10/23/2013

[biz law] 阪急阪神系ホテルのメニュー虚偽表示、その応報と波及

レストランにおけるメニュー虚偽表示発覚の件、大手による食品・食材偽装による詐欺の発覚が相次ぐ昨今ですが、また一際酷いですね。レトルト品や冷凍品を手製や鮮物と称したり、全く違う品種を使ったり、もう間違いとか誤魔化しとかそういう言い訳の入る余地のかけらもない、完全な詐欺そのもので驚きを禁じ得ません。刑事的に見ても、景品表示法違反は間違いないし、故意が認められ、かつその偽装によって得た利益の比率が非常に大きいところ、その悪質さからすれば詐欺罪に該当する案件かと思われます。規模は違いますが、悪質性の程度で言えばイオンの件と同等といったところでしょうか。

ていうかそんなのでよく7年もの長期に渡って発覚しなかったものだと、そちらの方にも驚かされますが。客はまあ往々にして雰囲気に騙されるものだとしても、仕入れ先とか、その際の価格とか見れば丸分かりなのだし、管理部門は当然承知していた筈、要するに組織ぐるみの犯行と考えざるを得ません。阪神合併前からの阪急系の高級ホテルも含まれているようですが、その最大の強みであるところの高級かつ老舗的なイメージが完全に崩壊してしまっただろうわけで、その影響が深刻でない筈もないし、阪急阪神の外食事業全般が割と本気で終わってしまったかもしれませんね。全入れ替えしても客が足を運ぶかどうか。といっても因果応報、同情の余地もありません。南無です。

先の事はさておき、とりあえず直近の問題としては、本件の落とし前、すなわち詐欺被害者への賠償をどのように行うか、その方法をどうするか、でしょうか。宿泊客やツアー利用者なら、ホテルなり旅行社なりに記録も残っているだろうから問題ないでしょうけれども、結婚式等の各種式典だとか、レストランのみの利用客だとその大半は何処にも記録に残っていないでしょうから、その確認をどう取るか。顧客対応の面からは、申し出があった場合には無条件で返金に応じる形が取れればそれが一番適切なんでしょうけれども、当然こういうケースだと利用客と偽って不正に払い戻しを受けようとする犯罪者も寄ってくるもの、とりわけ本件の期間の長さと範囲からすれば到底許容出来ない規模になるでしょうから、その抑止のために何らかのチェックは必要なんですよね。とは言っても、正規の利用客には只でさえ詐欺にかけてしまっているところ、そこにさらに手間を掛け、あまつさえ詐取の疑いを掛けるなど、客商売でなくとも言語道断な話なわけで。

確認はせざるを得ない、けれども阪急阪神側に非がある以上強気にも出られない。となると、極めて緩い、身分確認程度に止めたチェックの上、特に不正の疑いが無い場合には、その手間と非礼の分も加算した慰謝料の割増を支払うとか補償も加える、位が落とし所かとも思われますけれども、さてどう対応してくるか。とても興味が惹かれます。それでも少なからぬ顧客が怒りと共に離れて行くものと予想されますが、自業自得だしそれは仕方のない話、そこをどうにか繋ぎ止めるのか、あるいは自己保身に走って墓穴を掘り進めてしまうのか、阪急阪神のお手並み、というより本性拝見、といったところでしょうか。

あとは、これから本件がどこまで波及するかも要注目でしょう。普通に外食産業全体に延焼しかねない、というか多分にそうなりそうな話で、ぶっちゃけこの種の偽装なんて日常茶飯事もいいところだろうわけで、今頃真っ青になってる人達がそれこそ山のようにいる筈でしょうから。実際、本件の発覚を受けて慌ててメニューの書き換えを行った大手グループも複数報じられていますし。そんなのやってましたと自白したようなもので、呆れざるを得ないわけですが、もっとも大半は逃げ果せようとするんでしょうし、それに比べれば自白するだけマシな方と言うべきなのでしょうか。

いずれにせよ、本件類似の虚偽表示であれば、その実行者は全員が全員、間違いなく悪質な犯罪者なのですから、漏らさず検挙のち然るべき刑罰が適用される事を望みます。そうすると誰もいなくなる、というのなら、そんな無法な業界はむしろ一度滅ぶべきだと思うのですよ。

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そしてまさかの「誤表示」主張。救い難いですね。ていうかこれで諸々の収まりがつかなくなってしまっただろうわけで。本気で終わってしまったかもしれません。

「偽装でなく誤表示」 阪急阪神ホテルズ、一部再調査へ

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おそらく膨大だろうこれから発覚する類似事例を一々挙げてもキリがないんでしょうけれども、あのリッツ・カールトンまでもがそんなセコい真似をしていた件には流石に反応せざるを得ません。というか、大阪は阪急阪神傘下だったんですね。これからは名ばかりの詐欺ホテルと認識される事は必至、ブランドは崩壊してしまったも同然なわけですけれども、これからやっていけるんでしょうか。只でさえ大阪は競争が激しいところなのに。

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そして雪崩を打つかのように相次ぐ同様事例の発覚。その中にあっても一線を画す酷い対応を近鉄がやらかしたそうで、悪い意味で注目を集めているようです。

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