10/10/2013

[biz law] みずほ経営陣の見苦しいまでに悪い往生際

みずほ銀行による暴力団融資とその放置・隠蔽の件、みずほ頭取以下各経営陣の醜態が見るに耐えません。本件は世間の注目を嫌と言うほど集め、各メディアがこぞって詳細の報道に躍起になっているところですが、いい加減辟易とさせられてしまいます。

本件、元の融資自体が極めて悪質な違法行為である事に疑いの余地はなく、しかも当該案件が取締役会に複数回に渡り報告もされていた以上、その隠蔽がトップ以下全社ぐるみであった事も既に明白なところとなりました。さらには金融庁はじめ行政にも完全な虚偽の報告を弄して面目を潰し、全社挙げて真っ向から怒りを買った形でもあるし、もはや歴代取締役全員の解任を以ってしなければ収まらないだろう事は必至、どう足掻こうとどうにもならないように思われるのですけれども、何をそんなにもたついているんでしょうか。責任の範囲からして解任される取締役の数が多すぎて、後任の人選に手間取っているのかもしれませんけれども、そうであったとしてもそれは責任を明確にした後でも良い筈です。結局は自職の延命を図っているようにしか見えないわけで、その往生際の悪さは見苦しいにも程があろうかと。

何故隠蔽したのか、等と動機について疑問を呈する向きの報道も散見されますが、そんなもの、発覚時の責任追求を恐れたから、以外の理由がありえるんでしょうか。個人の犯行ならば特有の事情も有り得るでしょうけれども、規模的にも期間的にも、一般的かつ直接的な理由があったものとしか考えられないわけですが、そのような条件を満たす理由など、保身くらいなものでしょう。

具体的には次のような感じでしょうか。最初に事実を認識した際の取締役連が保身のため隠蔽に走ります。するとその隠蔽行為が加わる事で責任はさらに重いものとなりますから、元々の案件だけでも保身に走った程の連中の事、当然にそれも引っ括めて隠蔽するでしょう。後は雪だるま式に隠蔽が責任を加重し、加重された責任が隠蔽に走らせる。その悪循環により違法行為を積み重ねた結果が現状、ということかと。もはや途中からは公表など考えもしなかったことでしょう。また、取締役会全員がそうなっていれば、メンバーの入れ替わりがあったとしても、大多数に対して独力で逆らおうとする筈もなく、当然に共犯になっていった事でしょう。

これはもう一々考えるのも馬鹿らしい程の典型的な組織腐敗で、みずほはその成り立ちに起因して構造的に問題の多い体質とは言われていましたが、まさかここまでとは、と呆れざるを得ません。元々の案件が報告された時点で公表しておけば、担当役員の更迭と取締役の減給程度で済んだだろうし、ここ数年の暴力団排除の強化といった状況の変化も含めて結果論の面があるにしても、少しでも真剣にその帰結を考慮していれば隠蔽などという選択はありえなかっただろうわけで、その近視眼的な愚かさ加減に寒気もします。銀行業なんて、先の事を考えるのが仕事みたいなもんでしょうに。

それでも、さすがに事が露見すれば経営陣全員の首が飛ぶだろう事位は当人達も承知していたでしょうから、事ここに及んだ以上は、速やかに責任を取り、この見苦しい騒ぎを終わらせて頂きたいものです。銀行を舞台にしたドラマが人気を博した直後だからとか、不謹慎にも興味本位的に騒ぐ向きも多分にあるようですけれども、全く興味もない向きにとっては、本件自体も、その周囲の騒ぎも、ただひたすらに醜く、不快で、遺憾なだけなのですから。