対して被害を一方的に受忍させた挙句のこの始末。その到底正当化し得ない不均衡・不正義を前にして、近年特に高まる一方の少年法への非難がより一層勢いを増す事も殆ど必然の結果と言えるでしょう。いっそ、死刑相当の凶悪犯については保護規定を撤廃する等の改正が提起されればとも思うわけなのですが、さて。

神戸連続児童殺傷事件、元少年の手記に広がる波紋

6/19/2015

[biz law] トヨタ初の女性常務役員Julie Hamp、就任2ヶ月で麻薬密輸入し逮捕

トヨタの広報トップ、いや正確にはNo.2か。彼女が薬物密輸で逮捕された件、またとんでもない話で驚きました。

容疑者はJulie Hamp、トヨタ公式によれば、元々はGMのVice Presidentを長らく務めた後、同じくVPとしてPepsicoへ移籍して数年後に米トヨタのVP及びCCOを経由し、この春にトヨタ本体の常務役員として渉外・広報本部の副本部長に就任していた、とのこと。常務役員というのは法的な意味での役員というわけではなく、あくまでトヨタ社内での役職に過ぎないながら、実質的に執行役と同レベルすなわち各部門のトップに位置づけられる上級職に当たります。以前から政府が批判まみれでゴリ押ししようとしているところの女性の役員登用の推進、その政策を象徴する人事としてニュースにもなっていました。個人の名前まで覚えていた人は殆どいないでしょうけれども。

容疑は麻薬取締法違反、具体的には違法薬物の密輸入。成田の税関で引っかかりました。問題の薬物は、鎮痛薬等として規制されているOxycodoneの錠剤。原料はケシ類で、当然ながら幻覚作用や依存性といった麻薬一般の副作用も引き起こす危険な薬剤です。モルヒネと似たようなものと言えばいいでしょうか。従って、その所持・利用には相当の理由と、それに基づく公的な許認可が必要になる代物です。逆に言えば、予め許可を得れば処方もされ得るし、輸入も可能なのですけれども、そういった手続きを取らずに密かに輸入しようとしたところ、税関検査で露見して御用、というわけです。そうそう検査なんてされない、と高を括ってでもいたんでしょうか。

ともあれ、許可無く輸入した時点で、紛うこと無き違法行為につき逮捕は当然の成り行きと言えるでしょう。ただ、その先は少し考慮が必要です。この種の麻薬系の薬物の規制の程度は国ごとに結構違いもあって、本件輸入元であるところの米国は特にここ最近薬物の合法化が進められている事もありますから、その有責性の軽重は個別具体的に事情を考慮する必要があるわけで、氏の受けるべき非難等の程度は一概には判じ難い面もあるわけです。例えば、米国在住時には普通に処方を受けていて、日本でも別途処方を受けていたけれども、米国に保管していたストックを使い切るために取り寄せたところ、その際に事前の許可が必要な事を知らなかったか失念していた、といった事情なら、それ程悪質性は高くないものと評価され得るでしょう。

なので、逮捕の報に驚きつつも、詳細が続報されるのを待っていたのですが・・・果たしてその実は、本人にそのような強度の鎮痛剤を服用すべき健康上の事情はなく、かつ輸入に際しても品名に薬剤とは記載せず、全く関係ないネックレス等として、中身もそれらで薬を隠すようにしていたというのです。それが事実であれば、その目的、手段共に、典型的かつ最も悪質な類の、確信的な不正利用目的での麻薬密輸入としか理解し得ないものであり、従って当然にその他の麻薬犯罪と同じ程度の非難と刑罰が課せられるべき酷い犯罪と評価するしかないのです。もう色々と考えていたのが馬鹿馬鹿しくなる位の話で、全く以って時間の無駄でした。勝手に考えておいて言うのも何ですが、遺憾な限りです。

しかし、なんなんでしょうこの人。仮にも大企業グループの役員を歴任して来ておいて、何故にこんな稚拙かつ悪質な犯罪を犯しうるのか、いささか理解し難く思われてなりません。しかも広報担当でしょう?各国の法や習慣、社会の性向等に明るく、親和性も高い人物が就いて当然な筈なのですが、何がどうしてこんな(日本社会に対して)反社会的な人が据えられてしまったのでしょう。本当に件の女性登用のノルマ達成だけを目的とした人事だったという事なのでしょうか。確かに、経歴とか見た目とか女性であるとか、外見さえ良ければそれでいいと割り切った結果だとすれば、成る程そうかと理解出来なくもないところです。そう思って見てみれば、本部長ではなく副本部長というのにもお飾りっぽさが漂っていて見えて、整合する気もします。だとしたら、形式的に過ぎた、実質面で不適切な人事の自業自得として、案外この結果も必然と言えなくもないのかもしれませんね。

いや、女性閣僚の不祥事の件の際には、まさか民間ではそんな自殺に等しい愚かな真似はしないだろうと思っていたのですが。真っ先にかような人事を平然とやらかすとは。。。あのトヨタが、と意外に思うべきか、それともやはり日本を代表する企業、悪い面でも象徴的だ、と呆れるべきなのか。少なくとも愕然とせざるを得ないのです。この様子だと、他所も推して知るべしでしょうし、下の方は何をかいわんや、もっと酷い事になってそうです。いやはや。ご愁傷さまといううか、阿呆ですねえ。全く以って笑えませんが。

あと、まさかの上にもまさかとは思いますが、その薬、交際等の業務に利用していたなんて事は・・・流石にないですよね?本件の異常ぶり、というか、本件を平然とやってしまう位の人物なのだから、と有り得ないと言い切れないあたりが恐ろしい。ここから芋蔓式に、とかなったりしたらとか考えるともう。。。くわばらくわばら。まあでもいい機会なのかもしれませんし、司法関係者にはこの際徹底的にやって頂きたく思う次第です。

ビニールで箱梱包、麻薬小分け=内容物は「ネックレス」申告-トヨタ常務密輸事件

それで、本件を受けたトヨタのコメントの白々しい事。法を犯す意思がなかったと信じているだとか、この状況で何を世迷言を、と呆れる他ないわけです。むしろ何故そう思えるのか、相応の具体的な根拠とか理由があるなら是非聞かせて頂きたいものです。まさか他の役員や社員も同じ穴の狢だから、とかいうんじゃないでしょうね。

トヨタ社長「仲間を信じ、捜査に協力」 役員逮捕

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6/07/2015

[note] Ubuntuサーバに外付けHDD追加後、再起動時にエラーで止まる不具合への対処

最近、サーバにデータストレージ用に外付けHDDを増設したところ、その初期設定中にちょっとしたトラブルに遭ったのでメモ。なおサーバのOSはUbuntu(15.04,64bit)です。

と言っても、おそらくは遭遇する可能性自体そんなに高くないだろう事象なんですけれども。何かというと、初期化やマウントの設定等の後、再起動時に当該ドライブが見つからず、エラーを吐いて止まってしまうようになったのです。

その内容を説明する前に。エラーに至るまでの初期化等の手順は、大まかに以下の通りです。

1.稼働中のubuntuサーバにHDDをUSBで接続し、自動マウントされたものを即アンマウント
2.ドライブ内の初期パーティションを全て削除し、[Linux Filesystem]形式のパーティションを作成
3.作成したパーティションをext4でフォーマット($sudo mkfs.ext4 /dev/sd*1)
4.マウントポイントを作成し、手動でマウント
5./etc/fstab にUUID指定でオートマウント設定記述追加

以上の作業の後、再起動したわけですが、"Error: no medium found at /dev/sd*1"とか言う感じのメッセージと共に緊急モードへのログインプロンプトが出て止まるのです。Ctrl-Dで再実行、等ともあったのですが、試しに再実行してみても、同様のエラーメッセージが出て元に戻るばかり。再起動してみても変化もなく、仕方ない、と諦めてそこからログインして確認したところ、当然ながら追加したドライブはマウントされていないものの、ハードの認識はされています。従って、ドライブに問題があるのではなく、ファイルシステム側でマウントに際してドライブを見失っているだけ、という事になるのですが。。。これは妙な事になった、と首をひねった次第なのです。

というのは、上記5.にある通り、起動時マウントの設定はマウント先ドライブのUUIDを指定して行っているのだから、ドライブが認識されている以上、本来なら見失うなどという事は起こりえない筈なのです。どういうことなのかと。フォーラムのログを漁ってみても、今ひとつコレという情報も見当たりません。と右往左往することしばし、埒も明かず。

何らかの不具合な事は明らかながら、既知の事例が見当たらず、原因もわからない以上は自分で試行錯誤するしかないわけで。面倒な事になった、とため息を吐きつつ、workaroundの検討をする羽目になったのでした。経過の詳細は省きますが、fstabの設定を元に戻したり、その他のストレージ類を付け外して干渉の有無をチェックしたりと、色々と確認してみたのです。

その結果ですけれども。問題は解決し、正常に起動し、当初の意図通りマウントもされるようにはなりました。やれやれです。原因は、多分に推測が入るのですけれども、おそらくは上記手順の内、1.がまずかったのだろうという結論というか推論に至ったのです。具体的には以下の通り。

まず、上記1.のように既にリムーバブルドライブが接続されているところにリムーバブルドライブを追加する場合、既存ドライブより後ろのアルファベットがドライブレターとして割り当てられます(/dev/sd*の*の所)。

その状態で上記2.から5.までの作業を行うと、システム側に、そのドライブがそのドライブレターでマウントされた旨記録され、その後の再起動時にその記録を参照・照合して再マウントしようとしているようなのですね。(チェックをしているだけなのかもしれませんが、外からは同じように見えるでしょうしその辺は判然としません)

で、再起動の際、ドライブレターに変更が無ければ特にそれが問題になる事は無い筈なのですが、外付けドライブの場合、ドライブの検出順に割り振られる結果、再起動前と異なるドライブレターが割り振られてしまう事があります。※実際、私の場合は再起動前後で変わっていました。

すると、ファイルシステム中の記録と齟齬を起こし、ドライブ自体は検出されているにも関わらず、マウント対象とは認識出来ずにエラーとなってしまう、という事になっているようなのですね。

あくまで推測ですが、再起動前のドライブレターがエラーメッセージに出る以上、そう解釈する他無いように思われます。そうだとすれば、なんという間抜けな、というか。そもそもそういうエラーを避けるためにドライブをUUIDで指定してる筈なのに、それじゃ意味が無いと思うのですよ。この結論に至り、解決法を見出すまでに何回も再起動をさせられ、時間を浪費する羽目になった身としては、文句の一つ位は言う権利もあるだろうとも。なお、本件事象は、ext4だからなのかとか、具体的に何処のプロセスでの事なのかといった詳細は未検証につき不明です。

ともあれ。本件不具合の原因は、再起動の前後でのドライブレターの齟齬にある、とすれば、それを回避するには、その齟齬を無くせばいいわけです。その方法は色々あると思いますが、例えば以下の手順を踏めばいいでしょう。

f1./etc/fstabの記述を追加前の状態に戻し、再起動(各種ドライブは接続)
f2./etc/fstabに記述追加
f3.fstabに基づいて再マウント($sudo mount -a)

こうすれば、起動時のドライブレターでマウントされた状態が記録される事になります。これで解決。もっとも逆に言えば、最初に接続したあと、各種設定を行う(上記1.の)前に再起動をしておけばf1と同じ状態になるのですから、そうする方がスマートと言えるだろう話なのですけれども。後から言っても仕方のない事ではありますし、今回はあくまでトラブルとその解決方法の報告、という事でこれでおしまい。やれやれです。

6/05/2015

[biz] 新製品が相次ぐ音声操作端末に見る機能と技術の齟齬、コンセプトの破綻

何と言うこともない話なんですが。最近、音声に特化した据え置き型端末の新製品が立て続けに目に止まりまして。あれです。ホームコントローラとかパーソナルアシスタント等と称される、部屋に設置しておいて、音声で会話したり天気予報を検索したり、オーディオや各種家電を操作したりする類の端末です。どれも中身が技術的に殆ど同じような感じで、今は音声関連技術のトレンド的に一種の製品化ラッシュが起きやすいタイミングにあるのかなと、ちょっと気になった次第なのです。

特に目を引いたのが、米AKAStudy社のMusio。人型のロボット然とした外観の製品で、中身はAndroidOSを採用したスマホ類とほぼ同じ。人型と言っても機械的な動作は一切せず、ただ顔にあたる部分にモニタが入っていて、表情等を変化させる機能がついています。有り体に言えば、タブレットを人形の顔部分に突っ込んだものとほぼ等価ですね。価格はCPU等のグレードや機能の有無により、$159(basic)から$599(genius)まで。これに開発キットやアドオンボード等のオプションが色々設定されているようです。

機能は概ねその中身から当然に予想される通りで、概ね文単位の簡単な音声入力を認識し、Siriライクな応答を返す会話ロボットとしての機能を持ち、その延長として各種家電の制御や外食等のレコメンデーション機能等が実装されています。

これらの機能は、デモ映像を見る限り、それなりに動作はしているようです。一昔前までの音声認識ロボットと言えば、機能面の謳い文句は似たようなものながら、その実は特定の予め登録された個々人の音声による、少数のコマンドにしか応答しない、しかもその精度も著しく低いという、はっきり言ってお粗末で話にならない詐欺そのものの代物だったわけですが、それを思えば隔世の感がありますね。

ですが一方で、まだとても実用に耐えるとは言えないとも思うのです。理由は色々と思い浮かびますが、何よりも致命的だろうのはそのレスポンスの悪さ。音声を発し終えてから、各種応答をするまでに数秒以上のラグが生じるのです。その上、認識に失敗して誤った応答をする事も少なくないようです。これはちょっと。。。音声入力の終わりを検出して、それを認識し、その内容に応じた処理を行って、応答音声を作成する、とここまでやって初めて応答が開始出来るわけで、そのラグにもある程度致し方ない面がある事は理解出来なくもありません。ですが、それはあくまで作る側の事情に過ぎず、ユーザが使えるか否かとは関係ない話なわけで。それでも我慢強く使うという人もいないわけではないかもしれませんが、大多数がそうだとはとても考えられません。残念ながらこれでは一般向けの会話ロボットとしては成立しないでしょう。

会話ロボとしては使えないだろう以上、それでも売るというのなら、その他の機能すなわち家電コントローラやネット用の端末として利用するしかないでしょう。しかし、こちらにも看過し難い問題があります。精度の低さです。このため、努めてゆっくり話しかけ、応答まで何秒も待つ必要があるのですが、その挙句にやり直しを強いられる事もしばしば。これでは思うように操作出来ず、多くの人に取って我慢ならない欠陥品との烙印を押されるだろう事は確実です。また、デモでは殆ど確認出来なかったものの、その構造から推測される不安点もあります。雑音等、周囲に他の音がある場合にエラーが増える可能性が極めて高く、通常の利用シーンでこれが問題になる可能性が非常に高いものと思われるのです。

如何にも置物らしい外観を持ち、音声により接触せずに操作出来る事を売りにするこの種の端末を、タブレットのように一々持ち歩いたりする人はおそらくいないでしょう。通常、室内の何処か、棚の中等に設置され、その室内中の任意の場所から操作されるべきものと捉えられる筈です。しかし、室内で人が発する声は、必ずしも端末へのコマンドばかりではありません。むしろコマンドの方が少ないだろう事は明らかです。然るに、ある程度離れた場所から、また様々な方向から届く声の中から、どうやってその端末へのコマンドを選別するのか。まさか端末を置いた部屋では電話も独り言もするな、とでも言うつもりでしょうか。そして、ここでさらに問題になるのは、そもそも当然ながら室内は無音ではないという事です。客人等、複数人が居れば会話もなされますし、テレビや各種オーディオから音声が飛び交って当然の環境なわけです。この中から、端末へのコマンドをどう判別するのでしょうか。

これは従来から音声入力を操作に用いるデバイスでは問題になって来た点で、例えばGoogle Glassでは、操作者からの距離で環境音との区別を図り、かつ入力前に"Ok,Google"とトリガーを発声する仕様にして本人の発する声の中からコマンドを判別する仕様となっていましたが、それでも誤認識は解消出来なかったそうです。今のところ、音声のみによる操作を採用したデバイスで、この問題を十分に解決する方法を発見し得たという話は聞きません。必ず、音声以外の情報による補助、離れた位置からの音声は除外し、マイクアレイ等によって方向を限定し、さらに画面等のタッチによるトリガーを加える等、何重もの限定処理を加えてなお誤りを排除し得ない、というのが現状と言います。要するに、任意の位置から任意のタイミングで発せられる音声には対応出来ないというわけです。ここ最近のデバイスも、おそらく例外ではないのでしょう。

これはすなわち、そういうコントローラやネット端末としても、そのコンセプトに沿った使用には到底耐えないだろうという事になるわけです。そりゃそうです。何らかのコマンドを入力しようとする度にその場の全員が声を潜め、テレビやBGMを全てミュートにしなければならないコントローラなど、誰が使うというのでしょう。しかもそれがラグまみれのうすのろで、声を発する度に無音の状態を何秒も待たされるというのですから論外です。従来通り、ボタン等の確実に動作するリモコンやスマホを取り上げて操作する方がよほどスムーズかつ確実で、合理的なわけですから。

もし、周りでどのような声や音が飛び交おうとも、その全てを適切に認識し、自身へのコマンドや呼びかけを適切に拾い、応答を返す事が出来るというのならば、遅延は酷くとも全く使えないという事もないのでしょう。しかし、実際の所それは技術的にあまりに困難である事は明らか、watsonレベルのデータベースとプロセッサが当たるならまだしも、一般向け程度の端末にそのような処理能力があろう筈もないわけで。

おそらくはむしろ逆、すなわちそういう処理能力の低さ、精度の悪さが拭い難いものであるが故に、頻繁に誤りがあっても許されうる用途として"会話"を主機能に出しているのではないかとも思うのです。そう考えると、何とも残念というか姑息というか。本来、会話というのは十分な知性、言い換えれば認識の精度や速度といった能力が基礎としてあって初めて成立するものであって、簡単な文を機械的に認識し、応答を返すだけで成立するとはとても考えられないのですが。。。要するに、製品のコンセプトが矛盾を来し、もはや破綻していると思うのです。

なお、中のハードはじめ技術的には殆ど同じと言えるだろうAmazonのEchoは会話を排し、というか外観からしてロボットというより音声認識機能を付けたスピーカーというべき代物で、機能面もネットショッピング等コントローラ端末に特化しているため大分毛色が違いますが、それはそれでやはり音声認識等の速度・精度面で難がある事には変わりなし。特に誤認識率の高さについては、そんな不安定なものを買い物に使うのは怖いと思う人は多かろうし、こちらもコンセプト自体に齟齬があるんじゃないかなとも思うのですが、Amazonはどう考えているのでしょうね。

あと、何かタカラトミーが20000位で似たような機能の会話ロボを子供向けに投入するって話も聞こえてきましたが、価格からして、おそらくMusio以上のものでは有り得ないでしょう。 子供向けにしては高い価格と、その酷く舐めた感のある嘘満載の機能・性能が広く受け入れられるとはとても想像出来ないのですが、果たしてどうなるやら。

そんな感じで、一見洗練されているように見えなくもないものの、どれもやはり技術的にまだ実用になっているとはとても言えず、コンセプトが破綻しているだろうものばかりでがっかり、なのです。Siriに始まったボイスアプリがスマホ上でそれなりに定着した事を受け、これを使って次のビジネスを生み出したい、という意図はよく分かるのですけれども、作ればいいってものではないでしょうと。こういうシーズ先行でニーズ無視、かつ過大広告で失敗した例は数しれず、とりわけロボットで言えばペットロボは、失望の果てに跡形もなく消えました。汎用技術を基盤に採用している分安価になったものの、基本的な性質は同じもののように見える本件、結果も同じになるのか否か。さて。

Adorable AI-powered robot Musio just wants to be your friend
タカラトミー、会話ロボを家庭へ ドコモと連携

6/02/2015

[IT] 年金情報流出125万件、故意すら感じさせる国と公務員の無能

年金がやってくれました。被保険者計125万人分の個人情報流出とのことです。

本件流出情報の具体的事実は各所で十分に報じられていますから省略。原因は日本年金機構の職員が、ウィルス付きのメール、おそらくはその添付ファイルを誤って開いたために感染し、さらにそのPCから発せられたウィルスメールを受け取った別の職員がこれまた誤って開いて二次感染、これにより年金番号や氏名、住所等が記載されたファイルが流出したとのこと。

いやまあ、もはや云々するのもアレな話なんですけれども。わかっていましたけれどもね。そもそも情報を取り扱っているのがリテラシーの概念自体持っていないような人達である以上、一度攻撃を受ければ、容易くこういう事態に至り得るだろうという事は。新種のウィルスにつきアンチウィルスソフトが反応しなかったとか言い訳をしているそうですが、聞くに堪えません。

そもそも、そんな情報をメール操作のような一般業務を取り扱うPC、もしくはそれと常時接続しているようなサーバに置いているというのも論外ですし、さらにそれをオープンなネットワークに晒しているというのも滅茶苦茶です。その上、パスワードの設定すらしていなかったというのにはもう。。。言葉もないわけです。閲覧の制限すらもないというのですから。管理云々以前に、そもそも組織的に流出させる意図があったとしか思えませんね。

年金の基盤システムへの不正アクセスは確認されていない、とか一応の予防線的な付言もあったようですが、そもそも物理的にもソフト的にも閲覧制限が無く、権限も管理されていない情報に対して、何を以って適正もしくは不正と判断するというのでしょう。一々真面目に考えるのも馬鹿らしくなりますが、確認されていない、ではなく、確認出来ない、であるのは疑いようの無いところであって。むしろ、125万件以外が流出しなかったと判断し得る根拠は全く無い、とも言えるでしょう。

要するに話になっていません。一から十まで。これから導入される予定のIT企業向け税金横流し事業ことマイナンバー制度にも懸念が生じるとする意見もあるようですが、今更何をと。国の機関、またその人員には、そもそも管理する能力も意思も無い事は最初から明らかのだから、流出防止策など考えるだけ無駄というものです。

取りうる対応としては2つしかありません。当然に流出が起こる前提で、流出しても問題ない制度設計にするか、そもそも情報を持たせないか、です。要するに管理しよう、させようとするだけ無駄なのだから、最初から管理させないのです。誠に遺憾ながら、それより他に取りうる手段はないでしょう。あるなら知りたいというか、それすらもうどうでもいいような最悪の気分です。ああ馬鹿らしい。

年金情報流出:内規違反 55万件にパスワード設定されず

[biz] IntelがFPGA大手ALTERAを買収

Intelが珍しく大型買収とのことです。FPGA大手のALTERAを16.7Billion(約2兆)で。

このところ、クラウド等サーバ用の大規模高速処理向けにシフトし、汎用と特化の間で確固たる強みを有していた同社の価値が低くない事は明らかではありましたが、それにしても年間売上の約10倍、利益比約30倍というのは驚きの高評価です。昔はメディア処理用のボードとか、そこかしこでALTERAロゴの入った大きな銀色のチップが見られたものですが、その種の需要は衰え、個人の目に止まる頻度は激減していました。しかし、似たような位置づけにあった各社がそうであるように衰退したのではなく、むしろ時代に適応する事に成功していたと言うべきなのでしょうか。にしても回収出来るんでしょうかね。それなりの成算あっての事なんでしょうけれども、とそれはともかく。

従来のPC向け需要が急激な減退期に入ったIntelが似たような感じでクラウド等大手向けビジネスの強化をますます強める中、両社の方向性がマッチしたと判断されたのでしょう。IntelはFPGAを取り込んで事業を大幅に拡大しつつ既存ビジネスとの連携による強化を図ると同時に、ALTERAのFPGA事業はIntelの圧倒的な製造プロセス技術を導入する事で飛躍的な性能強化及び生産性の向上が得られる、というわけです。メリットは明らかな上、重複の懸念はあまりなく、敵対性等の今後に不安を残す要素も殆ど見受けられませんし、ステークホルダーにも規制当局にも概ねすんなり受け入れられるのではないでしょうか。実際そんな雰囲気ですし。

しかし本件、IntelがFPGAを本格的に取り込みに掛かったという事で、ARMに食われつつあるとはいえ今なお圧倒的なシェアを誇る高性能CPUをはじめとしたPCの基本アーキテクチャに加え、付加価値と将来的なものを含め需要の極めて高いエキスパートシステム的な部分も自前で賄えるとなると、関連業界内のパワーバランス的にも相当なインパクトがある筈なわけで。それがこうもあっさり受け入れられる空気になっているというのは、独禁法絡みで一々大騒ぎになっていた以前と比べると隔世の感があります。

それでもやはり波紋は大きいでしょう。FPGAの一方の雄Xilinxはこれにどう対抗するのか。普通に考えれば到底太刀打ち出来ないだろうと思われるわけなのですが、上手く居場所を確保出来るのか。AMDやARM陣営はただ静観するのか。また、今回の買収、それによるIntelの事業強化の恩恵を受けつつ、一方で競合の懸念もあるだろうIBMあたりはどう動くのか。非常に興味深いところですが、そのビジネスの性質上、外野からは個別具体的な経過は見えず、結果になるまで分からないのが少し残念な気がします。むーん。

ちなみに買収額は、直近の株価に10%程のプレミアムを付けた金額とのこと。普通それ位は付けますよね。改めて思い起こしてもスタバの件は無茶苦茶でした。

Intel Agrees to Buy Altera for $16.7 Billion

[関連記事 [biz] スターバックスの日本法人完全子会社化プランが黒すぎる]

5/29/2015

[biz law] 日本ハム、特許の効果捏造がバレて取り下げ

日本ハムが虚偽の効果を謳った特許を申請・取得し、数年に渡りライセンス収入も得ていたところ、その嘘がバレたので取り下げた、とかいう信じ難い話が。なんじゃそら。

具体的には、豚用の飼料への添加すれば従来比3倍の免疫機能向上効果が得られるとして申請し2010年に取得した乳酸菌の新種に関する特許について、申請後に内部検証で効果が無い事を認識しておきながらそのまま取得、さらに製薬会社にライセンス提供し、これまで2268万円のライセンス収入を得ていたところ、効果が無い事が露見したんだとか。

当然ながら特許は取り下げ、ライセンス料は返還するとの事ですが。製薬会社は本件の乳酸菌を配合した飼料を販売するに際し、特に免疫向上を謳ってはいない、とか言っているそうですけれども、わざわざライセンス料まで払っておいてそんなわけないだろうし、その営業トークに騙されただろう購入客にも賠償が必要でしょう。また、優良誤認につき日本ハムには刑事罰も併せて課されるべきでしょう。

しかし阿呆にも程があろうかと。恐らくは先日の理研のSTAP細胞捏造と同様、研究所の開発部隊が多分に保身のため、成果を焦ってやった事なんでしょうけど、企業の特許なんて効果が十分なら即製品化されるものだし、製品になれば当然広く利用され、効果のあるなしも真っ先にユーザの実地検証を受けるもの、早晩露見する事は目に見えていたでしょうに、何故そんな稚拙な嘘を付いたのか。免疫機能の向上というのは把握に時間がかかる面はあるにしても、隠し果せると考えた事自体が理解し難いところです。畜産業自体を舐めていたのか、単に無知だったのか、それとも先の事は何も考えていなかったのか。いずれにしても話になりません。

もっとも、毎年多数申請される特許が全て特許の名にふさわしい新規性や効果を備えているはずもなし、おそらくは本件のように単に研究・開発職のノルマ達成のためにでっち上げられた無意味もしくは虚偽の特許も特段珍しいものではないのでしょう。それらの特許群と本件との違いは、その謳った効果の高さ、実用性の点だけなのではないでしょうか。すなわち、他の虚偽特許は、効果が微妙だったりして実用に至らないために、検証もされず、従って露見もしない、それだけの事だと思うのです。

どちらも特許には値せず、無駄なものであって、公益の観点からは害悪でしかないし、その意味でいずれも非難を免れない事に変わりはないでしょう。ただ、本件や理研の捏造は、その後始末も含め直接間接に現実の被害を生む点でより悪質だと言わざるを得ません。本件の犯人たる研究者達が何を考えてその業務に従事してきたのかは知りませんが、その資格も適正もない事は明らかなのだから、即刻職を辞し、然るべき裁きを受けて頂きたいと強く思う次第なのです。 というか、犯罪に手を染めてまでその職にしがみついたところで、一体何になるというのでしょうか。全く以って理解出来ませんし、容認も出来ません。合理的に考えれば、そんな状況に追い込まれる前に潔く辞めて、他の職を探すべきと分かりそうなものに思うのですけれども。。。困ったものです。

日本ハム、豚飼料用乳酸菌で効果偽り特許登録 取り下げへ 

[関連記事 [note] 研究開発における捏造の必然性について]

[biz law] FIFA汚職立件に見る国際組織摘発の困難性

サッカーの国際組織、FIFAが大変な事になっていますね。長年、その高い経済的価値から、国際大会の開催地選定等を巡って各候補地やスポンサーから委員への贈収賄等の汚職疑惑が絶えなかった同組織ですけれども、その長年のツケを払う時が来た、という事でしょうか。

本件はいささか規模の大きな話につき、その全容を挙げて論じるのは止めておこうと思います。各所で解説はされていますしね。私が気になるのはただ一点。この種の国際組織が摘発される事自体がとても珍しい話なわけですが、どういった方法、建前でそれがなされたのかというところです。

本件の摘発に当たったのは、直接的にはスイスの当局です。FIFAの会議がスイスで開催されていて、嫌疑のかかっていた委員達がその出席のためスイスに集まっていたところ、そのホテルに踏み込んで一斉に逮捕したのだとか。管轄的には現地の担当なのですからこれは当然と言えますが、しかし本件の実体面での捜査を担当というか主導していたのは米FBIなのですね。

報道されたところによると、FBIから告発された容疑は主に贈収賄に絡んだ資金洗浄で、ニューヨーク等の金融機関を経由してなされたとの事。これに絡んで米国の各金融機関が主な捜査対象に含まれています、というかむしろそちらから発覚したと考えるべきなのでしょう。具体的には、南アフリカW杯の開催地決定選や中南米での国際大会、またそれらに関する放映権の獲得に関して、それらの金融機関を経由して隠蔽を図りつつ成された委員向けの贈収賄、特にその過程での資金洗浄が違法とされる、との事。ここで米国の金融機関が関与しているため、米国の捜査機関に管轄が生じた、という建前なのですね。で、FBIは贈収賄については特に言及しておらず、そちらはスイス当局が起訴時の罪状に挙げているようです。

米国側での主たる容疑は贈収賄ではなく資金洗浄、というところが本件の特徴的な点と言えるでしょうか。資金洗浄と贈収賄では、一般に後者の方が重い罪と見做されるものでしょう。けれども、FIFAは特定の国に属しない国際組織であり、従って贈収賄により侵害される公益の所在も特定の国に専属するわけではなく、従ってその管轄が必ずしも明確でないために、各国とも自国内での公益侵害を問う類の罪による検挙はし難い筈なのです。如何に世界の警察たる米国、その司法当局と言えど、その国に属する機関である以上、国内法の管轄内でなければ罪に問い得ない、というわけですね。対してFIFAの本部が立地し、直接的な管轄があるスイス当局にはより広範で一般的な管轄があるため、贈収賄による起訴が可能だと。逆にスイス当局にはおそらく資金洗浄についての管轄は無い筈なのですけれども。

といって、米国が贈収賄を全く問えない、というわけではないでしょう。ただ、FIFAは米国の組織ではないため収賄での検挙は困難な筈であり、直接罪に問えるのは贈賄側、それも米国籍のある者に限定されます。このやり方、すなわち贈賄側からの摘発だと、贈賄者の属する各国の司法当局が各々の管轄の被疑者をそれぞれ摘発する、という極めて煩雑な手続きによらなければならないのですね。それは流石に現実的でなく、やるとしても容疑が具体的に明らかになってからでなければ難しいでしょう。このため、今回は実現可能性や効率を重視し、米国と現地当局の二者のみで、贈収賄と資金洗浄とに容疑を分担する形で摘発したのだろう、と思われるわけです。それでも大変だったでしょうに、よく頑張りました。その努力は素直に賞賛したいと思います。
 
ただ、これで終わり、とはとても考えられません。こういう、その法的な摘発のされ難さが、国際組織を一種の安全地帯にし、それが汚職の土壌になっただろう事は殆ど疑いようの無いところで、組織の構造自体が原因である以上、その影響がごく一部に留まり、その他は清廉である等という事があり得よう筈もないのですから。本件にしても、やはり米国が主たる役割を担っているからか、摘発の対象は米国の金融機関を経由した部分が中心で、その他は必ずしも十分に捜査されたわけではないものと思われるのですし。実際、具体的容疑に挙げられた大会や逮捕された委員は中南米関連ばかりで、従来から汚職疑惑が掛かっているところのカタールやロシアはじめ候補地に関連したところが全く含まれていません。そもそも贈賄側や各スポンサーはじめ企業周りは殆ど手付かずですしね。VISAはじめ、スポンサーからの撤退検討を表明した企業も複数あるようですが、それが潔白の証明になるわけでなし。

そちらはそちらで、残りとかそういうような生易しい話ではなく、どれも国際的な企業だったり国家そのものだったり、罪に問うのも捜査するのも、管轄から色々と、本件にも増して大変な話になるだろう難物なわけです。むしろ中南米より余程摘発が困難で、かつ手を入れた後の影響が甚大だから今回は見送って、摘発が容易で影響も限定的な部分から手をつけた、と見るほうが自然な気がします。これからの案件であり、普通にW杯の開催が白紙になりかねないロシアとか中東とか、既に脅迫まがいの予防線を貼りまくってる様子から察するまでもなく普通に死人が山程出るでしょうしね。米国司法の手にすら余るだろう話に見えるのですが、各国が連携して一斉摘発、というのも中々想像しづらいところ、さてどうなるのやら。どうせFIFAの委員は会長以下殆ど全員黒なんだろうし、いっそ、本件から芋づるで一気に全員逮捕して組織は一端解散、位までしないとすっきりしないと思うんですが、当局は何処まで、どうやって頑張ってくれるんでしょう。あまり期待しないで、しかしその工夫には注目して待つとしましょうか。

The most damning bribery allegations from the bombshell case against FIFA
Putin, on Guard for 2018 World Cup in Russia, Denounces FIFA Arrests
FIFA、9大会で汚職…放送権受注で

[biz law] 北越紀州製紙子会社で15年24億超の横領発覚

北越紀州製紙の子会社で多額の横領が発覚したそうです。

容疑者は、北越紀州製紙の不動産関連子会社である北越トレイディングの経理担当部長。正確には懲戒解雇されていますから元部長ですけれども、虚偽の手形を振り出して換金し着服していたそうです。この種の横領、それ自体は昨今では取り立てて珍しいわけでもありませんが、本件はその期間と額が凄いのです。聞けば実に15年、総額24億超にもなるんだとか。

北越紀州曰く、長年同一業務担当でチェックが働かなかった、との言い訳をしているそうですが・・・。いくら不動産関連の事業はスパンが長く、かつ子会社の決済権限者の犯行につき発覚しにくい、と言っても、無理がありはしませんかね。子会社だから本体とは隔離されていた面はあるにしても、北越は紀州を2011年に吸収合併していて、少なくともその際にはグループ全社にそれなりの監査が入っていた筈なのですし。一般的に言って、その部長の権限がどのようなものであれ、一管理職程度が単独で隠し果せる額ではないと思うんですが。怪しすぎます。

しかもその目的が遊興費等の専ら費消するだけのもので、自転車操業ですら無く、従って実体的には何ら誤魔化せる要素が無かったというのですから尚更です。仮に監査の類いが形式的なものだったにしても、本件の手形周りの操作は全く帳簿上に残らないわけでは当然なく、物品の購入にせよ、下請の依頼にせよ、何らかの取引を仮装して振り出された事になっていた筈。その全てが一切、実際の発注も検収手続きもされずに成し得る仕組みだった、という事なのでしょうか。それともその確認等も全てこの部長が単独で担当していたというのでしょうか。経理部長が?仮にそうだとして、棚卸等はどうやって誤魔化したのか。部下や発注等の各業務の担当は居なかったのか、もし居たなら、それら担当者の全てが気付かない、等という事が有り得るのでしょうか。

結局のところ、この規模の仮装取引が、何がどうなっていればこんな長期間見過ごされ得るのか、全く以って不可解と言わざるを得ないのです。一体どういう事なんでしょうね?

北越紀州製紙 子会社元幹部が24億円余着服

5/25/2015

[note] John Nash、事故により逝去

数学者のJohn Nash氏がこの世を去ったそうです。享年86、ノルウェーでのAbel prize授賞式からNew Jerseyの自宅へ帰宅する途上、乗っていたタクシーがガードレールに衝突する事故を起こし、おそらくシートベルトを着用していなかったために車外に投げ出されたとのこと。同乗していた妻のAliciaも共に。

多少なりと応用数学に触れた者ならば誰しもが感銘を受けただろうNash均衡の概念提唱をはじめ、氏の業績はあまりに偉大でした。その人生の終わりがこのような、その魂にふさわしいとは到底言えないだろう形になった事は極めて残念ではありますが、氏がこの世にもたらした恩恵に感謝を捧げつつ、冥福を祈りたいと思うのです。R.I.P.

John F. Nash Jr., Mathematician Whose Life Story Inspired ‘A Beautiful Mind,’ Dies at 86

5/21/2015

[IT biz] 信金ネット傷害、東日本50信金のサービス停止

信金ネットが久しぶりに傷害を起こしたそうです。勘定系の一部サーバが起動せず、これに伴って関東を中心とした東日本の50信金でATMやネットバンク等の各種サービスが朝から昼前まで、半日程に渡って全面的に利用不可に。

またNTTデータ&富士通の仕業ですか。。。前回は2012年でしたっけ?あの時止まったサービスは確か法人向けネット決済のみでしたけど、その代わり全国の142信金が対象で、まる一日止まりもした筈ですから、被害の規模としては差し引きしておよそ似たようなものと言えるでしょうか。普通に大惨事です。

体制や担当はまさかあの時と同じではないでしょうけど、仮に同じなら無責任・無反省も甚だしいし、さりとて変更されていたとしても、それはそれで同じように再発したからには無意味であって運営する組織の構造自体に問題があるものとも考えざるを得ないわけです。いずれにせよ、非難は免れないというか、これを理由に見限られても仕方ない失態というべきでしょう。ホント懲りませんね。困ったものです。

東日本にある50の信用金庫でシステム障害

[関連記事 [IT biz] 信金ネット決済が障害でダウン]

[law] ドローン撮影配信の少年、業務妨害容疑で逮捕

結局はこうなるんですね。配信用映像撮影のため各地でカメラを搭載した無人ヘリ通称droneの遠隔操作によるイベントの空撮を繰り返して、一度は行事の只中に墜落させて社会中から非難を集めもし、幾度と無く警察の指導・警告を受けながら、全く反省もせずその後も挑発的に飛行・撮影を続けていた少年が逮捕されたそうで。

容疑は威力業務妨害。先日開催された浅草・三社祭に際し、事前に撮影の予告をして開催者に撮影自粛のアナウンスや掲示等、諸々の対応を強いる事で運営を妨害したものとされています。本来なら墜落のあった善光寺の件も同罪に該当する筈なのですが、その際は善光寺側が予告等を認識せず、従って事前の被害は無かった事、また当日の墜落やそれ以降の騒動についても、単に善光寺側が告発を控えた為に刑事化が避けられたに過ぎませんでした。あの無反省ぶりからすれば、いずれはこうなるだろう事は当然に予想されたところであって、特に驚くべきものではないし、それ自体は有り触れた単なる愚か者の不法行為が、たまたま話題性あるデバイスを使用し、また個人映像配信を介したがために注目を集めた、というだけの話なのでしょう。

とはいえ本件の社会的影響は小さくないわけで。すなわち、遠隔操作ヘリに関して、その犯罪に悪用され得る負の側面が広く社会に印象付けられ、その対策のために法による強行的な規制の導入を是とする論調が急速に高まっている事は周知の通りです。無論、これまでも官邸屋上へのデモを意図した墜落等を経て規制が導入されつつはあったものの、産業発展への配慮もあってか、概ね重要な施設等での個別限定的なものに留まっていたし、一般的な規制については必ずしも強く意識されていたわけでは無かったように思うのです。そこに現れた本件。それら個別の規制ではとても対応し得ず、従って一般的かつ広範な規制を求める根拠足り得る具体的な事例として認識されてしまった、いうわけですね。

しかし、一般的な規制を導入する、と口で言うのは簡単ですが、実際には相当に面倒な話だろうものと懸念されるのであって。予想される規制の内容としては、大まかに言って、使用者及び機体の登録制導入や、私有地外における飛行可否の条件や各種注意・管理義務の制定、事故等の発生時における規律、各種損害保険への加入義務付け等が考えられますが、それらを満たすために利用者に求められる知識の複雑さは相当なものと思われます。加えて、仮に事故等が発生した場合、基本的に高所からの重量物落下であって、さらにプロペラの破損や高容量バッテリーの発火等により深刻な被害に直結し得る危険性を考えれば、資格制又は免許制が導入される可能性も低くはないでしょう。

もっとも、自宅敷地内での私的利用についてはさほど厳格にする必要もないだろうし、実際にそこまで規制するのは困難でもあるでしょう。その困難さから、従来法制すなわち本件同様個別に業務妨害や過失傷害等による規律で足りるとして放置するという考え方も無いではないだろうし、それは流石にまずかろうという意見も強かろうし、果たして何処までどう規制するか、あるいはしないのか、それを検討するだけでも、とても一筋縄では行かないだろう話なわけです。

ましてその後の運用、特に費用周りの面倒さについては何をかいわんや。人件費だけでもどれだけかかるか、その予算は何処から捻出するのか。ドローン税とか導入する?と言っても、現時点では国内に保有されている機体は数万台に過ぎず、そんな大掛かりな手間を掛ける程の経済的な利益は無く、従って税収も期待し得ないわけで。社会的にはもう面倒だから、と一律禁止になってもおかしくない状況に見えるんですが、さて立法と行政は頑張ってくれるのでしょうか。

正直に言えば、あまり建設的な結果は期待しづらく思うところなのです。けれども、元々遠隔操作ヘリ自体が個人より産業的な利用の方で役に立ちやすい類のものだろうと思うし、リスクやコストが過大になるというのなら、未普及な今の段階で思い切って切り捨ててしまうのもそれはそれで是認すべき判断と言えるのかもしれません。

こういう規制導入の是非やその程度に関する議論は、3Dプリンターで製造される銃器類を巡って起きたものと構造としては類似のものだろうと思うのですが、それに比べても本件のドローンは危険性や違法行為との関係性が有意に高いし、同様の結論が妥当とは考えづらいんですよね。うーん。どうなるのでしょう。

ドローン飛行示唆、15歳逮捕=浅草・三社祭の業務妨害容疑-動画で配信・警視庁

(追記)

ちなみに外国ではどうかというと、やはりそれなりに規制されているのです。操縦者から100m以内でなければならない、とか、一定以上の密度で人が密集している所の上空は禁止だとか。例えば英国だと1000人以上が集まるイベントでは不可になっているそうで、サッカーの試合を撮影していた人がこれに引っ掛かって逮捕される事件が少し前に起きもしたのです。本件の少年は英国なら普通に逮捕される事になりますから、国内導入されるだろう規制もそれに倣うというのも一つの候補になり得るでしょう。今の論調を見る限り、必ずしも多人数相手でないテロや示威行動の懸念も強いようですし、それを踏まえるともう少し厳しいものになりそうですけれども。

Man arrested for filming Premier League matches with a drone

そういう、ドローンの規制云々や少年の罪状とは別に、その活動の動機であり資金源でもあるところの動画配信周りに議論が飛び火しているようで。一応幇助や教唆の容疑は掛かりうるのですから無関係というわけではないものの、主に責任の所在に関してむしろそちらの方が問題視されつつあるようです。確かに、本件は未成年者の犯罪という時点で、監督義務のある保護者はじめ、周囲に一定の責任が帰せられるべきものではあるし、多少なりとその動画配信システム、またそれを通じて教唆や資金提供が成されたというのであれば、それぞれが相応の責任を問われて然るべきところかと思われるわけです。しかるにサービス自体が犯罪の温床になるというのであれば、規制が掛かるのも避け得ないところなんでしょう。経済的、社会的に見れば、ドローンへの規制よりもむしろこちらの方が影響が大きいかもしれませんね。逆に言えば、動画配信サービスの仕組み自体に内在する問題が表面化したのが本件と言えるのかもしれません。そうであれば、本件の発生は偶然ではなく必然の帰結だった、と解釈すべき話になるわけですが、さてどうなんでしょう。

[関連記事 [law] 銃作成対策に3Dプリンタの販売規制とかいう愚論]

5/20/2015

[biz law] タカタ製エアバッグ全面リコール、責任逃れの果て

全面リコールを頑なに拒否し続ける事半年余り。その間安全が確認されるどころか逆に問題は拡大の一途を辿り、新たな死亡事故も発生するに至ってもはや産業犯罪の様相を呈していたタカタ製エアバッグの件ですけれども、ようやく全米でのリコールに応じる運びになったそうです。しかしGMの件といい、自動車業界の人命軽視と不祥事の隠蔽ぶりは目を覆わんばかりです。一体どうなってるんでしょう。

本件の対象台数は約3380万。従来のおよそ2倍、リコールの規模の巨大化が著しい昨今にあってもなお突出した数字で、GMが連発した不具合に伴うリコールの合算に一件で匹敵するという凄まじい案件になりました。しかしこれは米国単独の話で、他地域のものも合算すればさらに増えるというのもまた。。。聞くだけでも恐ろしい話です。タカタ並びに各自動車メーカーが被る損失にも、それほど多くのユーザーが今なお危険に晒されているという事実にも。

しかしタカタ自身については、当然ながら同情の余地はありません。問題が広く認識され、あれだけの批判と要請を受けてなお頑なに対応を拒否し続け、この事態を招いたのはタカタ自身なのですから。あまつさえ、10年以上前に少なくともこのような瑕疵が存在する可能性を認識し、その上で隠蔽に走っていたとされるのであって。結果、少なくとも米国においてタカタへの信用は最早欠片も存在せず、むしろ自社の金銭的利益を人命に優先する社会の敵と評価されるに至っています。

本件でタカタが被る損失は、リコール費用だけでも数千億のオーダーに上るだろう事は確実。巨額の損失ではありますが、しかしそれが一時的なものであれば、まだ存続は十分に可能だったでしょう。しかし一連の対応を通じてメーカー、ユーザー、各政府機関等、すなわちおよそ社会全体から評価や信用を決定的に失って、一体これからどうやって事業を続けていく事が出来るというのでしょうか。

そもそも、この期に及んでタカタは本件不良の原因は未だ不明としているのです。原因も把握せず、ただ新規に製造した部品に交換したとして、それで安全になるなどとどうして言えるのでしょうか。本来なら、誠実な対応をしていれば得られただろう社に対する信用がその担保になり得たのでしょうけれども、それすらもないのですから。その結果、自動車メーカーの中には、タカタを見限って他社製品への交換を宣言する所も出ています。只でさえこの種の供給先は一端切り替われば容易に元に戻る事は無いのですし、ここに至る経緯と現状を鑑みれば尚更、これから先同社製エアバッグを再び採用する可能性が極めて低いだろう事は確実でしょう。

結局、本件によって、タカタは巨額のリコール費用として目先の金銭的な損失を被ると共に、将来に渡ってその事業の拠って立つ基盤をも失ったというわけです。代わりに得たものは不信と憎悪、あるいは被害者や遺族の恨み等、およそ事業継続の障害になる不利益ばかり。リコール費用は不具合を出した時点で避けられないものでしたが、それ以外は違います。誰もがそうなるだろうから速やかかつ誠実に対応せよ、と諫言していたのにも関わらずのこの始末、全く以って救い難いと言わざるを得ません。リコールが完了次第、速やかに退場願いたく思う次第です。

Takata will declare 33.8 million vehicles defective due to exploding airbags

[関連記事 [biz law] リコールを拒否するタカタ、その主張の非論理性]

5/19/2015

[biz law] 富士通、NEC含む5社、東電の通信設備整備工事で談合し公金騙取

懲りない面々再び。通信設備関連事業5社が、東京電力の社内における通信設備の整備工事を受注するに際し談合を繰り返していた、として公取の立ち入り検査を受けたそうです。

被疑対象は富士通、NEC、大井電気、扶桑電通、中松商会の五社。期間は過去数年、規模は年数十億につき計百億程度でしょうか。

東電発注工事での談合は無論今回が初めてというわけではないし、珍しい話ですらありません。むしろ少し前に送電線工事で談合が摘発されたばかりにつき、当該期間中は多少なりと東電の調査・警戒があった筈で、公取から重点的に監視されてもいただろう、その只中での犯行というわけです。何とも大胆というか無謀というか、そんなもんバレて当然としか言いようが無いし、自殺同然の愚行にしか見えないのですが、一体彼らはどういう訳で犯行に踏み込み得たのか、また多分に隠し果せるものと考え得たのか。あまりにも不可解で、非難云々以前に困惑させられてしまう次第なのです。

あれですかね。原発事故からこっち東電の事業運営、殊にこの種の発注も含めた支出の取り扱いについては、事実上公金が注ぎ込まれている都合上、各方面から強く抑制圧力がかかっているのは間違いないところだし、最低価格を下げたり、業者間の競争を奨励する傾向にはあるだろうから、それに対抗すべく業者側が談合に走った、とかそういう事情なんでしょうか。であれば、少し前の車部品業界で起きた談合と実態としては同じような格好と言えるでしょう。しかしそうであっても、何らその所業が正当化されるわけもなし。同様の犯罪は過去幾度と無く繰り返され、その度に罰則や非難が加えられ、各企業は揃って反省を口にしますが、実態は何ら是正されないまま、こうして犯行は繰り返されるのです。救い難い事甚だしく、もう一々非難するのも馬鹿馬鹿しく思いますね。

何より、今の東電は、その大部分が事実上税金で維持されている公共事業なのであって、その事業資金は国民の多大な犠牲によって賄われる公金に他ならず、それを不法に収受して恥じない倫理の欠落ぶりにしろ、そのような犯罪を犯すにあたってもおよそ過去の教訓や周囲の状況を全く顧みない愚かさにしろ、その醜悪さは見るに耐えないものと言わざるを得ません。もう改善を期待する気も失せました。厳重な処罰が加えられるべき事は無論ですが、このような事が二度と起こらないよう、全社を永久に受注禁止にすべきだと思うのです。そうでもしなければまた繰り返されるだろう事は殆ど疑いようが無いのですから。

(追記)

続報によれば、東電では原発事故後に随意契約から指名入札に切り替えがあって、そのタイミングで談合も始まったものと見られるそうです。何という安直な。本件が発覚しなかったのは偶か、担当者の隠蔽が比較的徹底されていたからか、いずれにせよ時間の問題だった事は間違いなさそうです。いやはや。

東電発注工事で談合か=NEC、富士通など-5社に立ち入り・公取委

(再追記)

反省を口にしながら、余罪を隠していたようです。半年以上経ってからあえなく再摘発されてしまいました。

[続き記事 [biz law] 富士通、NEC、大井電気ら、談合の余罪隠蔽に失敗し再摘発]

5/17/2015

[pol] 大阪市廃止案否決、橋下氏及び維新の終焉

大阪市廃止案は否決だそうです。賛否の差は1%程度という僅差ですが、否決は否決。保守的な判断が上回った結果、これまで通り大阪市は存続する事と相成りました。否決時の政界引退を公言していた橋下氏以下、維新は存在意義を決定的に失い、今後は辞職なり解党なり、消滅していく流れに乗ったものと言ってよいのでしょう。

様々な意味で注目を集めまた物議を呼び、一時は地方分権による国家システムの変革を先導するものとして高く期待もされた本構想も、結果を見れば、ただ大阪内部で深刻な分裂を呼び、その過程で多大なコストを消費した挙句、無為に帰して終わり。まさに骨折り損のくたびれ儲けと言うべき始末です。結局どれだけリソースや費用をつぎ込んだのでしょうか。

こんな筈では無かった、とは言うなかれ。橋下氏以下の振る舞いは、少なくとも地域社会における住人間の相互協力関係の維持発展に関しては、独善的、独裁的という言葉が生易しく感じられる程、悪意に満ちたものであって、最初から合意形成を放棄し、批判を敵対行為と断じ、対立と分断を深めはしてもその逆を生じ得るものではありませんでした。その姿勢を幾らかでも改め、今少しでも協力者を得るか、敵対者を減じていたなら、今回の投票は可決に終わっていた事でしょう。

その意味で、今回の否決は必然的な結果と見る事も出来るだろうし、また見方を変えれば、そんな住民同士が先鋭かつ深刻に分断され対立した状態で可決され、その後反対派の意思が取り返しが付かない形で、それも真逆に抑圧されたままで事が進み、地域社会の分断もまた固定されてしまうような悲惨な未来が防がれた点において、相対的に望ましい結果に至ったものと理解する事も可能でしょう。少なくとも、本件のような地域社会の構成員全員に重大な影響を与える事案において、半数近いような多数を数の論理で抑圧するなど許されるべきものではないのであって、仮に僅差で可決されたとしても、その先に望ましい未来があったわけではない、その事は分かり切っていた話なのです。

今後は、地域社会を敵味方に分断するのではなく、協力し合って維持発展させるよう、少なくとも維新の取ったような、その稚拙な手段が改められる事を願う次第なのです。部外の傍観者の立場ではありますが、以前からのそのやり口と合せ、とりわけ本件は見てて不愉快でしたからね。いくら住民の自由であって、その決定方法が多数決によると決められているのだとしても、わざわざお互いを疎外し合うようなそのやり方は幾ら何でもないだろうと。

[関連記事 [pol] 大阪市住民投票、地域の自治権放棄は同意され得るのか]