先日NYで起きた警官の射殺事件は明らかに決定的でした。警察側からすれば、黒人市民は全て警官の命を脅かすテロリスト、という事になったわけです。黒人側から見た警官のそれと同じように。結果、双方の疑心暗鬼は際限なく深まり、そして、黒人市民もまた無力ではなく、銃を所持している以上、その対立は感情的なものに止まらず、従来なら起こり得なかった筈の致命的な衝突すなわち、市民と警察とが互いに際限なく殺し合いを続ける、という最悪の形で現実化するだろう事も、殆ど避け難いものに思われるところです。
ただ、当然ながら両者の関係は対称的ではなく、元より警察側に著しく偏ったものにつき、その威力がさらに強化され、防衛のためと称して誤用あるいは濫用される結果、死者はこれからも主として黒人市民側に発生し続けるのでしょう。そして、それより遥に少ないながら、警察側にも死者が発生し、それがさらなる殺人の増加を導くのだろうと予想されるのです。しかもそれが分かっていながら、その是正はなされません。結果として、既にその兆候は複数現れているようです。Missouri州Berkeleyではまたしても十代の黒人青年が警察官に射殺されました。
本来守るべき市民を、その担い手である筈の警察が積極的に殺しているわけです。これは到底個別独立の突発的な事件と評価する事は出来ず、すなわち社会の秩序、法の公平や正義といった、社会の拠って立つべき基盤もまた、致命的に破壊されていると言えるでしょう。他人事ではありますが、その救い難い愚かな社会の有り様には、侮蔑の念を禁じ得ません。
尤も、殺し合うのも当人達の勝手ではあります。ただ、長きに渡って、justiceのため安全のため、と綺麗事を並べ立て、米国民を守る、として散々対立する他国の権利、またその市民の人命・人権を蹂躙して来た当人達が、いざ自分たちの事になればそんな事は知ったことかと言わんばかりに自らの犯罪を正当化し、自国の、それも弱者たる市民を平然として殺して責任も問わない。それも、大統領自らも加担するのですから。いっそ滅んでしまえばいいのですそんな国。
Police shoot dead black teen in Missouri
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12/24/2014
12/21/2014
[law] NYPDの警官2人が襲撃され死亡、容疑者自殺
ついに起こってしまいましたか。。。New York、Brooklynでパトカーに乗って勤務中の警官2人が銃を持った男に襲撃され、共に死亡したそうです。
被害者の警官は Wenjian LiuとRafael Ramos、それぞれ勤続7年と2年。容疑者は28歳の黒人Ismaaiyl Brinsley、襲撃後に頭を撃って自殺した、とのこと。
犯人が事前に発信していた諸々のメッセージを考慮するまでもなく、原因の一端が警察、警官による人種差別的殺人への報復にあるだろう事に疑いの余地は殆どないでしょう。ここ数ヶ月、Fergusonの件を発端に、NYでも警官が丸腰の黒人を死亡させておきながら当該警官らは裁判にすらかからない、という、到底妥当とは考えられない事案が続き、即デモと暴動を発生させていた事は周知の通りです。しかも大統領含め誰一人としてそれを正そうとするどころか被害者の反発を非難するだけという、緩和が絶望的に思える程に悪化する人種対立の最中にあって、もはや多くの黒人については敵対感情にまで至っていただろうそれを考慮すれば、この種の私刑が発生するのも時間の問題だったと言えるでしょう。
すなわち本件は、犯罪性の強い行為、少なくとも多くの市民はそう捉えている事案を人種と地位に基づく特権により恣意的に不問にし、その結果発生した深刻な対立状況をただ威力をもって抑止するのみで実質的に漫然と放置した米司法ならびに政府の失敗あるいは自業自得と言う他ないものなわけです。
といって、あれだけの殺人を犯しながら単なる身内の擁護と責任逃れに終始して来た米司法が法制等の本質的転換に踏み込むとは考え辛く、おそらくはこの期に及んでも現状のまま、せいぜいが警官の装備や体制の強化をするだけで終わり、実質的な放置もしくはさらなる悪化が継続されるものと思われるわけですが。結果、その報いも余計に増える事になるのでしょう。その救い難い愚かさ加減には呆れるばかりなのです。他人事ですけど。
Two Police Officers Fatally Shot in Brooklyn; Suspect Is Found Dead
Officer’s Errant Shot Kills Unarmed Brooklyn Man
Grand Jury Declines To Indict NYPD Officer In Chokehold Death Of Eric Garner
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被害者の警官は Wenjian LiuとRafael Ramos、それぞれ勤続7年と2年。容疑者は28歳の黒人Ismaaiyl Brinsley、襲撃後に頭を撃って自殺した、とのこと。
犯人が事前に発信していた諸々のメッセージを考慮するまでもなく、原因の一端が警察、警官による人種差別的殺人への報復にあるだろう事に疑いの余地は殆どないでしょう。ここ数ヶ月、Fergusonの件を発端に、NYでも警官が丸腰の黒人を死亡させておきながら当該警官らは裁判にすらかからない、という、到底妥当とは考えられない事案が続き、即デモと暴動を発生させていた事は周知の通りです。しかも大統領含め誰一人としてそれを正そうとするどころか被害者の反発を非難するだけという、緩和が絶望的に思える程に悪化する人種対立の最中にあって、もはや多くの黒人については敵対感情にまで至っていただろうそれを考慮すれば、この種の私刑が発生するのも時間の問題だったと言えるでしょう。
すなわち本件は、犯罪性の強い行為、少なくとも多くの市民はそう捉えている事案を人種と地位に基づく特権により恣意的に不問にし、その結果発生した深刻な対立状況をただ威力をもって抑止するのみで実質的に漫然と放置した米司法ならびに政府の失敗あるいは自業自得と言う他ないものなわけです。
といって、あれだけの殺人を犯しながら単なる身内の擁護と責任逃れに終始して来た米司法が法制等の本質的転換に踏み込むとは考え辛く、おそらくはこの期に及んでも現状のまま、せいぜいが警官の装備や体制の強化をするだけで終わり、実質的な放置もしくはさらなる悪化が継続されるものと思われるわけですが。結果、その報いも余計に増える事になるのでしょう。その救い難い愚かさ加減には呆れるばかりなのです。他人事ですけど。
Two Police Officers Fatally Shot in Brooklyn; Suspect Is Found Dead
Officer’s Errant Shot Kills Unarmed Brooklyn Man
Grand Jury Declines To Indict NYPD Officer In Chokehold Death Of Eric Garner
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12/20/2014
[IT biz] Sony Picturesハッキング、愚かで哀れなソニーと無責任なオバマ
ソニーの映画事業子会社Sony Picturesがハッキングされた件、そろそろ全容が明らかになってきた感じということで、少しまとめと所感を。
被害の内容は同社内部情報のおよそ全て。未公開映画の元データや脚本、他社との交渉記録、従業員や出演者等のssnを含む個人情報までがほぼ完全に流出したとの事。犯行はGuardian Of Peace(GOP)なるどこぞの政党と同じ頭文字のグループが声明を出しているものの、詳細は不明。ただ、その公開中止要求の対象たる映画The Interviewの内容が北朝鮮指導者の金正恩の暗殺を扱っている事から、北朝鮮の機関である事が確実視されています。正直、それだけで決めつけるのはあまりに短慮に過ぎるように思われるのですが、それはともかく。
で、社外秘どころか関係者外秘の絶対に外部に漏れてはいけないあれこれを全部握られてしまったSony Pictures社はその要求を受け入れ、当該映画は公開中止となってしまいました。損失は少なくとも数億ドルに上るものと見られています。数年分の利益が吹っ飛ぶわけですけど、少なくとも短期的には映画一本丸々損失になった上に、ジェームスボンドシリーズ次回作とか計画中の案件までお釈迦になった、とあってはそれも仕方ないでしょう。むしろ各方面への賠償等を考えたらそれで済むのかと疑問に思う位です。Picturesの事業存続が危ぶまれるのは当然として、ソニー本体にとっては数少ない黒字部門の一つが爆死してしまったわけで、本気で早晩金融専業ともなりかねない勢いです。どうするんでしょう、といってどうしようもないし、なるようにしかならないんでしょうけど。
ところで、そのハッキングの手口について、内通者の手引きによる内部からのものらしい、との噂が流れています。今のところ真偽不明ではありますが、尋常でない流出の範囲・規模や態様からしてありそうではあるし、本当だとすればそれはもう仕方ないのではないかと思うわけです。実際、その手のソーシャルハッキングを防ぎうるフィジカルセキュリティまで完備してる所なんて、政府、軍や金融関係の一部、あと大手のデータセンター位のものでしょうから。 民間会社なんて狙われた時点で詰みだと言っていいでしょう。誠にご愁傷様です。
なんですが、政府関係とかセキュリティー専門家とかの外野の反応は、同情どころか非難の大合唱。オバマ米大統領なんかは某番組のインタビューで、テロに屈した云々的に公な非難を加えたそうで。そんな無茶な、と思うわけです。現時点で早々と北朝鮮の犯行と決めつけているのもアレですし、仮にそうだとしても、テロリストの要求に応じればエスカレートするだけだ、というのはそうなんでしょうけど、何ら対抗する術を持たない一民間会社にどうしろって言うんでしょう。実際問題として、下手に逆らえば、事業的には無論の事、個人情報もがっちり把握された関係者について物理的な危険すら生じるわけです。それを保護もせず、損失を補償する気もない癖に一方的に非難だけを加えるとは。。。米政府もつい最近クラッキングされたとかいう話もあるし、実際迷惑なのはその通りなのでしょうけれども、そもそもそういう外敵の攻撃から市民を守るのはお前らの仕事だろうと、あまりの自己中心かつ無責任ぶりには驚愕せざるを得ません。そりゃ支持率も地に堕ちようというものです。
ただ一方で、ソニーをして単に不運な被害者と言う事も出来ないわけで。よりによって北朝鮮の、それも現在の指導者を題材に作品を出した時点で国を挙げての反発を買うだろう事を予想出来なかった筈はないし、その反発が一民間会社に向けられる事の意味、その帰結を甘く見ていたというのなら、それは救いようもない愚行なのであって、まだ人命が失われていないだけマシだと考えるべきなのですから。その動機にしても、センセーショナルな作品を売り出す事で利益を得ようとしただけに思われますし、特に汲むべきものもないでしょう。タブーに突っ込む時はそれなりの覚悟と備えが必要なわけで、それを怠ったソニーの自業自得とも言えます。そうでないと言うのなら、それなりに攻撃を防ぐか、要求を無視して公開を続けたか、いずれにせよこのような結果には至っていなかったでしょうから。
まだしばらく後を引くだろう本件、いずれの関係者も見るに堪えない惨憺たる有様で、もうどうにでもなればいいんじゃないの?と、うんざりするとともに、冷やかな思いを抱くだけなのです。
How The Hackers Broke Into Sony And Why It Could Happen To Any Company
んで結局、オバマの殆ど脅迫同然の要請に従う形で公開、当然のように北朝鮮は反発、と。勿論その辺はソニーの勝手ですから、それならそれでいいんでしょう。一連の報道による広告効果は半端ではないし、流出済みである点を差し引いても興行収入は相当に見込めるでしょうから。ただ、一般論として、一私企業に過ぎないソニーが、当然ながら非合法の強行措置を全く辞さない類の国家相手に正面から喧嘩を売っておいて、このまま炎上マーケティング大成功、で終わるとはとても考えられないわけで。さてどうなることやら。そういうリスクより目先の利益を取っただけの話だし、何があろうと同情する事もないんでしょうけどね。
評判を聞く限りでは、作品とも言えない駄作との評が大半のようなのですが、色々と愛国心やらに駆られて見てしまった人にはご愁傷様。なお個人的には、この手の悪趣味な映画には全く興味が沸かないので見てませんし、これからも見るつもりはありません。
Sony Streams ‘The Interview’ on YouTube, Google Play and Xbox
被害の内容は同社内部情報のおよそ全て。未公開映画の元データや脚本、他社との交渉記録、従業員や出演者等のssnを含む個人情報までがほぼ完全に流出したとの事。犯行はGuardian Of Peace(GOP)なるどこぞの政党と同じ頭文字のグループが声明を出しているものの、詳細は不明。ただ、その公開中止要求の対象たる映画The Interviewの内容が北朝鮮指導者の金正恩の暗殺を扱っている事から、北朝鮮の機関である事が確実視されています。正直、それだけで決めつけるのはあまりに短慮に過ぎるように思われるのですが、それはともかく。
で、社外秘どころか関係者外秘の絶対に外部に漏れてはいけないあれこれを全部握られてしまったSony Pictures社はその要求を受け入れ、当該映画は公開中止となってしまいました。損失は少なくとも数億ドルに上るものと見られています。数年分の利益が吹っ飛ぶわけですけど、少なくとも短期的には映画一本丸々損失になった上に、ジェームスボンドシリーズ次回作とか計画中の案件までお釈迦になった、とあってはそれも仕方ないでしょう。むしろ各方面への賠償等を考えたらそれで済むのかと疑問に思う位です。Picturesの事業存続が危ぶまれるのは当然として、ソニー本体にとっては数少ない黒字部門の一つが爆死してしまったわけで、本気で早晩金融専業ともなりかねない勢いです。どうするんでしょう、といってどうしようもないし、なるようにしかならないんでしょうけど。
ところで、そのハッキングの手口について、内通者の手引きによる内部からのものらしい、との噂が流れています。今のところ真偽不明ではありますが、尋常でない流出の範囲・規模や態様からしてありそうではあるし、本当だとすればそれはもう仕方ないのではないかと思うわけです。実際、その手のソーシャルハッキングを防ぎうるフィジカルセキュリティまで完備してる所なんて、政府、軍や金融関係の一部、あと大手のデータセンター位のものでしょうから。 民間会社なんて狙われた時点で詰みだと言っていいでしょう。誠にご愁傷様です。
なんですが、政府関係とかセキュリティー専門家とかの外野の反応は、同情どころか非難の大合唱。オバマ米大統領なんかは某番組のインタビューで、テロに屈した云々的に公な非難を加えたそうで。そんな無茶な、と思うわけです。現時点で早々と北朝鮮の犯行と決めつけているのもアレですし、仮にそうだとしても、テロリストの要求に応じればエスカレートするだけだ、というのはそうなんでしょうけど、何ら対抗する術を持たない一民間会社にどうしろって言うんでしょう。実際問題として、下手に逆らえば、事業的には無論の事、個人情報もがっちり把握された関係者について物理的な危険すら生じるわけです。それを保護もせず、損失を補償する気もない癖に一方的に非難だけを加えるとは。。。米政府もつい最近クラッキングされたとかいう話もあるし、実際迷惑なのはその通りなのでしょうけれども、そもそもそういう外敵の攻撃から市民を守るのはお前らの仕事だろうと、あまりの自己中心かつ無責任ぶりには驚愕せざるを得ません。そりゃ支持率も地に堕ちようというものです。
ただ一方で、ソニーをして単に不運な被害者と言う事も出来ないわけで。よりによって北朝鮮の、それも現在の指導者を題材に作品を出した時点で国を挙げての反発を買うだろう事を予想出来なかった筈はないし、その反発が一民間会社に向けられる事の意味、その帰結を甘く見ていたというのなら、それは救いようもない愚行なのであって、まだ人命が失われていないだけマシだと考えるべきなのですから。その動機にしても、センセーショナルな作品を売り出す事で利益を得ようとしただけに思われますし、特に汲むべきものもないでしょう。タブーに突っ込む時はそれなりの覚悟と備えが必要なわけで、それを怠ったソニーの自業自得とも言えます。そうでないと言うのなら、それなりに攻撃を防ぐか、要求を無視して公開を続けたか、いずれにせよこのような結果には至っていなかったでしょうから。
まだしばらく後を引くだろう本件、いずれの関係者も見るに堪えない惨憺たる有様で、もうどうにでもなればいいんじゃないの?と、うんざりするとともに、冷やかな思いを抱くだけなのです。
How The Hackers Broke Into Sony And Why It Could Happen To Any Company
んで結局、オバマの殆ど脅迫同然の要請に従う形で公開、当然のように北朝鮮は反発、と。勿論その辺はソニーの勝手ですから、それならそれでいいんでしょう。一連の報道による広告効果は半端ではないし、流出済みである点を差し引いても興行収入は相当に見込めるでしょうから。ただ、一般論として、一私企業に過ぎないソニーが、当然ながら非合法の強行措置を全く辞さない類の国家相手に正面から喧嘩を売っておいて、このまま炎上マーケティング大成功、で終わるとはとても考えられないわけで。さてどうなることやら。そういうリスクより目先の利益を取っただけの話だし、何があろうと同情する事もないんでしょうけどね。
評判を聞く限りでは、作品とも言えない駄作との評が大半のようなのですが、色々と愛国心やらに駆られて見てしまった人にはご愁傷様。なお個人的には、この手の悪趣味な映画には全く興味が沸かないので見てませんし、これからも見るつもりはありません。
Sony Streams ‘The Interview’ on YouTube, Google Play and Xbox
12/04/2014
[biz law] リコールを拒否するタカタ、その主張の非論理性
タカタ製欠陥エアバッグ大量リコールの件、米での公聴会におけるタカタの振る舞いがもう酷すぎて見てられません。どうにかならんのでしょうか。
件の会でのタカタの言い分、その骨子は概ね以下の3点に集約されるようです。
1.原因について
(主張)主たる要因は高温高湿の環境であり、それ以外では発生しない
(理由)米南部州やプエルトリコ等、高温・高湿地域でのみ発生確認のため
2.欠陥品の判別について
2-1.種別
(主張)助手席用部品のみ対象。運転手席用の部品は対象外
(理由)助手席用の部品でのみ発生確認のため
2-2.構造別
(主張)設計及び構造自体に問題は存在しない
(理由)製造過程の問題(溶接不足等)の発生が確認されたため
で、まあ・・・。どれも具体的な原因や因果関係が明らかでないし、なぜその理由でその結論が導けるのかというような主張なわけです。が、これをもって、現在実施しているところの、南部地域登録車の助手席用部品に限定したリコールは必要十分、として米議会はじめ社会側が求めている全米における全車全部品のリコールを拒絶しているのですね。一々突っ込むのもアレですが、あまりにその影響が大きすぎるのもあって無視するわけにも行きませんから、以下、一応メモがてらに以下、各主張の問題点を指摘しておきます。
まず1.については、南部地域でしか発生していない一事をもって気候が主要因である等とは言えるわけもない上に、仮に高温・高湿が主要因だと仮定しても、それ以外の地域でも局所的に高温・高湿になる場合はいくらでもあるのであって。それに今現在地域外にあるからと言って、今後引越しや売買によって南部に移動する可能性も普通にあるわけです。そもそもリコール対象を製造側の条件ではなく販売・登録地域で区別するという発想自体が意味不明と言うべきでしょう。
次に2-1.は、それこそ構造的な原因が判然としない以上は区別のしようもない筈なわけで。理由が分からない以上交換しても無意味、というのはそれはその通りなのかもしれませんが、一方で助手席用と運転席用を区別する理由も無い結論になる筈だし、そもそも既に部分的にせよリコールに踏み切った以上、具体的かつ合理的な説明もなしに対象を限定出来る筈もありません。今更何を言ってんだって話です。
最後に2-2.はもう、何をか言わんや。 そもそも殆どのリコールを起こさしめる原因は、設計の問題ではなく製造上の欠陥によって発生するものでしょうに。製造上の欠陥の可能性を認めるのなら、その可能性が完全に否定出来るロット以外は全てリスクがあるし、当然リコールの対象になる筈です。少なくとも対象を特定地域に限定するポリシーとは全く整合しません。まさか問題のロットは南部でしか使われていない、なんて訳もないでしょうし。支離滅裂です。
かように、仮説とすら言えない戦慄すべき代物なわけです。清水副社長は公聴会でこれらの主張を並べ立てた挙句、「現状のリコールを拡大する科学的理由はない」と臆面もなく言い放ったそうですが、常識的にはむしろリコールを限定する理由はない、と理解するべき話でしょう。この逆転ぶりは尋常ではありません。結論から理由をでっち上げたか、でなければ適当な思い込みや願望をそのまま事実とすり替えた詭弁の産物か。仮に、公聴会に出席して件の主張を繰り広げたところの清水副社長以下タカタ側が事実その通りに考えていた、と好意的に捉えたとしても、それは数少ない確認された問題事例から適当に思いつきで抽出した共通点をそのまま事実と断定したものとしか解釈のしようもないわけで。いずれにしろ、論理的とも科学的とも到底言えません。タカタの経営陣、法務、担当含め、全関係者の正気を疑わざるを得ない酷さなわけです。お前ら本当にメーカーかと。
そして当然のように米国全体から激烈な怒りを買って大炎上中なわけです。'Defiant Takata'(聞く耳を持たないタカタ)とか言われちゃって、ここまで広く社会の敵と見做されてしまうと、仮に本件を乗り切ったとしてももう再起不能だろうし、何処かに買収されて消滅するしか無くなってしまったんじゃないでしょうか。
もっとも、全リコールに応じたら応じたで、その場合には全米に止まらず、日本や欧州も含め全世界の全製品までもが対象になるだろう結果、その空前とも言うべき巨大な負担にタカタが耐えられないのかもしれませんし、どちらにせよタカタの行き着く先に大差は無いのかもしれません。ただ、最も優先されるべきは利用者の安全であって、その点からすればタカタの振る舞いは残念としか言えないのです。こうして不毛な対立を続け、本来なされるべきリコールが実施されないでいる間に新たな犠牲が出ないとも限らないのですから。10年以上に渡って隠蔽を続けた悪意の塊のようなタカタに今更言ってもしょうがないのでしょうけれどもね。
Honda Decides to Expand Airbag Recall as a Defiant Takata Resists
焦点:タカタのエアバッグ問題、影落とす海外工場の安全管理
[関連記事 [biz law] ホンダの米における重大事故6割隠蔽発覚]
件の会でのタカタの言い分、その骨子は概ね以下の3点に集約されるようです。
1.原因について
(主張)主たる要因は高温高湿の環境であり、それ以外では発生しない
(理由)米南部州やプエルトリコ等、高温・高湿地域でのみ発生確認のため
2.欠陥品の判別について
2-1.種別
(主張)助手席用部品のみ対象。運転手席用の部品は対象外
(理由)助手席用の部品でのみ発生確認のため
2-2.構造別
(主張)設計及び構造自体に問題は存在しない
(理由)製造過程の問題(溶接不足等)の発生が確認されたため
で、まあ・・・。どれも具体的な原因や因果関係が明らかでないし、なぜその理由でその結論が導けるのかというような主張なわけです。が、これをもって、現在実施しているところの、南部地域登録車の助手席用部品に限定したリコールは必要十分、として米議会はじめ社会側が求めている全米における全車全部品のリコールを拒絶しているのですね。一々突っ込むのもアレですが、あまりにその影響が大きすぎるのもあって無視するわけにも行きませんから、以下、一応メモがてらに以下、各主張の問題点を指摘しておきます。
まず1.については、南部地域でしか発生していない一事をもって気候が主要因である等とは言えるわけもない上に、仮に高温・高湿が主要因だと仮定しても、それ以外の地域でも局所的に高温・高湿になる場合はいくらでもあるのであって。それに今現在地域外にあるからと言って、今後引越しや売買によって南部に移動する可能性も普通にあるわけです。そもそもリコール対象を製造側の条件ではなく販売・登録地域で区別するという発想自体が意味不明と言うべきでしょう。
次に2-1.は、それこそ構造的な原因が判然としない以上は区別のしようもない筈なわけで。理由が分からない以上交換しても無意味、というのはそれはその通りなのかもしれませんが、一方で助手席用と運転席用を区別する理由も無い結論になる筈だし、そもそも既に部分的にせよリコールに踏み切った以上、具体的かつ合理的な説明もなしに対象を限定出来る筈もありません。今更何を言ってんだって話です。
最後に2-2.はもう、何をか言わんや。 そもそも殆どのリコールを起こさしめる原因は、設計の問題ではなく製造上の欠陥によって発生するものでしょうに。製造上の欠陥の可能性を認めるのなら、その可能性が完全に否定出来るロット以外は全てリスクがあるし、当然リコールの対象になる筈です。少なくとも対象を特定地域に限定するポリシーとは全く整合しません。まさか問題のロットは南部でしか使われていない、なんて訳もないでしょうし。支離滅裂です。
かように、仮説とすら言えない戦慄すべき代物なわけです。清水副社長は公聴会でこれらの主張を並べ立てた挙句、「現状のリコールを拡大する科学的理由はない」と臆面もなく言い放ったそうですが、常識的にはむしろリコールを限定する理由はない、と理解するべき話でしょう。この逆転ぶりは尋常ではありません。結論から理由をでっち上げたか、でなければ適当な思い込みや願望をそのまま事実とすり替えた詭弁の産物か。仮に、公聴会に出席して件の主張を繰り広げたところの清水副社長以下タカタ側が事実その通りに考えていた、と好意的に捉えたとしても、それは数少ない確認された問題事例から適当に思いつきで抽出した共通点をそのまま事実と断定したものとしか解釈のしようもないわけで。いずれにしろ、論理的とも科学的とも到底言えません。タカタの経営陣、法務、担当含め、全関係者の正気を疑わざるを得ない酷さなわけです。お前ら本当にメーカーかと。
そして当然のように米国全体から激烈な怒りを買って大炎上中なわけです。'Defiant Takata'(聞く耳を持たないタカタ)とか言われちゃって、ここまで広く社会の敵と見做されてしまうと、仮に本件を乗り切ったとしてももう再起不能だろうし、何処かに買収されて消滅するしか無くなってしまったんじゃないでしょうか。
もっとも、全リコールに応じたら応じたで、その場合には全米に止まらず、日本や欧州も含め全世界の全製品までもが対象になるだろう結果、その空前とも言うべき巨大な負担にタカタが耐えられないのかもしれませんし、どちらにせよタカタの行き着く先に大差は無いのかもしれません。ただ、最も優先されるべきは利用者の安全であって、その点からすればタカタの振る舞いは残念としか言えないのです。こうして不毛な対立を続け、本来なされるべきリコールが実施されないでいる間に新たな犠牲が出ないとも限らないのですから。10年以上に渡って隠蔽を続けた悪意の塊のようなタカタに今更言ってもしょうがないのでしょうけれどもね。
Honda Decides to Expand Airbag Recall as a Defiant Takata Resists
焦点:タカタのエアバッグ問題、影落とす海外工場の安全管理
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11/25/2014
[law] 米Missouri州Fergusonの白人警官による黒人少年射殺事件、不起訴決定で即暴動
まさかの不起訴。米Missouri州Fergusonで起こった黒人少年Michael Brownの射殺事件で、州裁判所での審理に付されていた犯人の白人警官Darren Wilsonですが、法の裁きを受けるどころか、起訴すらされないという決定がなされたそうです。
正直信じられません。いや、白人+権力至上主義に染まり、今なお人種差別の塊のような米国支配層を代弁する司法、それを象徴するところの白人が多数を占める大陪審の人種構成からすればむしろ当然の決定と言えなくもないのですけれども、流石にこれだけ嫌疑が強く、かつセンシティブな案件で、いくら法の規程があると言っても少数人の独断で無罪にするとか、それで市民の納得が得られよう筈もないし、暴動が起こるだろう事も火を見るより明らかなわけで。内戦がしたくてわざとやってるんじゃないかと、正気を疑わざるを得ないのです。
ともあれこれで、Wilsonはもちろんの事、地元警察の関係者を含め、相当な範囲が黒人民衆から決定的に敵対視されてしまったでしょうし、あるいは法の裁きが無いならと、私刑的な行為に及ぶ人も相当に生じ得る結果、死者の発生も避けられないでしょう。つくづく馬鹿な事をしたものです。他国の事とはいえ、救えませんね。
Ferguson Grand Jury Will Not Indict The Cop Who Shot Michael Brown
んで戒厳令ですか。本来なら即介入して事態の収拾に当たるべきオバマ大統領も日和ってるというか関心が無いと言わんばかりのおざなりな対応に終始するとあっては、もうどうにもならないんじゃないでしょうか。
[関連記事 [law] 米ミズーリ州の警官による黒人少年射殺、被害者を貶め正当化を図る警察]
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正直信じられません。いや、白人+権力至上主義に染まり、今なお人種差別の塊のような米国支配層を代弁する司法、それを象徴するところの白人が多数を占める大陪審の人種構成からすればむしろ当然の決定と言えなくもないのですけれども、流石にこれだけ嫌疑が強く、かつセンシティブな案件で、いくら法の規程があると言っても少数人の独断で無罪にするとか、それで市民の納得が得られよう筈もないし、暴動が起こるだろう事も火を見るより明らかなわけで。内戦がしたくてわざとやってるんじゃないかと、正気を疑わざるを得ないのです。
ともあれこれで、Wilsonはもちろんの事、地元警察の関係者を含め、相当な範囲が黒人民衆から決定的に敵対視されてしまったでしょうし、あるいは法の裁きが無いならと、私刑的な行為に及ぶ人も相当に生じ得る結果、死者の発生も避けられないでしょう。つくづく馬鹿な事をしたものです。他国の事とはいえ、救えませんね。
Ferguson Grand Jury Will Not Indict The Cop Who Shot Michael Brown
んで戒厳令ですか。本来なら即介入して事態の収拾に当たるべきオバマ大統領も日和ってるというか関心が無いと言わんばかりのおざなりな対応に終始するとあっては、もうどうにもならないんじゃないでしょうか。
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[biz law] ホンダの米における重大事故6割隠蔽発覚
これほどとは。公表されたホンダの米における重大事故報告漏れの件数が、実に2003年からの11年で1729件とか。タカタ製エアバッグ関連8件を含め、本来報告すべき事件のうち6割が漏れていたというのですが・・・それはもう漏れとは言えないだろうというか、組織的隠蔽の結果としか解釈しようがない規模なわけで、まさかあのホンダが、と、尋常ならざる衝撃が広がっているようです。
いやほんと、GMの事を言えないどころか悪質さではそれをも上回る話なわけですが、どうなっちゃうんでしょう。多分にタカタの件で追跡調査してみたら芋づる式に、って話なんでしょうけど、蔓の先が大きすぎて当局も困惑してるんじゃないかと。タカタもタカタで、10年ほど前に障害を把握しておきながら意図的に隠蔽した嫌疑がかかって最高に追い込まれてる最中なわけだし、只でさえ最悪レベルの案件が連鎖併発した本件、そのあまりのヤバさ加減に戦慄が走ります。
ともあれ、少なくともタカタ絡みの件については、自動車メーカー各社の中では最も採用率が高く、その疑惑の中心にあったホンダも、今回の隠蔽発覚によってめでたく完全にグルだったものと認定され、以降はセットで追及を受ける事になるんでしょう。タカタやホンダ、その他メーカー各社が受けるだろうあれこれについては自業自得ですが、質も量もヤバすぎで、影響を受ける範囲も相当なものでしょうし、とばっちりを食らう向きには誠にご愁傷様であります。
しかしホンダ。去年までは何の問題もないかのような風だったし、利益も激増を続けて順風満帆にしか見えなかったのに、フィット・ヴェゼルのリコール連発からこっちの急転直下ぶりは何というか・・・非常にアレです。むしろ、あの華々しい成功ぶりは元々こういう隠蔽による取り繕いの産物に過ぎなかった、という事なんでしょうか。とても残念です。
ホンダ、米当局に重大事故報告漏れ 03年以降1729件
Investigation of Honda Centers on Failure to Report Deaths From Takata Airbags
Takata Offers Its Rebuttal to Report of Secret Airbag Tests
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いやほんと、GMの事を言えないどころか悪質さではそれをも上回る話なわけですが、どうなっちゃうんでしょう。多分にタカタの件で追跡調査してみたら芋づる式に、って話なんでしょうけど、蔓の先が大きすぎて当局も困惑してるんじゃないかと。タカタもタカタで、10年ほど前に障害を把握しておきながら意図的に隠蔽した嫌疑がかかって最高に追い込まれてる最中なわけだし、只でさえ最悪レベルの案件が連鎖併発した本件、そのあまりのヤバさ加減に戦慄が走ります。
ともあれ、少なくともタカタ絡みの件については、自動車メーカー各社の中では最も採用率が高く、その疑惑の中心にあったホンダも、今回の隠蔽発覚によってめでたく完全にグルだったものと認定され、以降はセットで追及を受ける事になるんでしょう。タカタやホンダ、その他メーカー各社が受けるだろうあれこれについては自業自得ですが、質も量もヤバすぎで、影響を受ける範囲も相当なものでしょうし、とばっちりを食らう向きには誠にご愁傷様であります。
しかしホンダ。去年までは何の問題もないかのような風だったし、利益も激増を続けて順風満帆にしか見えなかったのに、フィット・ヴェゼルのリコール連発からこっちの急転直下ぶりは何というか・・・非常にアレです。むしろ、あの華々しい成功ぶりは元々こういう隠蔽による取り繕いの産物に過ぎなかった、という事なんでしょうか。とても残念です。
ホンダ、米当局に重大事故報告漏れ 03年以降1729件
Investigation of Honda Centers on Failure to Report Deaths From Takata Airbags
Takata Offers Its Rebuttal to Report of Secret Airbag Tests
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11/18/2014
[IT] 顔認証による入出国実証実験結果の出鱈目さに脱力
先日成田・羽田で実施された出入国の実証実験の結果、誤認識率0.26%、ね。。。定義が不明な以上正確な評価は出来ませんが、仮にEERとか、言葉通りに認証システムの実力に近いものだとすれば、従来の顔認証技術の限界どころか、現在標準的に実用されている指紋や静脈すら超える凄まじい値です。あらゆる本人確認の方式を顔認証で統一する事すら可能にする、革命的な性能と言えるでしょう。
勿論、そんな話を真に受けられるわけはないし、逆に嘘と確信させられてしまうわけですが。案件継続のアピールのために盛ったにしても程があるでしょう、と。大方、判定の基準を甘くすればいくらでも作為的に下げ得るFRR(誤排除率)だけを言ってるんでしょう。生体認証一般において、その方式の精度の測定・評価においては、FRRとトレードオフになるFAR(誤受入率)と合わせて見なければ意味をなさないところ、定義も不明な数値を一つだけ出されても、むしろ誤魔化しや詭弁の類かとの疑念が深まるだけ、それもこんな通常の評価ならありえない数字を出されても、困惑するしかないのですよ。
推測ながら、おそらく本実験では、なりすまし等の不正のチェックは全くやってないのではないでしょうか。テストの対象が日本人で、かつ実験参加に同意した人だけなのだから、その時点で不正すなわちパスポート内の画像と参加者が異なる可能性は極めて低く、逆に言えば本人性は殆ど保証されたデータセットになっている事は間違いありません。当然、実際になりすましが行われる場合に想定されるような変装等の類はそもそもデータに含まれておらず、従ってなりすましのチェックは事実上なされ得ないものと推測されるのですね。
そして、参加各社はその事を当然知っていたでしょうから、今回の実験において不正の検出は不要として、本人と他人を判定する基準を極めて甘く、本来であれば当然想定されるべきなりすましがあったとしても検出し得ない程度まで緩めた判定ソフトを投入した可能性が強く示唆されるところです。とすればその結果、本人を他人と誤認識する率は極限まで下がる事になりますから、件の異常に良い誤認識率と辻褄が合うのですね。
というかそうとしか考えられません。なりすましを十分に防止可能なレベルで他人受け入れが少なく、かつ本人を弾く確率が1%未満というのは、前述の通り、もう指紋や虹彩、静脈やら、その他の顔認証とは比較にならないほど情報すなわち個人的特徴が多く変動も極めて小さい高精度な部位による認証のそれと同等か超えてすらいるわけで。仮に本当にそこまで出来るなら、入出国どころかATMとか一般の入退出とかセキュリティ用途も含め、あらゆる本人確認の殆どが顔認証で代替可能になるのですし、少しでも顔認証含め実際の生体認証に触れた経験のある人なら、もう失笑するしかないような話なわけです。んなわけないだろ阿呆か、と。
ところで、そこまで緩めてなお本人排除が残った事については、意外に思うべきか、それともそれはやり過ぎによる発覚を恐れた結果と考えるべきか。発覚を恐れたにしては行き過ぎに思われますが、まあその辺はやり直しが効かないとか、参加5社間の競争とか、色々と歯止めが効き難かった部分もあるんでしょうか。
兎も角、この辺の作為、倫理的には勿論不適切な類の話だし、国際規格等で定められている精度評価の基準等に照らしても完全に不正な筈なのですが、法務省はその辺分かっているのかいないのか。もっとも、今回の実験を行うと決めた時点で既にNECやらは後に引けない状態だった筈、今更この程度の作為をやったところで大した違いもなかっただろうし、法務省側がどうあれ、業界ぐるみで丸め込む位はどうとでもしたでしょうけれども。何せ、10年以上に渡る巨大案件の存続がかかってたんですから。
ともあれ、元々出来レースの本件の進捗にその辺の実態は何ら関係しませんから、何処からも公的な指摘・追求がなければ、これで当該計画は17年度までは継続し、さらに実際のシステム構築も含めてさらに多額の予算がつぎ込まれる見込みとなりました。こういう不正でその場をしのいでも、実際に運用されるようになれば、身も蓋も容赦もない現実に晒されるわけで、不可避的に発生するだろう本当の不正や、複雑なシステムによる人手も含めた運用コストの増加によるデメリット等が顕在化するだろう事も明白なのですが、その予想される破綻も含めて、もうどうにもならないのでしょう。遺憾な限りです。
出入国審査に顔認証導入へ=17年度にも、実験で精度向上-法務省
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で、下記公式の結果報告書を読んでみたわけですが。
日本人出帰国審査における顔認証技術に係る 実証実験結果(報告)
一応本報告では認証方式評価の基本に沿ってFAR値別のFRRという形で評価されていますが、FAR0.001%、すなわち他人を誤って本人と判定する割合が10万回に1回程度になるよう厳しく判定した場合に本人を誤って他人と判定してしまう確率がA社は0.26%、D社は0.56%。やはり実際の場面ではありえないと言わざるを得ない結果です。というか、何故FAR0%の値が掲載されてないんでしょうか。特に変装等によるなりすましが無いだろうデータセット程度なら、当然誤認はゼロに設定されて然るべきところでしょうし、少なくとも参考としては必須でしょうに。やりすぎと思って自重したんでしょうか。だとしたら今更な気もするんですけれども。
ちなみにその他3社の結果は、C社が6.88%、D社が9.59%、E社が22.56%。上位2社に比べて大きく劣るC社とD社ですら、指紋認証その他に比肩する高レベルにある事になるわけですが、当然そんな筈はありません。E社だけは大きく劣っていますが、むしろこれ位の方がリアルに近いと思われるところです。この現実と建前が逆転したようなというか、もはやファンタジーとも言うべきあまりのクレイジーさに戦慄を禁じ得ません。
勿論、そんな話を真に受けられるわけはないし、逆に嘘と確信させられてしまうわけですが。案件継続のアピールのために盛ったにしても程があるでしょう、と。大方、判定の基準を甘くすればいくらでも作為的に下げ得るFRR(誤排除率)だけを言ってるんでしょう。生体認証一般において、その方式の精度の測定・評価においては、FRRとトレードオフになるFAR(誤受入率)と合わせて見なければ意味をなさないところ、定義も不明な数値を一つだけ出されても、むしろ誤魔化しや詭弁の類かとの疑念が深まるだけ、それもこんな通常の評価ならありえない数字を出されても、困惑するしかないのですよ。
推測ながら、おそらく本実験では、なりすまし等の不正のチェックは全くやってないのではないでしょうか。テストの対象が日本人で、かつ実験参加に同意した人だけなのだから、その時点で不正すなわちパスポート内の画像と参加者が異なる可能性は極めて低く、逆に言えば本人性は殆ど保証されたデータセットになっている事は間違いありません。当然、実際になりすましが行われる場合に想定されるような変装等の類はそもそもデータに含まれておらず、従ってなりすましのチェックは事実上なされ得ないものと推測されるのですね。
そして、参加各社はその事を当然知っていたでしょうから、今回の実験において不正の検出は不要として、本人と他人を判定する基準を極めて甘く、本来であれば当然想定されるべきなりすましがあったとしても検出し得ない程度まで緩めた判定ソフトを投入した可能性が強く示唆されるところです。とすればその結果、本人を他人と誤認識する率は極限まで下がる事になりますから、件の異常に良い誤認識率と辻褄が合うのですね。
というかそうとしか考えられません。なりすましを十分に防止可能なレベルで他人受け入れが少なく、かつ本人を弾く確率が1%未満というのは、前述の通り、もう指紋や虹彩、静脈やら、その他の顔認証とは比較にならないほど情報すなわち個人的特徴が多く変動も極めて小さい高精度な部位による認証のそれと同等か超えてすらいるわけで。仮に本当にそこまで出来るなら、入出国どころかATMとか一般の入退出とかセキュリティ用途も含め、あらゆる本人確認の殆どが顔認証で代替可能になるのですし、少しでも顔認証含め実際の生体認証に触れた経験のある人なら、もう失笑するしかないような話なわけです。んなわけないだろ阿呆か、と。
ところで、そこまで緩めてなお本人排除が残った事については、意外に思うべきか、それともそれはやり過ぎによる発覚を恐れた結果と考えるべきか。発覚を恐れたにしては行き過ぎに思われますが、まあその辺はやり直しが効かないとか、参加5社間の競争とか、色々と歯止めが効き難かった部分もあるんでしょうか。
兎も角、この辺の作為、倫理的には勿論不適切な類の話だし、国際規格等で定められている精度評価の基準等に照らしても完全に不正な筈なのですが、法務省はその辺分かっているのかいないのか。もっとも、今回の実験を行うと決めた時点で既にNECやらは後に引けない状態だった筈、今更この程度の作為をやったところで大した違いもなかっただろうし、法務省側がどうあれ、業界ぐるみで丸め込む位はどうとでもしたでしょうけれども。何せ、10年以上に渡る巨大案件の存続がかかってたんですから。
ともあれ、元々出来レースの本件の進捗にその辺の実態は何ら関係しませんから、何処からも公的な指摘・追求がなければ、これで当該計画は17年度までは継続し、さらに実際のシステム構築も含めてさらに多額の予算がつぎ込まれる見込みとなりました。こういう不正でその場をしのいでも、実際に運用されるようになれば、身も蓋も容赦もない現実に晒されるわけで、不可避的に発生するだろう本当の不正や、複雑なシステムによる人手も含めた運用コストの増加によるデメリット等が顕在化するだろう事も明白なのですが、その予想される破綻も含めて、もうどうにもならないのでしょう。遺憾な限りです。
出入国審査に顔認証導入へ=17年度にも、実験で精度向上-法務省
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で、下記公式の結果報告書を読んでみたわけですが。
日本人出帰国審査における顔認証技術に係る 実証実験結果(報告)
一応本報告では認証方式評価の基本に沿ってFAR値別のFRRという形で評価されていますが、FAR0.001%、すなわち他人を誤って本人と判定する割合が10万回に1回程度になるよう厳しく判定した場合に本人を誤って他人と判定してしまう確率がA社は0.26%、D社は0.56%。やはり実際の場面ではありえないと言わざるを得ない結果です。というか、何故FAR0%の値が掲載されてないんでしょうか。特に変装等によるなりすましが無いだろうデータセット程度なら、当然誤認はゼロに設定されて然るべきところでしょうし、少なくとも参考としては必須でしょうに。やりすぎと思って自重したんでしょうか。だとしたら今更な気もするんですけれども。
ちなみにその他3社の結果は、C社が6.88%、D社が9.59%、E社が22.56%。上位2社に比べて大きく劣るC社とD社ですら、指紋認証その他に比肩する高レベルにある事になるわけですが、当然そんな筈はありません。E社だけは大きく劣っていますが、むしろこれ位の方がリアルに近いと思われるところです。この現実と建前が逆転したようなというか、もはやファンタジーとも言うべきあまりのクレイジーさに戦慄を禁じ得ません。
11/14/2014
[IT biz] Googleの決済サービスwallet一部廃止
毎度お馴染み、Googleによる突然のサービス廃止宣言がやって参りました。今回の犠牲者はオンライン決済のGoogle wallet。2015年3月に一部APIを廃止するとの事。これまでその度に数多のユーザー、デベロッパーを絶望のどん底に叩き落として来た同措置ですが、今回はその中でも飛びきりと言っていいでしょう。何せ、同社のサービスを介して金銭をやり取りする際に事実上利用が必須な基盤部分なわけですから。関係者はみんなまとめて大混乱必至です。
無論、対象が決済機能という事で、全廃止などすればそれはGoogleが事業を放棄するに等しいわけで、廃止対象は限定的ではあります。具体的には音楽やゲーム上の課金アイテム等、デジタル商品の決済APIのみが廃止。例外的に、Google Playで配信されるアプリがその中で決済をする分には引き続きサポートされるとの事なので、Google専用アプリに関しては影響が無い事にもなっています。しかし、マルチ対応のアプリでは、iOS等、Android用以外でGoogle Walletによる決済が不可能になるわけで、その点修正を強いられる時点で広範囲に甚大な影響がある事は間違いないし、少なくとも歓迎する向きは皆無でしょう。
ただ、理由は想像がつくのですよね。送配等引き渡しが必要となる都合上、自然とある程度利用者の限定・確認もなされる実物の販売と違い、取引の全プロセスがオンライン上で完結するために詐称が容易な電子データの販売は不正の温床そのものでしたし、GoogleにしろAppleにしろYahooにしろ、NSAの件からこっち、何から何までザルな事が周知され、不正利用も頻発して信用が地に落ちた現状の基盤を使い続けるのは無理がある事は明白、全面改修を考えなければならない状況にあるわけで、その後継導入の前準備といったところかな、と。実際Appleが先日リリースしたApple Payの仕様を見ても、事実上iPhone6系に利用が限定されている点からして旧システムを切り捨てる意図が見えますし。勿論あっちはあわよくば囲い込み、との思惑もあるんでしょうけれど、既存の膨大な顧客を切り捨てるデメリットを考えれば、それよりもセキュアな決済システムの確立を優先した結果と解釈するのが妥当に見えるのです。色々とちぐはぐで、傍目には全く上手く行ってない、どころか崩壊気味なのがなんとも微妙ですが。まあ意図だけはあるらしい、という事で。
勿論その辺は憶測に過ぎないし、昨今報じられるFBIの意向なんかがうっかり重視されて、むしろ後継ではトレーサビリティの確保とか言ってバックドアが仕込まれる可能性もありえないではないのですけれども。この期に及んでGoogleの良心に期待出来よう筈もありませんしね。
ともあれ。本件にしろ、Apple Payにしろ、不安定な上に四分五裂する決済サービスの乱立にはデベロッパーもユーザーにとっても、どう転んでも結局は迷惑な話で終わりそうで、誠に遺憾な限りです。汎用性は皆無でかつ継続性は絶望的、とくれば、現状ではどちらも利用に値しないと言っていいんじゃないでしょうか。さしあたりPaypalで統一してもいいように思える位ですね。もっともPaypalにしても事業自体の立場が不安定だし、ローカライズが微妙とか色々問題もあるわけですが。そういったあれこれは今に始まった話ではありませんが、ますます面倒になる一方に見えるこの状況、本当に困ったものです。
ところで、ようやく国内でもChrome Bookが販売されるようになったそうですね。海外に比べて値段が為替レート以上に超割高なのはさておき、Chrome Bookの作り自体は悪くないと思うのですけれども、その寄って立つ筈の各種Google提供の基盤サービスが本件の如き体たらくでは、とても安心して使えないし、嗜好品以上の何かにはなり得ないと思うのです。なのにWindows系OSのPCと同カテゴリの商品として売り出されているあたり、全く以て不合理に見えるのですが、その辺どう考えてるんでしょうか、Googleは。何も考えておらず適当やってるだけで、上手く行かなければあっさり廃止すればいい、とかいうつもりなんでしょうか。であれば何という迷惑な。もはやそういう時代は過ぎたように思うんですが。。。言うだけ無駄ですかね。
Google Wallet for digital goods Retirement
Google Wallet won't let you buy digital goods past March 2015
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無論、対象が決済機能という事で、全廃止などすればそれはGoogleが事業を放棄するに等しいわけで、廃止対象は限定的ではあります。具体的には音楽やゲーム上の課金アイテム等、デジタル商品の決済APIのみが廃止。例外的に、Google Playで配信されるアプリがその中で決済をする分には引き続きサポートされるとの事なので、Google専用アプリに関しては影響が無い事にもなっています。しかし、マルチ対応のアプリでは、iOS等、Android用以外でGoogle Walletによる決済が不可能になるわけで、その点修正を強いられる時点で広範囲に甚大な影響がある事は間違いないし、少なくとも歓迎する向きは皆無でしょう。
ただ、理由は想像がつくのですよね。送配等引き渡しが必要となる都合上、自然とある程度利用者の限定・確認もなされる実物の販売と違い、取引の全プロセスがオンライン上で完結するために詐称が容易な電子データの販売は不正の温床そのものでしたし、GoogleにしろAppleにしろYahooにしろ、NSAの件からこっち、何から何までザルな事が周知され、不正利用も頻発して信用が地に落ちた現状の基盤を使い続けるのは無理がある事は明白、全面改修を考えなければならない状況にあるわけで、その後継導入の前準備といったところかな、と。実際Appleが先日リリースしたApple Payの仕様を見ても、事実上iPhone6系に利用が限定されている点からして旧システムを切り捨てる意図が見えますし。勿論あっちはあわよくば囲い込み、との思惑もあるんでしょうけれど、既存の膨大な顧客を切り捨てるデメリットを考えれば、それよりもセキュアな決済システムの確立を優先した結果と解釈するのが妥当に見えるのです。色々とちぐはぐで、傍目には全く上手く行ってない、どころか崩壊気味なのがなんとも微妙ですが。まあ意図だけはあるらしい、という事で。
勿論その辺は憶測に過ぎないし、昨今報じられるFBIの意向なんかがうっかり重視されて、むしろ後継ではトレーサビリティの確保とか言ってバックドアが仕込まれる可能性もありえないではないのですけれども。この期に及んでGoogleの良心に期待出来よう筈もありませんしね。
ともあれ。本件にしろ、Apple Payにしろ、不安定な上に四分五裂する決済サービスの乱立にはデベロッパーもユーザーにとっても、どう転んでも結局は迷惑な話で終わりそうで、誠に遺憾な限りです。汎用性は皆無でかつ継続性は絶望的、とくれば、現状ではどちらも利用に値しないと言っていいんじゃないでしょうか。さしあたりPaypalで統一してもいいように思える位ですね。もっともPaypalにしても事業自体の立場が不安定だし、ローカライズが微妙とか色々問題もあるわけですが。そういったあれこれは今に始まった話ではありませんが、ますます面倒になる一方に見えるこの状況、本当に困ったものです。
ところで、ようやく国内でもChrome Bookが販売されるようになったそうですね。海外に比べて値段が為替レート以上に超割高なのはさておき、Chrome Bookの作り自体は悪くないと思うのですけれども、その寄って立つ筈の各種Google提供の基盤サービスが本件の如き体たらくでは、とても安心して使えないし、嗜好品以上の何かにはなり得ないと思うのです。なのにWindows系OSのPCと同カテゴリの商品として売り出されているあたり、全く以て不合理に見えるのですが、その辺どう考えてるんでしょうか、Googleは。何も考えておらず適当やってるだけで、上手く行かなければあっさり廃止すればいい、とかいうつもりなんでしょうか。であれば何という迷惑な。もはやそういう時代は過ぎたように思うんですが。。。言うだけ無駄ですかね。
Google Wallet for digital goods Retirement
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11/05/2014
[pol] 米中間選挙、野党共和党が上下両院の過半数確保し完勝、の不合理
米国の中間選挙は事前の予想通り野党共和党の圧勝に終わったそうですね。国会においては従来から支配していた下院の勢力を伸ばしつつ、新たに上院の過半数も獲得、地方においても複数州で新たに知事職の奪取に成功する、という、文字通りの完勝です。
まさに予想通りの結果ということで、今更本選挙の分析をする必要は無いでしょう。結局のところ、その理由はオバマ大統領が華々しい成功を示す事が出来なかったために国民の失望を買って支持を落とした事に帰着されるのですから。
ただ、外野から見ていると違和感も感じます。特に、オバマ大統領の実績、それに対する評価については、全体を通して具体的に何が悪かった、というべき失政も無いように見えるわけで。ここまで低い評価を受けている事には、今ひとつ合理性を見出せないのです。経済的危機からわずか数年、ここまでよく回復させたなと感心する位だし、対テロ政策についても、あの泥沼から抜け出し、一定の距離感を保つところまで漕ぎ着けた時点で相当なものだとも思うのですが、米国民はもうそんな過去の事は忘れてしまったのでしょうか。それとも覚えているけれども、全く満足していないという事なんでしょうか。
直近の政策に対する低評価が直接の原因、という見方もそれなりにあるようですが、それは具体的に言えばISISへの対応が手ぬるいとか、エボラへの対策が不十分だとか、ウクライナを巡るロシアへの対応が弱腰だとか、それぞれの問題への対処の難度からしていささか理不尽に見えるものばかりです。むしろ、色々と思慮の浅めな人が多い共和党が仮に対処したとして、より有意に上手い対処を彼らが成し得たとは到底思えないわけで。
かろうじて政権の失点と断言出来る事と言えば、ヘルスケア関連の失態位でしょうけれども、これは現時点で概ね問題は解消されていたし、問題になっていなかったというか、今回の選挙においては忘れられていたような感じでしたしね。NSAの件はいわずもがな。その手の権力拡張・行使に積極的な共和党ならもっと派手にやっていただろうし、その分露見した後の反動も大きくなっていたでしょう。予算案を巡る行政停止やらは、野党との責任がイーブンですから、これもやはり野党との相対的な評価の優劣には影響しない筈です。
そもそも過去を振り返って見れば、一連の戦争にしろ経済の危機にしろ、現政権が直面した主要な問題は概ねブッシュ政権時代の負の遺産に他ならないわけで。その後始末をこなした実績を無視し、上記のような誰であろうと即座の解決は不可能に思える事案の進捗が今ひとつだからと言って、よりによって共和党に回帰するというのは、流石に理屈に合わないと思うのです。元の木阿弥になってもいい、という事なのか、それともやはり単に忘れているのか。
共和党自体、以前から内部分裂して寄せ集め状態だし、その活動も単に現政権に難癖を付けているだけで、諸々の問題に対して自らが行っている批判、それらに耐えうるだけの具体的な政策の立案・実施を期待し得るかというと、評価以前に立案すら覚束ず、恐らくは不可能だろうという状態なのですから。その辺、日本で言えば少し前の民主党政権の醜態やらがフラッシュバックしたりして、どうにも危うく見えて仕方がないのです。
無論、どのような選択をしようと、それは米国民の自由だし権利なわけで、外野がとやかく言う筋合いもありません。ただ、現政権はその実績の割にあまりに報われないように見えて、同情を禁じ得なく思うのです。
実際問題としても、米国が機能不全に陥ったり、迷走したりすると他国への影響も半端ないので、大統領も共和党も、少なくとも次の大統領選までは程々にして頂きたいものですが。。。難しいでしょうかねやっぱり。
Riding Wave of Discontent, G.O.P. Takes Senate
まさに予想通りの結果ということで、今更本選挙の分析をする必要は無いでしょう。結局のところ、その理由はオバマ大統領が華々しい成功を示す事が出来なかったために国民の失望を買って支持を落とした事に帰着されるのですから。
ただ、外野から見ていると違和感も感じます。特に、オバマ大統領の実績、それに対する評価については、全体を通して具体的に何が悪かった、というべき失政も無いように見えるわけで。ここまで低い評価を受けている事には、今ひとつ合理性を見出せないのです。経済的危機からわずか数年、ここまでよく回復させたなと感心する位だし、対テロ政策についても、あの泥沼から抜け出し、一定の距離感を保つところまで漕ぎ着けた時点で相当なものだとも思うのですが、米国民はもうそんな過去の事は忘れてしまったのでしょうか。それとも覚えているけれども、全く満足していないという事なんでしょうか。
直近の政策に対する低評価が直接の原因、という見方もそれなりにあるようですが、それは具体的に言えばISISへの対応が手ぬるいとか、エボラへの対策が不十分だとか、ウクライナを巡るロシアへの対応が弱腰だとか、それぞれの問題への対処の難度からしていささか理不尽に見えるものばかりです。むしろ、色々と思慮の浅めな人が多い共和党が仮に対処したとして、より有意に上手い対処を彼らが成し得たとは到底思えないわけで。
かろうじて政権の失点と断言出来る事と言えば、ヘルスケア関連の失態位でしょうけれども、これは現時点で概ね問題は解消されていたし、問題になっていなかったというか、今回の選挙においては忘れられていたような感じでしたしね。NSAの件はいわずもがな。その手の権力拡張・行使に積極的な共和党ならもっと派手にやっていただろうし、その分露見した後の反動も大きくなっていたでしょう。予算案を巡る行政停止やらは、野党との責任がイーブンですから、これもやはり野党との相対的な評価の優劣には影響しない筈です。
そもそも過去を振り返って見れば、一連の戦争にしろ経済の危機にしろ、現政権が直面した主要な問題は概ねブッシュ政権時代の負の遺産に他ならないわけで。その後始末をこなした実績を無視し、上記のような誰であろうと即座の解決は不可能に思える事案の進捗が今ひとつだからと言って、よりによって共和党に回帰するというのは、流石に理屈に合わないと思うのです。元の木阿弥になってもいい、という事なのか、それともやはり単に忘れているのか。
共和党自体、以前から内部分裂して寄せ集め状態だし、その活動も単に現政権に難癖を付けているだけで、諸々の問題に対して自らが行っている批判、それらに耐えうるだけの具体的な政策の立案・実施を期待し得るかというと、評価以前に立案すら覚束ず、恐らくは不可能だろうという状態なのですから。その辺、日本で言えば少し前の民主党政権の醜態やらがフラッシュバックしたりして、どうにも危うく見えて仕方がないのです。
無論、どのような選択をしようと、それは米国民の自由だし権利なわけで、外野がとやかく言う筋合いもありません。ただ、現政権はその実績の割にあまりに報われないように見えて、同情を禁じ得なく思うのです。
実際問題としても、米国が機能不全に陥ったり、迷走したりすると他国への影響も半端ないので、大統領も共和党も、少なくとも次の大統領選までは程々にして頂きたいものですが。。。難しいでしょうかねやっぱり。
Riding Wave of Discontent, G.O.P. Takes Senate
[IT biz] Appleの製品・サービスに相次ぐ致命的脆弱性
広範囲にセキュリティ上の深刻な被害を及ぼしたBash脆弱性の件も未だ完全には終息していないところに、同レベルの脆弱性が指摘されたそうです。対象は"Yosemite"ことOSXの最新版10.10。旧バージョンについては調査中とのこと。通称は"Rootpipe"で、その名の通り認証プロセスをすっ飛ばしてルート権限を取得出来る、最悪レベルの脆弱性ですね。
発見者のスウェーデン人技術者Emil Kvarnhammarが、寛容にも公表を控える旨のAppleからの要求を受け入れたために、来年(2015)1月中旬までは一応模倣による攻撃は抑制される見込みではあります。が、数多いる攻撃者の強力な解析力の前には気休めにしかならないでしょう。むしろ、bashの件の直後につき同様の致命的な脆弱性を探していた向きは少なくなかっただろうし、その大半にAppleに事前報告する理由も益も無い事を考えれば、既に知っていた者がいても全く不自然ではないわけです。仮にEmilが第一発見者だとしても、こういう脆弱性がある、という事実が知れた時点で当たりもついて発見は容易でしょうし。
ともあれ。このレベルの脆弱性を連発した、というのでは流石に擁護しようがないし、Apple製品のセキュリティ周りは以前のMS以上に終わっている、と評価せざるを得ません。
で、それだけでも酷い話なんですが・・・問題のYosemite、密かにユーザーのデータをiCloudに自動アップロードもするんだそうで。バックアップ機能の一つに、編集中の各種データを自動セーブしておく機能があって、従来はオプション扱いだったのがYosemiteになって密かにデフォルトでONになる設定に変更されたんだとか。何でこのタイミングでそんな事するの、と。
元よりこの種の機能は脆弱性に直結する可能性が非常に高いところ、このようにユーザーの管理外で常時有効に設定されているような場合は、それだけ攻撃に晒されやすくかつ事実上管理がなされないためにとりわけ極めて危険なわけです。bashやRootpipeの件を別にしても、iCloud自体が大量の情報流出をやらかして、プライベート写真を流された芸能人らが訴訟も起こしているところにこれ、もうユーザーの情報を保護する気が無い、というよりわざと漏らそうとしてるとしか思えません。
もっとも、その辺の杜撰なやり方自体は別段目新しいものではなく、むしろAppleとしては一貫しているとは思うのですが・・・そんな事でこの先やっていけるんでしょうか。というより、やってほしくないと思わされてしまうのです。
周知の通り、これまでAppleは、少なくともセキュリティ関連については一貫して傲慢な振る舞いを続けて来ました。深刻な脆弱性を把握しても悉く漫然と放置し、時折まとめて、充分なのかも定かでない大量のパッチをリリースするだけ。懸念の声には、"問題ない"とだけ返答して後は無視するのが通例だったわけです。
これまでは、その立ち位置自体が比較的マイナーで、またMSがあまりに酷かったために、その影に隠れる事でAppleのあれこれも見過ごされて来ましたが、ここ数年で状況は変わりました。OSXのシェアも拡大し、クラウドサービスのプッシュも進み、iOSやiCloud等のプロダクト・サービス間の連携を強めつつコンシューマ向けITサービス全般におけるシェアを確立した結果、その社会に対する責任は以前とは比較にならないほど大きくなりましたし、他社を引き合いにした責任回避も許されないポジションに立ってしまっている、と言えるでしょう。
それを理解しているのかいないのか。相次ぐ致命的な脆弱性の発覚、また情報漏洩の発生、そしてそれに対する対応の絶望的なまでの杜撰さ、緩慢さ。不合理な施策にサービス・機能間の不整合。Apple payの投入には、法人周りも含めた社会基盤的なカテゴリーへの進出を目指す意図が明白に見られる同社ですけれども、現状を鑑みるに、そもそもそのポジションに立つ資格に欠けるものと言わざるを得ないわけで。むしろ、適当好き勝手余計やって引っ掻き回した挙句にあっさり投げ出されたりしては堪らないし、それは御免蒙りたいところなのです。
Serious security flaw in OS X Yosemite 'Rootpipe'
Apple's OS X Yosemite slurps UNSAVED docs into iCloud
Report: Apple Knew of Security Problems Long Before iCloud Breach
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発見者のスウェーデン人技術者Emil Kvarnhammarが、寛容にも公表を控える旨のAppleからの要求を受け入れたために、来年(2015)1月中旬までは一応模倣による攻撃は抑制される見込みではあります。が、数多いる攻撃者の強力な解析力の前には気休めにしかならないでしょう。むしろ、bashの件の直後につき同様の致命的な脆弱性を探していた向きは少なくなかっただろうし、その大半にAppleに事前報告する理由も益も無い事を考えれば、既に知っていた者がいても全く不自然ではないわけです。仮にEmilが第一発見者だとしても、こういう脆弱性がある、という事実が知れた時点で当たりもついて発見は容易でしょうし。
ともあれ。このレベルの脆弱性を連発した、というのでは流石に擁護しようがないし、Apple製品のセキュリティ周りは以前のMS以上に終わっている、と評価せざるを得ません。
で、それだけでも酷い話なんですが・・・問題のYosemite、密かにユーザーのデータをiCloudに自動アップロードもするんだそうで。バックアップ機能の一つに、編集中の各種データを自動セーブしておく機能があって、従来はオプション扱いだったのがYosemiteになって密かにデフォルトでONになる設定に変更されたんだとか。何でこのタイミングでそんな事するの、と。
元よりこの種の機能は脆弱性に直結する可能性が非常に高いところ、このようにユーザーの管理外で常時有効に設定されているような場合は、それだけ攻撃に晒されやすくかつ事実上管理がなされないためにとりわけ極めて危険なわけです。bashやRootpipeの件を別にしても、iCloud自体が大量の情報流出をやらかして、プライベート写真を流された芸能人らが訴訟も起こしているところにこれ、もうユーザーの情報を保護する気が無い、というよりわざと漏らそうとしてるとしか思えません。
もっとも、その辺の杜撰なやり方自体は別段目新しいものではなく、むしろAppleとしては一貫しているとは思うのですが・・・そんな事でこの先やっていけるんでしょうか。というより、やってほしくないと思わされてしまうのです。
周知の通り、これまでAppleは、少なくともセキュリティ関連については一貫して傲慢な振る舞いを続けて来ました。深刻な脆弱性を把握しても悉く漫然と放置し、時折まとめて、充分なのかも定かでない大量のパッチをリリースするだけ。懸念の声には、"問題ない"とだけ返答して後は無視するのが通例だったわけです。
これまでは、その立ち位置自体が比較的マイナーで、またMSがあまりに酷かったために、その影に隠れる事でAppleのあれこれも見過ごされて来ましたが、ここ数年で状況は変わりました。OSXのシェアも拡大し、クラウドサービスのプッシュも進み、iOSやiCloud等のプロダクト・サービス間の連携を強めつつコンシューマ向けITサービス全般におけるシェアを確立した結果、その社会に対する責任は以前とは比較にならないほど大きくなりましたし、他社を引き合いにした責任回避も許されないポジションに立ってしまっている、と言えるでしょう。
それを理解しているのかいないのか。相次ぐ致命的な脆弱性の発覚、また情報漏洩の発生、そしてそれに対する対応の絶望的なまでの杜撰さ、緩慢さ。不合理な施策にサービス・機能間の不整合。Apple payの投入には、法人周りも含めた社会基盤的なカテゴリーへの進出を目指す意図が明白に見られる同社ですけれども、現状を鑑みるに、そもそもそのポジションに立つ資格に欠けるものと言わざるを得ないわけで。むしろ、適当好き勝手余計やって引っ掻き回した挙句にあっさり投げ出されたりしては堪らないし、それは御免蒙りたいところなのです。
Serious security flaw in OS X Yosemite 'Rootpipe'
Apple's OS X Yosemite slurps UNSAVED docs into iCloud
Report: Apple Knew of Security Problems Long Before iCloud Breach
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11/01/2014
[biz] 内在する不備と矛盾、普及に躓くApple Pay
案の定と言うか。Appleが今秋の目玉として売り出した小売向け決済サービスApple Payですが、小売大手を中心に導入・対応を拒否するグループが続出して立ち往生しつつあるようです。
これは意外な話とは言えない、どころか、ある意味当然の話に思われるところです。というのも、これまでAppleが成功を収めて来た商品、サービスは基本オリジナルのものだったところ、Apple Payはその逆、というか最後発なのですから。同様の決済サービスを先行して展開している小売各社とは競合して拒絶されるのも当たり前だし、大半の利用者もよほどの利点が無ければわざわざ移行しようとはしないでしょう。Appleと言えども、それなりの実力・規模もある競合を相手取って、それも一からのシェア奪取ですから、むしろ失敗する方が普通なのです。
加えて、Apple Payは原則として最新版のiPhoneからしか使えない、すなわち利用者が著しく限定される欠点があるのですし、小売業者にとってはあまりに中途半端、わざわざシステムを改修してまで対応させる理由に乏しいだろう事も明らかなわけで。Apple watchも対応する予定ではありますが、それにしたところで状況はほとんど変わらないものと思われるところです。
元々、従来の小売決済サービスを巡っては、手数料等の負担コストに対する業者と利用者双方の不満が強かった事に加え、類似サービスの乱立による弊害も目立つようになり、またクレジットカードや小売チェーンのシステム周りで深刻な顧客情報の漏洩が相次ぐなど、決済システム全体に色々と問題が積み上がり、改革の要求が高まっていたところです。Apple Payが宣伝文句に謳うように、決済に関する余分なコストを下げつつ利便性とセキュリティを改善するような統一的なサービスの出現が望まれてはいるのでしょうし、それが実際に生まれ、普及するのであれば、競争はあるにせよ、概ね歓迎される事でしょう。
が、実際のところ、Apple Payがその要件を満たしているかというと、そうではないというか、むしろ満たしている点がないのですね。手数料面では、ある程度自腹を切って普及を図る必要のある当面はともかくとして、Appleのこれまでのサービスの運営のやり方から見て将来支配的なシェアを握った後にはそれこそ過剰な位にまで上げてくるだろう事は確実に思われるし、iPhoneユーザ限定につき決済サービスのデファクトになる事は元より不可能、セキュリティ面でもiCloudで盛大にやらかして信用を失ったところでもあります。
そもそもAppleは、事業構造からしてもロイヤリティの高いユーザだけにフォーカスしてそれ以外はさっぱり切り捨てて来たわけです。決済システムのような、誰もが使うような一般向けのユニバーサルなサービスには本質的に向いてない、というより真逆な性質の会社な筈なんですよね。
結局、AppleはやはりAppleで閉じてるというか、Appleのエコシステム圏内限定のサービスとしてしか成立しようもないように思われるわけで、決済システムもその例外ではないのだろうと。最初からそれは想定されていて、閉じた範囲内の運用でも十分に規模もニーズもあり、多数のユーザーの常用が見込まれて採算も合う、というのならいいんでしょうけど、、、Apple watchの宣伝の仕方とか、諸々からしてどう見てもそうじゃない風なのがなんとも。
携帯決済が十分に普及しきった日本国内には関係ない話、混乱するのも欧米限定の話だろうとは思うんですが、もしSoftbankあたりが暴走したりして、このノリで国内も引っ掻き回されるような事になったら、とか思うだけでうんざりします。Samsung程ではなくとも、色々と頭打ちになりつつある事に加えて後方からの突き上げが厳しいのもあって焦燥感は相当にあるんでしょうけど、無理なものは無理なわけですから、乱心するのも程々にして頂きたいものです。
Apple Pay Is Disabled by Rite Aid and CVS as a Rival Makes Plans
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これは意外な話とは言えない、どころか、ある意味当然の話に思われるところです。というのも、これまでAppleが成功を収めて来た商品、サービスは基本オリジナルのものだったところ、Apple Payはその逆、というか最後発なのですから。同様の決済サービスを先行して展開している小売各社とは競合して拒絶されるのも当たり前だし、大半の利用者もよほどの利点が無ければわざわざ移行しようとはしないでしょう。Appleと言えども、それなりの実力・規模もある競合を相手取って、それも一からのシェア奪取ですから、むしろ失敗する方が普通なのです。
加えて、Apple Payは原則として最新版のiPhoneからしか使えない、すなわち利用者が著しく限定される欠点があるのですし、小売業者にとってはあまりに中途半端、わざわざシステムを改修してまで対応させる理由に乏しいだろう事も明らかなわけで。Apple watchも対応する予定ではありますが、それにしたところで状況はほとんど変わらないものと思われるところです。
元々、従来の小売決済サービスを巡っては、手数料等の負担コストに対する業者と利用者双方の不満が強かった事に加え、類似サービスの乱立による弊害も目立つようになり、またクレジットカードや小売チェーンのシステム周りで深刻な顧客情報の漏洩が相次ぐなど、決済システム全体に色々と問題が積み上がり、改革の要求が高まっていたところです。Apple Payが宣伝文句に謳うように、決済に関する余分なコストを下げつつ利便性とセキュリティを改善するような統一的なサービスの出現が望まれてはいるのでしょうし、それが実際に生まれ、普及するのであれば、競争はあるにせよ、概ね歓迎される事でしょう。
が、実際のところ、Apple Payがその要件を満たしているかというと、そうではないというか、むしろ満たしている点がないのですね。手数料面では、ある程度自腹を切って普及を図る必要のある当面はともかくとして、Appleのこれまでのサービスの運営のやり方から見て将来支配的なシェアを握った後にはそれこそ過剰な位にまで上げてくるだろう事は確実に思われるし、iPhoneユーザ限定につき決済サービスのデファクトになる事は元より不可能、セキュリティ面でもiCloudで盛大にやらかして信用を失ったところでもあります。
そもそもAppleは、事業構造からしてもロイヤリティの高いユーザだけにフォーカスしてそれ以外はさっぱり切り捨てて来たわけです。決済システムのような、誰もが使うような一般向けのユニバーサルなサービスには本質的に向いてない、というより真逆な性質の会社な筈なんですよね。
結局、AppleはやはりAppleで閉じてるというか、Appleのエコシステム圏内限定のサービスとしてしか成立しようもないように思われるわけで、決済システムもその例外ではないのだろうと。最初からそれは想定されていて、閉じた範囲内の運用でも十分に規模もニーズもあり、多数のユーザーの常用が見込まれて採算も合う、というのならいいんでしょうけど、、、Apple watchの宣伝の仕方とか、諸々からしてどう見てもそうじゃない風なのがなんとも。
携帯決済が十分に普及しきった日本国内には関係ない話、混乱するのも欧米限定の話だろうとは思うんですが、もしSoftbankあたりが暴走したりして、このノリで国内も引っ掻き回されるような事になったら、とか思うだけでうんざりします。Samsung程ではなくとも、色々と頭打ちになりつつある事に加えて後方からの突き上げが厳しいのもあって焦燥感は相当にあるんでしょうけど、無理なものは無理なわけですから、乱心するのも程々にして頂きたいものです。
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10/31/2014
[pol] 追加緩和決定、無謀の果てに浮かび上がる破滅
ここで追加緩和ですか・・・。増税、またそれに付随するコスト主導型の物価高から来る需要縮小を主要因にした経済低迷には何ら効果がある筈もなく、そもそも只でさえ資金は行き場がない程に余っているところ、得られる効果はぶっちゃけ株・債権の価格吊り上げ位のもの、実体経済に対してはおよそ無意味だと思われるわけで。名目はデフレ対策だそうですが、今更何寝言を言ってんのかって話です。GPIFのリスク資産運用比率引き上げの件同様、このままだと増税を見送らざるを得なくなるから、さしあたり今だけでも底上げしようって事なんでしょうけれども。
FRBの緩和終了とまさに真逆の対照的な決定ですが、これでいよいよ円の底が抜けるのかどうか。そこまで行かずとも貿易赤字がさらに膨らみ、輸入に依存するあれこれがさらに値上がりもして国内需要はそれだけ縮小もするだろうし、国内経済は無論、中長期的な安定とか均衡とか、先の事はまとめて完全に捨てた恰好になりました。従って、現状の問題を解決するどころかさらに悪化させる可能性の方が高いようにも思われる、控えめに言っても悪手だろう決定なわけです。
元より、単に都合のいい願望を抱いて安直にも不備だらけで実績もない手に賭けて一発逆転の大博打に出たら案の定外れでした、けど取り返しは付きません、ってだけの話です。賭けに負けた時点でどう転んでも先が無い事には変わりない、とはいえ、そう死に急ぐ事もなかろうと思うし、早めに負け分の清算をした方が損失は抑えられるだろうとも思うんですけれども、膨れ上がる諸々を前にもう取り繕う事すら出来なくなったって事なんでしょうか。現実として日銀には他に取りうる手がないわけですが。
ともあれ、これで一応株価は上昇し、当面はいくつかの指標を名目上底上げ出来る可能性は高まりました。この一事を以って、過去の事実、現在の実体、予想される先行き、その全てに目を瞑りつつ、景気に回復傾向が見られる、だとか強弁してさらに増税を重ねるんでしょう。そしてまた、ここ最近繰り広げられたところの、物価上昇と需要縮小、それが規模を拡大して再生されるわけです。
その辺の見通しについては、絶望的、と言っていいんでしょう。とはいえ、一番肝心な、というか結局は全てが集約されるところの各種基幹産業はじめ実体経済の成長については、勇ましい掛け声とは真逆に、その実現を図るどころか逆に大きく縮減させる措置しか実施してこなかったのだから、現状もむしろ当然の帰結と言うべきものとしか思えないわけで。今更あれこれ騒ぐ話でもないし、実際のところ、この惨状を見ても何も感じなくなってしまいました。本当の絶望は無関心に転じる、ということなんでしょうか。何にせよ、どうしようもないのですから、どう捉え、どう振る舞おうとも何の問題もないでしょう。どうとでもなればいいのです。例え、その先に待つものが破滅であろうとも。
日銀、追加緩和を決定 資金供給10兆~20兆円拡大 賛成5、反対4で決定
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FRBの緩和終了とまさに真逆の対照的な決定ですが、これでいよいよ円の底が抜けるのかどうか。そこまで行かずとも貿易赤字がさらに膨らみ、輸入に依存するあれこれがさらに値上がりもして国内需要はそれだけ縮小もするだろうし、国内経済は無論、中長期的な安定とか均衡とか、先の事はまとめて完全に捨てた恰好になりました。従って、現状の問題を解決するどころかさらに悪化させる可能性の方が高いようにも思われる、控えめに言っても悪手だろう決定なわけです。
元より、単に都合のいい願望を抱いて安直にも不備だらけで実績もない手に賭けて一発逆転の大博打に出たら案の定外れでした、けど取り返しは付きません、ってだけの話です。賭けに負けた時点でどう転んでも先が無い事には変わりない、とはいえ、そう死に急ぐ事もなかろうと思うし、早めに負け分の清算をした方が損失は抑えられるだろうとも思うんですけれども、膨れ上がる諸々を前にもう取り繕う事すら出来なくなったって事なんでしょうか。現実として日銀には他に取りうる手がないわけですが。
ともあれ、これで一応株価は上昇し、当面はいくつかの指標を名目上底上げ出来る可能性は高まりました。この一事を以って、過去の事実、現在の実体、予想される先行き、その全てに目を瞑りつつ、景気に回復傾向が見られる、だとか強弁してさらに増税を重ねるんでしょう。そしてまた、ここ最近繰り広げられたところの、物価上昇と需要縮小、それが規模を拡大して再生されるわけです。
その辺の見通しについては、絶望的、と言っていいんでしょう。とはいえ、一番肝心な、というか結局は全てが集約されるところの各種基幹産業はじめ実体経済の成長については、勇ましい掛け声とは真逆に、その実現を図るどころか逆に大きく縮減させる措置しか実施してこなかったのだから、現状もむしろ当然の帰結と言うべきものとしか思えないわけで。今更あれこれ騒ぐ話でもないし、実際のところ、この惨状を見ても何も感じなくなってしまいました。本当の絶望は無関心に転じる、ということなんでしょうか。何にせよ、どうしようもないのですから、どう捉え、どう振る舞おうとも何の問題もないでしょう。どうとでもなればいいのです。例え、その先に待つものが破滅であろうとも。
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10/30/2014
[law] 最高裁にて政務調査費に伴う全領収書の提出義務対象認定
地方議会に始まり、このところ閣僚ら有力国会議員にも政治資金周りの不正が相次いで発覚し、あっちもこっちも終わっている感しかしない国内政界。もとより既に希望も何も感じられず、絶望のち無関心を決め込んでいた身としては、いっそ全員死んでしまえ、位の冷めた感想とも言えない虚無的な侮蔑を抱くだけでした。どうせ大半は諸々の法的な保護を盾に詭弁を弄し続け、殆ど具体的な責任の追求も応報もないままに議員や首長であり続けるのだろう、と思っていたのです。いや、今もなお思っています。
が、このタイミングで最高裁が、政務調査費における小額領収書の提出・開示義務を認める判決を出したとか。急いで本文を確認してみると、その主旨は、当該領収書類の提出義務は、政治家の調査研究活動の自由をある程度犠牲にしてでも使途や支出先等の透明性を確保し、不正を防止する事を優先したものであり、従ってそれらの領収書類は(開示対象外となる)”専ら文書の所持者の用に供するための文書”にはあたらず、開示対象となる、としています。そして、法令上は提出の対象外となっている一万円以下の小額領収書は、その額の小ささから、高額領収書よりも更に政治活動として秘匿する必要性に乏しく、またその提出除外規定についても、議員や議長の、写し作成等事務処理上の負担に配慮して提出を免除されているに過ぎないものにつき、本来は開示・提出の対象である、というのです。
正直、驚きました。本判決は岡山県の県議会を対象とするものですが、地方自治法の規定を解釈するものでもあるし、その判旨は一般的かつ明確です。従って、政務調査費に関する領収書について同様の規定を設けている他の自治体や国政には当然に適用されるだろうし、それ以外の公金の支出、用途や支出先の透明性を求められる類の支出のうち、特に保護されているもの以外のおよそ全てにあてはまるだろうものなわけです。議員周りは無論として、一般公務員の諸々についても対象に含まれる得るだろう、ということで、その影響の範囲は凄いことになるのだろうな、と。他にも、判決の主旨からして、政治資金の収支報告や小額献金も普通に当てはまり得る帰結として、今後は細かい領収書類の全てが開示を求められる可能性も示唆されるわけですし。
無論、仮にも公金を支出し、また公的立場の人間や組織が金銭を受け取るからには、額の多寡によらず全て適切である事が絶対に必要で、その証明は当然なされていて然るべきものなのですから、本来であれば当然の話と言えるわけです。が、残念ながらというか、この種の公金の出入に関してその証明を免除する類の例外は、特に小額の場合に広く認められているところ、おそらくはその全てが不正の温床になる、というかなっているだろう事は、兵庫県議会の件だけを見てもその辺は推して知るべしだし、というか過去の例には暇無く、また挙げるまでもなくほとんど周知の事実とも言える惨状なわけで。既にどっぷり手を染めてしまった多くの議員や公務員諸氏は、真っ青になるどころの話じゃないでしょうね。だからって自業自得だしもうどうしようもないわけですが。
ともあれ、流石に最高裁で明確な判断がなされた以上、自治体も公的機関も、およそ公的な組織には運用の方は速やかに転換して合わせる以外の選択肢はなく、潔く条例改正するなり、そうなると破滅するやっちまってた人たちが抵抗して即訴訟を起こされたり居直ったり、とかいう残念な事も起こりうるのでしょう。
事実、このところのあれこれの当事者は、国会議員であれ県会議員であれ、皆見苦しくも開き直ったり逃亡したり、およそ考えうる最悪な振る舞いしかしていないわけですし。何か国会では与党も野党も皆クロだからって首相周りは開き直ってしまったようで、何とも象徴的なのはとりわけ残念なわけですが。。。それが許されると思ってるのか、そうするしかないのか。いずれにせよ正気ではありませんし、到底受け入れられる筈もありません。それならそれで、今回の判決の後押しもある事ですし、隅から隅まで存分にガサ入れを受けてのち相応の罰を喰らうか、もしくは逃げ切るかしかないんでしょう。
しかし仮にも国政の担い手、その主導的立場の人間が揃って不適格が理由で機能不全に陥るとか、何とも不毛な話です。出来れば潔く自首して頂きたいところですけれども、それが可能な位ならそもそもそんな犯罪犯しませんよね。ええ。もとより、その種の期待を抱けた時代はもう遠く昔に過ぎ去りました。粛々と強制措置に付されればそれでいいし、そうするしかないんだろう、と諦めるより他ないのでしょうか。代わりはいない、というか代わりになりうる人間も同じ穴の狢なんでしょうから、それでどうなるとも思いませんけど、せめて報いだけは受けて、多少の慰め位にはなって頂きたいところですが、さて。
政務活動費 1万円以下の支出の開示命じる
が、このタイミングで最高裁が、政務調査費における小額領収書の提出・開示義務を認める判決を出したとか。急いで本文を確認してみると、その主旨は、当該領収書類の提出義務は、政治家の調査研究活動の自由をある程度犠牲にしてでも使途や支出先等の透明性を確保し、不正を防止する事を優先したものであり、従ってそれらの領収書類は(開示対象外となる)”専ら文書の所持者の用に供するための文書”にはあたらず、開示対象となる、としています。そして、法令上は提出の対象外となっている一万円以下の小額領収書は、その額の小ささから、高額領収書よりも更に政治活動として秘匿する必要性に乏しく、またその提出除外規定についても、議員や議長の、写し作成等事務処理上の負担に配慮して提出を免除されているに過ぎないものにつき、本来は開示・提出の対象である、というのです。
正直、驚きました。本判決は岡山県の県議会を対象とするものですが、地方自治法の規定を解釈するものでもあるし、その判旨は一般的かつ明確です。従って、政務調査費に関する領収書について同様の規定を設けている他の自治体や国政には当然に適用されるだろうし、それ以外の公金の支出、用途や支出先の透明性を求められる類の支出のうち、特に保護されているもの以外のおよそ全てにあてはまるだろうものなわけです。議員周りは無論として、一般公務員の諸々についても対象に含まれる得るだろう、ということで、その影響の範囲は凄いことになるのだろうな、と。他にも、判決の主旨からして、政治資金の収支報告や小額献金も普通に当てはまり得る帰結として、今後は細かい領収書類の全てが開示を求められる可能性も示唆されるわけですし。
無論、仮にも公金を支出し、また公的立場の人間や組織が金銭を受け取るからには、額の多寡によらず全て適切である事が絶対に必要で、その証明は当然なされていて然るべきものなのですから、本来であれば当然の話と言えるわけです。が、残念ながらというか、この種の公金の出入に関してその証明を免除する類の例外は、特に小額の場合に広く認められているところ、おそらくはその全てが不正の温床になる、というかなっているだろう事は、兵庫県議会の件だけを見てもその辺は推して知るべしだし、というか過去の例には暇無く、また挙げるまでもなくほとんど周知の事実とも言える惨状なわけで。既にどっぷり手を染めてしまった多くの議員や公務員諸氏は、真っ青になるどころの話じゃないでしょうね。だからって自業自得だしもうどうしようもないわけですが。
ともあれ、流石に最高裁で明確な判断がなされた以上、自治体も公的機関も、およそ公的な組織には運用の方は速やかに転換して合わせる以外の選択肢はなく、潔く条例改正するなり、そうなると破滅するやっちまってた人たちが抵抗して即訴訟を起こされたり居直ったり、とかいう残念な事も起こりうるのでしょう。
事実、このところのあれこれの当事者は、国会議員であれ県会議員であれ、皆見苦しくも開き直ったり逃亡したり、およそ考えうる最悪な振る舞いしかしていないわけですし。何か国会では与党も野党も皆クロだからって首相周りは開き直ってしまったようで、何とも象徴的なのはとりわけ残念なわけですが。。。それが許されると思ってるのか、そうするしかないのか。いずれにせよ正気ではありませんし、到底受け入れられる筈もありません。それならそれで、今回の判決の後押しもある事ですし、隅から隅まで存分にガサ入れを受けてのち相応の罰を喰らうか、もしくは逃げ切るかしかないんでしょう。
しかし仮にも国政の担い手、その主導的立場の人間が揃って不適格が理由で機能不全に陥るとか、何とも不毛な話です。出来れば潔く自首して頂きたいところですけれども、それが可能な位ならそもそもそんな犯罪犯しませんよね。ええ。もとより、その種の期待を抱けた時代はもう遠く昔に過ぎ去りました。粛々と強制措置に付されればそれでいいし、そうするしかないんだろう、と諦めるより他ないのでしょうか。代わりはいない、というか代わりになりうる人間も同じ穴の狢なんでしょうから、それでどうなるとも思いませんけど、せめて報いだけは受けて、多少の慰め位にはなって頂きたいところですが、さて。
政務活動費 1万円以下の支出の開示命じる
10/26/2014
[note] ubuntu14.10導入
Ubuntuの最新版14.10がリリースされました。コードネームはUtopic Unicorn、理想的な一角馬さんです。その名前だけ聞くと何か凄そうですが、その実は何という事もありません。リリースノートを見れば一目瞭然、今回のアップデートはopenstackとかサーバー関係が中心というか殆ど、デスクトップ版としてはカーネルが更新されて新しいハードに幾つか対応したのと多少パフォーマンスが上がった程度の、14.04LTSから実質変わっていないマイナーチェンジなのです。
なので、デスクトップ版ユーザにしてみれば14.04LTSからアップグレードする理由はほぼ無いのです。が、変化に乏しいという事は、一方で通常懸念されるようなアップデートに伴うリスクもそれだけ小さいわけです。実際数日様子見をしても特に致命的なクレームが上がってる様子もありませんでした。というわけで、暇が出来た時に気軽にホイホイと上げてしまったのです。
対象はあまり使っていないノートPCとサーバの各一台、いずれも14.04LTSからのアップグレードインストールです。で、結果から言えば、いずれも特に問題なく成功しました。ただ、ノートPCの方はupdate-managerからのアップデートがすんなり完了したんですけれども、サーバの方は "アップグレード作業を見積もれません"云々とかいうエラーメッセージが出てupdate-managerが止まってしまうのです。色々と手動で入れてるパッケージがまずかったんでしょうけど、如何ともし難い、というわけでコンソールからのコマンド入力によるアップグレードです。大した話ではありませんが、一応以下その手順をメモ。
まずは下記コマンド。
$ sudo apt-get upgrade
すると、途中で下記のようなエラーが出てこれまた止まります。
(前略)
dpkg: error processing package brltty ...
(後略)
どうも依存関係がおかしな事になっているようです。update-managerが止まったのもこの辺が原因でしょうか。というわけでworkaround。その辺を一旦リセットします。
$ sudo apt-get upgrade initscripts
今度は一応最後まで完了します。が、保留が460程残ったままになります。再びworkaround。色々調べていると、そういえば、とディストリビューション全体のアップグレードは別のコマンドが用意されていた事を思い出しました。というわけで今更ながらにそちらを実行。最初からこちらをやっておけば良かったのかもしれませんが、後の祭りです。
$ sudo apt-get dist-upgrade
途中幾つか手動で導入したパッケージをアップグレードするか聞かれるのに適当に応答しつつ待つことしばし、保留分も完了。あと、不要になったパッケージのクリーンアップをして終了です。
$ sudo apt-get autoremove
で、再起動すればOK。何かログイン画面の背景が真っ白になっていたり、ログイン後しばらく画面が乱れたりして少し冷や汗も掻きかけましたが、大きな問題はなく、成功と言っていいでしょう。
なお、ノートPCの方はログイン画面も特に変わりなく、ログイン後の画面乱れも無かったのですが・・・何が違うのでしょうか。謎です。まあ、長い事色々使って来ていれば色々と不整合が入るのも仕方ない、ということですか、と無理やり納得します。
当然ながら、見た目も使い心地も殆ど変わりません。cairo-dockのバー等のデザインに若干変更があった位でしょうか。ibusの切り替えのタイミングとかが若干変わった気もしますが、おそらく設定をいじれば元に戻るでしょう。
というわけで、特段の問題もなく終了。味気ないと言うことも出来るでしょうけれども、OSが安定しているのはいいことです。これからも引き続きこの調子でお願いしたいところですね。というわけでこれでおしまい。
[関連記事 [note] ubuntu 14.04LTS導入]
なので、デスクトップ版ユーザにしてみれば14.04LTSからアップグレードする理由はほぼ無いのです。が、変化に乏しいという事は、一方で通常懸念されるようなアップデートに伴うリスクもそれだけ小さいわけです。実際数日様子見をしても特に致命的なクレームが上がってる様子もありませんでした。というわけで、暇が出来た時に気軽にホイホイと上げてしまったのです。
対象はあまり使っていないノートPCとサーバの各一台、いずれも14.04LTSからのアップグレードインストールです。で、結果から言えば、いずれも特に問題なく成功しました。ただ、ノートPCの方はupdate-managerからのアップデートがすんなり完了したんですけれども、サーバの方は "アップグレード作業を見積もれません"云々とかいうエラーメッセージが出てupdate-managerが止まってしまうのです。色々と手動で入れてるパッケージがまずかったんでしょうけど、如何ともし難い、というわけでコンソールからのコマンド入力によるアップグレードです。大した話ではありませんが、一応以下その手順をメモ。
まずは下記コマンド。
$ sudo apt-get upgrade
すると、途中で下記のようなエラーが出てこれまた止まります。
(前略)
dpkg: error processing package brltty ...
(後略)
どうも依存関係がおかしな事になっているようです。update-managerが止まったのもこの辺が原因でしょうか。というわけでworkaround。その辺を一旦リセットします。
$ sudo apt-get upgrade initscripts
今度は一応最後まで完了します。が、保留が460程残ったままになります。再びworkaround。色々調べていると、そういえば、とディストリビューション全体のアップグレードは別のコマンドが用意されていた事を思い出しました。というわけで今更ながらにそちらを実行。最初からこちらをやっておけば良かったのかもしれませんが、後の祭りです。
$ sudo apt-get dist-upgrade
途中幾つか手動で導入したパッケージをアップグレードするか聞かれるのに適当に応答しつつ待つことしばし、保留分も完了。あと、不要になったパッケージのクリーンアップをして終了です。
$ sudo apt-get autoremove
で、再起動すればOK。何かログイン画面の背景が真っ白になっていたり、ログイン後しばらく画面が乱れたりして少し冷や汗も掻きかけましたが、大きな問題はなく、成功と言っていいでしょう。
なお、ノートPCの方はログイン画面も特に変わりなく、ログイン後の画面乱れも無かったのですが・・・何が違うのでしょうか。謎です。まあ、長い事色々使って来ていれば色々と不整合が入るのも仕方ない、ということですか、と無理やり納得します。
当然ながら、見た目も使い心地も殆ど変わりません。cairo-dockのバー等のデザインに若干変更があった位でしょうか。ibusの切り替えのタイミングとかが若干変わった気もしますが、おそらく設定をいじれば元に戻るでしょう。
というわけで、特段の問題もなく終了。味気ないと言うことも出来るでしょうけれども、OSが安定しているのはいいことです。これからも引き続きこの調子でお願いしたいところですね。というわけでこれでおしまい。
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10/23/2014
[biz] Uber登録ドライバーのストライキ発生
TNC大手のUber社でストライキが発生し、NYを含めた米国内の複数の都市で同社のドライバーのうちユニオン所属者が一斉に通信を切ってサービス停止の上、オフィスに押しかけてるんだそうで。
原因は料金値下げ、それに伴う収入低下への不満。 その撤回を求めてのストだそうです。この値下げ、正確には七月から実施されていた割引キャンペーンを恒久化するって話で、実態的には現状維持なんだそうです。が、ドライバーからすれば将来の収入が減るように感じた、という事ですね。で、ドライバー達がUberに所属するに際して車両調達等に投じた資金の回収が出来ないとか何とか。
これ、どう見ても無意味な自殺行為としか見えないのです。一体何をやってるんだろうと。
ミクロな事から言えば、問題のドライバーが不満を抱いたところの将来の収入減については、料金を元に戻す、すなわち上げた場合に起こるだろう利用客の減少等、負の影響を考慮していないわけで。それに、ドライバーからすればUberは現時点では脱退も自由、他社との掛け持ちすら可能という事なのだから、Uber社の待遇に不満があるなら他社へ移るなり個人タクシーになるなりすればいいわけです。
労組によれば、ドライバーにはアフガンやイラクから帰ってきた退役軍人が多く、その大半は技能等が無いために他の仕事に就くことが難しい、等とも説明されているようですが、であればそのような競争力の低い労働者が買い叩かれて低賃金になるのは尚更当然の成り行きと言えてしまうでしょうし。ストライキなどすれば解雇されて終わりだと思うんですが。。。
そもそも、Uberは最大手ではあっても一プレイヤーに過ぎず、支配的なシェアを確立したわけでもないし、また法的な保護があるわけでもないのです。というかむしろ多方面からの排除圧力に晒される極めて危うい立場にあって、その危うい立場をさらにLyft等の競合と奪い合いつつ、勢力を拡大する事によってデファクト的にTNC独自のポジションを確立し、社会に認容させようという試みの途上にあるのであって。
そして、TNCであるが故の強み、すなわち配車やプライシングの最適性といったサービス面のメリットが有効に働くのは、あくまで従来型のタクシー業者との競争に限定されます。システムが殆ど同じで、サービスのレベルも変わらないTNC同業他社との競争にあっては、どうしたって利用料金の競争にしかなり得ない事は最初から分かり切った話なのです。なら料金がコストカットの限界まで下がるか、法規制が入るかするまで値下げ合戦が続くのもまた当然の成り行きなわけです。
で、過去の例を思い起こすまでもなく、タクシー業のような特殊技能が要求されない、本来的に参入が容易な業種でその規律を完全に自由競争に任せてしまうと、単価が本当に限界まで下がってしまう結果、共倒れやらドライバーの過労に伴う事故とかが頻発するようになってしまうというのも何処でも同じなのであって。公共交通機関でそれはまずいですから、通常タクシーの料金と台数は規制の対象になっているわけです。
しかるに、TNCは需要に応じた料金の動的な変更をその特色とするわけですが、そんなコスト面の競争原理そのものをコンセプトにしたも同然なシステムを採った時点で、競合が発生すれば即価格競争に突入するのも当たり前の話でしょうと。それだけならまだしも、その料金変更が原因で組織が機能不全を起こすとか、自己矛盾もいいところです。挙句只でさえ危うい立場をさらに悪くして、もう何がしたいのと。そんな最初から想定されるようなトラブル、システム上で予防しておけよと。自滅というのも馬鹿馬鹿しい程のあまりの杜撰さ、阿呆さ加減に眩暈がするのです。
この体たらくを見る限り、おそらくはもうこの業界自体、自由にやらせても先がないんじゃないでしょうか。米国外の諸都市のように違法として最初から排除するのならそれでいいんでしょうけれども、許容していくというのなら、早期に法規制をかける必要があるものと思われるところです。といっても、求められるだろう要件を考慮すれば、従来のタクシー規制とあまり変わらない、タクシー業界のネット予約対応的なものに落ち着きそうな気もしますが。そうだとすれば、TNC自体、結局はそう美味い話なんて無かった、的な失敗パターンに終わってしまうんでしょうか。やれやれです。
Uber Drivers Across The Country Are Protesting Today — Here's Why
[関連記事 [biz] Uber白タク摘発。社会に拒絶されるTNCの自業自得]
[関連記事 [biz] ドイツAmazonとAir France、2つの対照的なストライキ]
原因は料金値下げ、それに伴う収入低下への不満。 その撤回を求めてのストだそうです。この値下げ、正確には七月から実施されていた割引キャンペーンを恒久化するって話で、実態的には現状維持なんだそうです。が、ドライバーからすれば将来の収入が減るように感じた、という事ですね。で、ドライバー達がUberに所属するに際して車両調達等に投じた資金の回収が出来ないとか何とか。
これ、どう見ても無意味な自殺行為としか見えないのです。一体何をやってるんだろうと。
ミクロな事から言えば、問題のドライバーが不満を抱いたところの将来の収入減については、料金を元に戻す、すなわち上げた場合に起こるだろう利用客の減少等、負の影響を考慮していないわけで。それに、ドライバーからすればUberは現時点では脱退も自由、他社との掛け持ちすら可能という事なのだから、Uber社の待遇に不満があるなら他社へ移るなり個人タクシーになるなりすればいいわけです。
労組によれば、ドライバーにはアフガンやイラクから帰ってきた退役軍人が多く、その大半は技能等が無いために他の仕事に就くことが難しい、等とも説明されているようですが、であればそのような競争力の低い労働者が買い叩かれて低賃金になるのは尚更当然の成り行きと言えてしまうでしょうし。ストライキなどすれば解雇されて終わりだと思うんですが。。。
そもそも、Uberは最大手ではあっても一プレイヤーに過ぎず、支配的なシェアを確立したわけでもないし、また法的な保護があるわけでもないのです。というかむしろ多方面からの排除圧力に晒される極めて危うい立場にあって、その危うい立場をさらにLyft等の競合と奪い合いつつ、勢力を拡大する事によってデファクト的にTNC独自のポジションを確立し、社会に認容させようという試みの途上にあるのであって。
そして、TNCであるが故の強み、すなわち配車やプライシングの最適性といったサービス面のメリットが有効に働くのは、あくまで従来型のタクシー業者との競争に限定されます。システムが殆ど同じで、サービスのレベルも変わらないTNC同業他社との競争にあっては、どうしたって利用料金の競争にしかなり得ない事は最初から分かり切った話なのです。なら料金がコストカットの限界まで下がるか、法規制が入るかするまで値下げ合戦が続くのもまた当然の成り行きなわけです。
で、過去の例を思い起こすまでもなく、タクシー業のような特殊技能が要求されない、本来的に参入が容易な業種でその規律を完全に自由競争に任せてしまうと、単価が本当に限界まで下がってしまう結果、共倒れやらドライバーの過労に伴う事故とかが頻発するようになってしまうというのも何処でも同じなのであって。公共交通機関でそれはまずいですから、通常タクシーの料金と台数は規制の対象になっているわけです。
しかるに、TNCは需要に応じた料金の動的な変更をその特色とするわけですが、そんなコスト面の競争原理そのものをコンセプトにしたも同然なシステムを採った時点で、競合が発生すれば即価格競争に突入するのも当たり前の話でしょうと。それだけならまだしも、その料金変更が原因で組織が機能不全を起こすとか、自己矛盾もいいところです。挙句只でさえ危うい立場をさらに悪くして、もう何がしたいのと。そんな最初から想定されるようなトラブル、システム上で予防しておけよと。自滅というのも馬鹿馬鹿しい程のあまりの杜撰さ、阿呆さ加減に眩暈がするのです。
この体たらくを見る限り、おそらくはもうこの業界自体、自由にやらせても先がないんじゃないでしょうか。米国外の諸都市のように違法として最初から排除するのならそれでいいんでしょうけれども、許容していくというのなら、早期に法規制をかける必要があるものと思われるところです。といっても、求められるだろう要件を考慮すれば、従来のタクシー規制とあまり変わらない、タクシー業界のネット予約対応的なものに落ち着きそうな気もしますが。そうだとすれば、TNC自体、結局はそう美味い話なんて無かった、的な失敗パターンに終わってしまうんでしょうか。やれやれです。
Uber Drivers Across The Country Are Protesting Today — Here's Why
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