6/20/2017

[pol] まさかの悪い所取り、豊洲・築地併存決定でさらに積み上がる損失

東京中央卸売市場の件、小池知事がようやく方針を発表したそうですが。意味が分からなくて困ってしまいました。

結論としては、豊洲への移転は実行し、しかし築地は存続させ、将来的には築地へ戻す、というものです。何を言っているんだ、と。いや、事前に散々報道されてはいたので、実際驚いたわけではないのですが、まさか本当に、と思わずにはいられなかったのです。いやほんと、なんでこうなっちゃったんでしょう。

もとより本件の焦点は、移転した場合に生じる損失と、移転しない場合に生じる損失のいずれを取るか、という点にありました。すなわち、その深刻な土壌汚染及びそれにより不可避的に生じるだろう流通への悪影響と、豊洲の整備等に費やした巨額の投資の減損をはじめとした金銭的損失との、どちらを許容するかが主要な問題だったわけです。少なくとも、大多数はそのように認識していたでしょう。

しかるに、今回の案によれば、一旦豊洲へ移転する以上、前者の移転により生ずる損失は当然発生しますし、後者の金銭的損失についても、明らかに余剰となる築地を併存させるための維持・整備費、及び将来的な再移転時の費用に転じる形で生じる、というか、これから相当期間併存させる分、むしろ単に移転を取りやめた場合よりも損失は増えてしまいます。要するに、両選択肢の悪い所取りをしたような事になっているわけです。多額の損失を生じさせてまで移転を延期した結果がこれ、というのは、いくら何でも酷すぎるものと言わざるを得ません。頭おかしいんじゃないの?

大体、将来再移転した後には豊洲を別用途に転用する、というのであれば、今そうすべきところだろう、と。わざわざ巨額の費用が生じる移転を何度も繰り返したり、その間設備を余剰に保持して損失を積み上げるなど論外です。

本気で意味がわからないし、知事の意図も理解しづらいわけなのですが。。。これはあれですかね、作ったものを使わずに損失処理するのがもったいなくて出来ない、という話なんでしょうか。それとも、移転延期に伴う批判等や、豊洲への移転を中止した場合に東京都に生じるだろう損害賠償等の責任を回避したい、という話なんでしょうか。いずれにせよ、目先の損害に目が眩み、知事や東京都の保身のためだけに全体的な損失を積み上げる最悪の判断と断ぜざるを得ません。いやあ、酷いですね。

そもそも、高度に汚染されている事が分かっている場所を市場にする、という時点で現実と風評とを問わず、流通等に相当な被害が生じるだろう事も確実なのですし。。。あらゆる意味で誰も救われないものと言うべきその判断に、まさかここまで愚かとは、と呆れざるを得ないのです。

検査の改竄疑惑についても未だ説明すらされないままですし、なすべき事をせず、取り繕いややり過ごしを重ねた結果、既に事は破綻していて、それが都議選を前に無理にでもまとめざるを得なくなった事で表面化したのが本件、と解する事も可能でしょうか。何にせよ、無残なものです。

どう見ても都民ファーストとは言えないだろう愚行ぶりでもあるわけですが、さて都議選はどうなるのでしょうね?只でさえ実績もなく、有象無象の寄せ集め集団に過ぎない同集団が、それでも単に代表たる都知事のイメージだけを頼りに何となく支持を得る事になるのか、流石に幻滅されてあえなく散るのか。維新の顛末も記憶に新しいところ、未だ具体性すら覚束なかった同会がようやく実体を備えたと思ったらこれ、という話でもあるので、常識的に考えれば駄目だこれは、と見切られても不思議ではないように思われるところですが、さて。

小池都知事、豊洲移転を表明 築地も再開発

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