8/07/2017

[pol] 何がどうして"日本"ファーストの会なんて名前にしたのだろう

いたるところで噂されていた通り、東京都の地域政党であるところの都民ファーストの会が国政に進出すべく全国版の政党を立ち上げたそうです。その名も「日本ファーストの会」・・・。

はい、完全に維新の二番煎じです。もしかしたら、と誰もが考えた名前ではあるんでしょうけど、まさか何のひねりもなくその選択をするとは驚きました。勿論悪い意味で。

悪い、との印象を受けるのには、大きく分けて2つ原因があるように思います。一つは、既に期待はずれの失敗に終わったところの、維新の会による地域政党からの国政改革を目指す試みの、そのさらに二番煎じにつき、失敗を前提にしているような、非常にネガティブかつ安っぽいイメージを連想させる点です。只でさえ二番煎じは劣化版的な印象を与えるのに、パクリ元からしてお世辞にも良いイメージも実績もない、というのだから、どういう意図でその名前を選んだのか、ちょっと正気を疑わざるを得ません。やる気ないんでしょうか。

もう一つは、その名前の帯びる意味合いです。まず、元々の"都民ファースト"は、若干の安直さや建前感は否定し難いものの、政党や一部の業界の利益ではなく"都民"、すなわち広く住民や市民の権利、利益を最優先にする、というポリシーを簡潔に表現出来ており、民主主義の理念に沿う名前としてポジティブに評価され得るものでした。これに対して"日本"ファーストでは、最優先にされるのは"日本"、すなわち国家であって、都民とはまさに真逆の、右翼団体の如きナショナリズム優先主義的な意味合いに解すべき表現になっているわけです。同じ意味合いの国政版、というなら、その範囲のみを変えて"国民"ファースト、とでもするべきところだったでしょう。まあ、それだと民主党等と殆ど同じになるだけなわけですけれども。また、"日本"を国際社会における文脈で捉えるならば、世界的な調和、国際協調等を軽視し、自国の利益を最優先にするという、エゴイスティックなポリシーをも意味する表現にもなってしまっています。排外的、とも言えるでしょうか。良い印象など感じようもありません。

政党の名前、それも新規に立ち上げようとするものの名前、その印象や読み取りうる意味合いが重要である事は言うまでもありません。まさか意図したわけではないんでしょうけれども、意図があろうとなかろうと、特に穿った見方をせずともそう読めてしまう、というのは致命的です。安直さ、安易さといったネガティブな性質も感じさせますし。無論、どのような名前にしようと、それが違法でない限りは当事者の勝手ではあるわけですし、第三者がとやかく言う話ではないのですが、落胆に終わった第三極ブームの過ぎし後、久々に追加されるだろう国政における選択肢がこれ、というのは、一有権者として落胆を禁じ得ないのです。

そもそも母体となるべき都民ファースト自体、実質小池都知事と若狭議員との2人しか公には対応出来る者がおらず、残りは不安があるからと殆ど雲隠れしているような状態なのだし、加えてよりによって無残な失敗に終わった維新を真似て作られる政党なわけです。どうやってこれに期待しろと言うのでしょうか。都知事個人に一定以上の人気、期待がある事は疑いようのないところですが、都知事の職を放り出さない限り、国政への関与には自ずから限度があります。小池都知事のシンパの一人に過ぎない若狭議員一人にその全てを担えるとは到底考えられません。国政で都議のメンバーの如く箝口令を敷く事など出来よう筈もないし、どうするつもりなんでしょうね?維新や民進からいくらか引き抜いたとして、どうにかなるとも思えませんけれども、さて。

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