5/09/2017

[biz] はこBOON終了に見る戦慄すべきヤマトの常識外れな安易さ

はこBOONが休止だそうで。本サービスは伊藤忠が傘下のファミリーマートを窓口にして提供して来たものですが、キャリアがヤマトという事から、現在進められているところの料金値上げ及び法人契約見直しの影響である事は明らかです。

基本的にサイズフリーで重量に応じた料金制である事から、衣料品や楽器等、大型かつ比較的軽量な物品の送付に際してはコストパフォーマンスが良く、オークション等で広く利用されていました。私も使った事があります。同等のサービスは他には存在しない事から、代替への変更に伴いコスト上昇を余儀なくされる向きは相当に出るでしょう。仕方がないと言えばそうですが、またドラスティックにいったものです。

一応、廃止ではなく休止という事ですから、将来の再開の可能性もあるにはあるのでしょう。ですが、その場合も運賃の大幅な上昇ないし其の他制約が強められ、その特徴がほとんど失われる形になる事は避けられないでしょうし、一度打ち切ったものを復活させるのは言うまでもなく相当な困難を伴いますから、これはもう事実上の廃止と捉えてもいいかもしれません。

しかし、今回の件、ヤマトが契約見直しに際し、中小の法人契約で一方的に打ち切りを通告するケースが多発している事は既に報じられていましたが、このクラスの契約でも躊躇なく切り捨てている事が明らかになりました。これはなかなかに衝撃的な話です。今回の運賃等の見直しにあたり、ヤマトが個人・法人を問わず全面的に値上げ・打ち切りを行うものとしている以上、現段階で個別に妥協するのが難しく、またその目的が輸送量の削減にある事もあって、相手が何処であろうと、どのような案件だろうとを問わず、条件(値上げ)が受け入れられなければ即打ち切り、となりやすい事情はあるのでしょう。けれども、大口顧客との関係というのは、本来そんな簡単に打ち切っていいようなものなのかというと無論疑問なしとは言えないわけです。そのサービスの立ち上げや普及等にかけられたコストだけを見ても、容易に切り捨てられるような小さいものではない事は明らかなのだし、常識的には、個別の事情に照らして妥協点を探るべく、少なくとも相応の時間をかけて交渉するものでしょう。

それでもあっさり切り捨ててしまったのが本件というわけです。あまりに安直というか安易というか、この有様を見るに、ヤマトの事業にとって最重要と言えるだろうamazonはじめその他の大口顧客とのサービスも同様に打ち切りとなる可能性が相当に高いものと考えるべきなのでしょう。無論、それで利益を出そうが損失を被ろうが、その辺はヤマトの自由なんですが。。。思ったよりも大変な事になりそうというか、一民間事業者に過ぎないヤマトの経営判断によって、法人、個人問わず、ユーザたる社会一般について大幅にその活動が制約されるだろう意味で、多くの人にとって残念な帰結になりそうです。いやはや。

5月9日 はこBOON サービス休止のお知らせ

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