10/30/2012

[note] 裁断機の刃こぼれ修復

書籍の電子化をするようになって早3年、スキャン前のバラしには定番の裁断機PK-513を使用していたのですが、千を優に越える酷使の結果、刃こぼれが深刻化して使用に耐えない状態に至ってしまいました。しかし使えないのは困ります。選択肢は3つ。買い換えるか、刃を交換するか、研ぐか。本体は言うに及ばず、交換用の替刃も割高に思われた事と、今後同様の状態になった場合の事も考慮して、刃研ぎに挑戦と相成ったわけです。

まずはバラします。その手順は簡単、まずカバーを外し、次に刃部とガワの間に張られている両側のスプリングを、それぞれレバーを回して緩めておいてから外します。あとこの時ついでに中央部のカッティング線用ライトのユニットも外しておきます。しかるのちにハンドル+刃部の両側のボルトを外して基盤部から分離。この時、カッティング線用ライトのコードにテンションがかからないように注意。そして、下側から刃ユニットを抜き出します。刃はガイドにボルトで留められているのでこれも外しますが、このボルト部は可動部につきグリスが塗られているのでここも注意。これで目的の刃が取り出せます。(下図)


さて、取り出した刃は下図の通り両側とも激しく欠けています。これは酷い。そりゃ切れなくもなるというものです。


これを研磨して直すわけです。研磨には小型の、水研ぎの出来るタイプの刃物研磨用電動グラインダを使用しました。見ての通り刃こぼれが非常に激しいので、まず粗砥石で大きな凹凸が無くなる所まで大きく全体を削り、次いで中位の砥石に交換して鋭利に、と段階を踏む必要があります。あとは根気。ひたすら丁寧に・・・とわかってはいたのですが、ここまで大きく欠けた刃の切断面をフラットかつシャープに、それも人手で研ぎ直すのは、やはり非常に大変でした。長さも厚みも結構ありますから、全体を一気に削るわけにもいかず、部分毎に削っては当て木等で偏りや鋭さの確認、の繰り返し。もういいかな、と思って組み直して試し切りしてみると切れない所がちょいちょい残ったりするわけで、途中で挫けそうにもなって。それでも根気強く研磨し続け、何とかそれなりに切れる状態にまで持っていけた結果が下図。


削った跡が激しく残っていて見た目はよくないのですが、刃の偏り等は十分に小さく、また鋭さもそれなりに出来たようで、下図のように薄い紙もスパッと切れます。


正直安堵。苦労した甲斐があったというものです。めでたし。しかし専門の刃物屋さんなら数千円で、それも比較にならない位に綺麗に仕上げてくれるんでしょうから、素直にそちらに依頼した方が良い話なのかもしれませんね。まあ折角やり方を覚えたんだから、次の機会、といってもだいぶ先の話になるでしょうけれども、その時にはもうすこし上手くやるとしましょう。というわけで今回はこれでおしまい。