9/29/2016

[IT biz] 失敗を重ねるSamsung、爆発物製造業者と揶揄される惨状に

このところ、Samsungが何か酷い事になってますね。GalaxyNote7の不具合で販売中止と総交換に追われる中、飛行機の中でGalaxyNote2が発煙して緊急着陸する騒ぎが起きたと思ったら、今度は洗濯機が使用中に爆発するとか何とか。あっという間に当該製品は爆発物、Samsungは爆発物製造業者扱いです。

しかし、洗濯機が爆発、って何なんでしょうか。怖すぎますし、意味がわかりません。それが本当だとして、もしその場に居合わせたら普通に死ぬでしょう。そんな事あり得るの?洗濯機のような枯れた製品で?ていうかどう作ったらそんな事になるの?と、耳を疑ってしまう位には常軌を逸した話です。まだGalaxyの不具合に便乗した手合の虚言とでも言われた方が現実味があるようにも思われるところですが、さてどうなんでしょう。まだ詳細な調査・検証がなされたわけではないようですし、無論同社の白物家電はほぼ流通していない日本国内にはおよそ関係のない話でもありますから、さしあたり洗濯機に関しては眉唾な話扱いでいいのかもしれません。というか出来れば想像したくもないわけですが。

流石に洗濯機はGalaxyとは製品として全く別物だし偶々ということなんでしょうけれども、あまりにタイミングが良すぎる(悪すぎる?)のと、症状が類似している事もあって、どうしても連想を呼ぶのは致し方ないところでしょう。それらが一体となってSamsungブランドの製品全体に波及する事も避けられないだろう辺り、弱り目に祟り目とはこのことだと言うべき惨状なわけです。実際、Samsung製品の取り扱いには爆弾処理用の装備が必要だ、等といった趣旨の揶揄する発言やネタ画像の類も飛び交っているのですし。

なお、GalaxyNote2については、座席の間に挟まれて折れ曲がり、直接損傷した、という情報もありますし、まだ当該製品一般に不具合があると断じる事は出来ないように思われます。Note2は同じく国内では売れてもいませんから、そちらも、といって発煙自体は事実につき、洗濯機よりは現実的な危険はあるだろうところですが、それでも1件目ですし、要注意、位の扱いでいいのかもしれません。

結局のところ、主に規模の面から、実質的には依然としてGalaxyNote7がほぼ唯一にして最大の問題と言えようわけです。で、これがまたなんと言うか、焦って自爆してる感じで。

おそらくは新規に搭載された急速充電機能、それに伴うバッテリーの変更が原因となって、世界各地で言い訳のしようもない文字通りの炎上っぷりを見せた結果、完全に爆発物扱いされるに至り、様々な場所で持ち込み禁止とされた挙句、当然に全交換に追い込まれたNote7、そのヤバさ加減については今更疑問の余地はありません。ただ、その後の対応は速く、販売を中止してリコールを開始した時点で既に販売された台数が約250万台、その内半数以上をこの2週間余りの間に交換済みという事で、それなりに対応は進んでいるようにも見えなくもなく、実際問題発生から一ヶ月と開けずの販売再開も予定されていたところでした。

が、しかし。販売は再開されませんでした。とりあえず延期。理由は明らかにされていませんが、交換品のユーザの一部からは、交換品もまだバッテリー周りの不具合は解消されていない、という情報もチラホラ上がっており、そもそもの交換対応自体に不備があると疑う向きも多数あるらしい現状と、直前になっての理由も曖昧な延期、という流れからすれば、リコール手続きの中で問題が発生したのだろう事は殆ど間違いないでしょう。

そうだとしても、状況的には別に不思議ではない、というか納得出来る話なのですよね。というのも、前記の通り、問題発生から交換までの対応は迅速だったのですが、この種の基本設計に関わる不具合への対応には、当然ながら、原因を特定し、ソフト・ハードの設計・実装を修正し、単体・結合その他の各種検証を経てそれを生産プロセスに反映し、さらに製造品質のチェックまでを行う必要があるわけで。一般的に言えば、いくらSamsungクラスの大手と言えども、とても数日で実行し得るところではない筈なのです。1ヶ月でも普通は無理でしょう。

しかし、Samsungは設計の修正のみならず、交換の告知から100万台超の実機交換までをわずか2週間程度で実行してしまいました。内々に把握して事前に準備を進めていたとしても、リリース時期自体が先月の話ですから、上記の作業には高々2週間程度しか掛かっていない計算になります。無論対応が速いに越したことはないのですけれども、あまりに速すぎる、という指摘がなされるのも、また本来の手順を踏んでいないのでは、との疑念が生まれるのも、いずれも当然の結果と言えるでしょう。端的に言って無謀というものです。

しかし解せません。この種の不具合への対処において、拙速な対応は二次災害の元でしかない事は、製品の開発に関わる者なら誰でも知っている筈の常識なわけで。長年そのプロセスを制御して膨大な製品を開発し、生産し、販売してきたSamsung、またその各部門のエンジニアがその事を知らない筈はありません。なのに何故このような事になってしまったのか、逆に関心も抱いてしまうところなのです。

一般論的に考えれば、Galaxy Note7のように戦略上の位置付けがあまりに重要に過ぎるプロダクトの不具合ですから、その収束を急ぐ内外の圧力は相当なものだっただろうし、元々開発側の不手際によるものという事もあって、その無謀なスケジュール設定等が専ら経営・営業側の判断のみによってなされてしまった、とかそういう事は起こり得ただろう、とは思いますが、どうなんでしょうね。いくら考えてもわかる筈も無いのですけれども。

何にせよ、Samsungが本来絶対にやってはいけない類の不手際を重ねてしまった事はほぼ間違いなさそうです。そして、それがGalaxyNote7は無論、その他Samsungの製品を含めた、ブランド全体への評価についても、殆ど致命的な毀損を与えてしまった可能性も相当に高いと言えるでしょう。少なくとも、今回の不具合によって採られた、飛行機内等への持ち込み禁止等の措置は、恐らく永久に解除されないものになってしまったように思われるところです。信用も何もあったものではありませんし、主力製品にそんな汚点を抱えて、他社製品と競合出来るかと言えば、それは困難と言う他ないわけで。

本件でSamsungが被る直接的な損害は、金額にして数千億円にも上るだろうとも言われるところです。既に紛うこと無き巨額の損失ですが、上記のような同社製品に対する影響を考えれば、それにとどまらないだろう可能性も相当に高そうです。只でさえ業績が落ちている現状に加えてのこれは、如何にSamsungと言えども、ここからさらに下手を打てば危険かもしれません。さてどうなることやら。

(追記)

そして当然のように交換品も立て続けに発火。概ね予想通りといったところですが、Samsungにとって致命的な事は無論、被害を受けたユーザにしても洒落になっていません。本当に消えちゃうかもしれませんね。
[続き記事 [IT biz] Note7交換品も発火、拙速と杜撰の果てに消滅の危機に瀕するGalaxy]