10/22/2016

[IT biz] iPhone7も発火、車を焼損

先日あえなくご臨終となったGalaxy Note7に続き、iPhone7も発火が報告されたそうです。意外というよりは遂に来たか、という感の方が強い気もしますが、何にせよSamsungの惨事を目にしたAppleがどう対応するのか、要注目、でしょうか。

発生場所はAustralia、被害者は現地在住のMat Jones氏。同氏曰く、サーフィングのレッスンを受ける間、車の中(シフトレバー近くの小物置き近辺)に布を被せて置いていたところ、レッスン終了後に車に戻った同氏が目にしたのは、車内に煙が充満する光景だった、とのこと。そして灰の中から溶けたiPhone7が見つかり、そこが発火原因である事は明らかだったとか。

火が出てから早めに発見することが出来たからなのか、燃えたのはiPhone7と被せていた布、あと座席の一部を含む小物入れ近辺に留まっていたそうです。そこまで燃えたらもう廃車必至につき、物損面では大損害には違いなく、その点はご愁傷様と言う他ないものの、少なくとも発火が走行中ではなく、かつ無人の状態であったために人的被害が無かった点については、幸運と言えなくもないかもしれません。いずれにしろ、看過し難い重大事象と言うべき事故には違いありませんが。

その原因については、ある程度高温状態であった事は推測されるものの、iPhone7を置いていた場所は車内でも比較的内側であり、布を被せてもあった点からすれば、少なくとも直射日光に晒したわけではなく、単なる車内温度の上昇があったに過ぎないのであって、この事をもってこの種の発火の原因として社会的一般の通念に照らして許容され得るものとは到底評価し得ないだろうところです。夏に車の中に放置する、というごくありふれた普通の状況で発火のリスクがある、というのでは、ユーザにしてみれば欠陥品というしかないわけですから。

問題は、本件について、それ以外の、すなわち夏の車内温度程度の比較的緩やかな高温環境、という以外の、本件ユーザたるJones氏の過失による異常な事故、と評価し得るだけの特別の事情、理由が存在するのか否か。もしこれがあるのであれば、本件はiPhone7一般の不良とは評価されず、従ってNote7のようなリコール等も不要とされるでしょうけれども、それがないというのであれば、iPhone7一般の欠陥と評価される結果、範囲はさておき、Note7類似の惨事に発展するだろうわけです。iPhone7、ないしAppleは重大な岐路に立たされていると言えるかもしれません。

Appleは今のところ調査中としかコメントを出していません。が、Note7があんな事になった直後の今の時期に出てしまった本件ですから、誰もが連想的に不安視するだろうし、疑いの目が集まる中で下手な対応をすればNote7の二の舞に発展しかねない事も容易に想像されるところ、極めて警戒しつつ事に当たっているだろう事は間違いないでしょう。その流通する台数と期間に比した頻度を見れば、Note7より格段に発生の危険性は小さいのでしょうけれど、しかしいくら頻度が小さかろうとも、発火は致命的な欠陥につき、メーカーに求められ得る検証の内容やリコール等の対応について特段の違いはないのでしょうし、大変ですね。担当者にかかるストレスも尋常ではないでしょう。

ただ、iPhone7は初の防水対応という事で、防水仕様には往々にして放熱関連の問題が伴う事は周知の事実なのであって、その辺の疑惑も根拠なしというわけではない事も明らかなところです。そうである以上、Note7の時にSamsungがしたように、先入観や願望をその行動・判断に介在させ、楽観論に傾斜したり、結論ありきで事にあたるならば、事実認識を誤り、取り返しの付かない結果をも招きかねないものと懸念されますし、万が一にもそのような事にならぬよう、Appleには確実かつ誠実な検証及び対応を期待したいところです。どうなることやら。

iPhone 7 goes up in flames, sets fire to vehicle in Australia

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