1/08/2012

[biz law] 東証がオリンパス上場維持方針の報道

新年早々から騒ぎの幕が開いたようです。各種の調査がある程度進捗を見る中、東証がオリンパス上場維持の方針に傾いている旨の報道がなされました。粉飾の額、期間も前例が無いほどという事で、従来事例の基準で言えば当然に上場廃止となるべきオリンパスですが、それでも東証としては損失を抑えたい機関投資家の意向を受けて無理にでも救済しようとするだろう、とは誰もが予想していた事でありました。果たしてその動きが現実のものになり出した、というだけの事だろうと思います。当然東証の方も社会的に非難を受ける事は承知している筈で、まずはマスコミを通してブラフ的に社会、政府等の反応を伺っているというところな可能性は高そうですけれども。

しかしそれにしても報道された内容、第一に小額の罰金と改善指導からなるほぼ完全な免責にあたる罰則案の内容、またその粉飾が無くても債務超過ではなかったから、という理由については、いくらなんでも無理があり過ぎるものと言わざるを得ません。当然ながら資本は第一に株主に帰属するものであって、それを経営陣がその地位を利用して粉飾、大幅に毀損していた事態は債務超過の有無を問わず極めて深刻な違法です。まだ検討段階とはいえ、法の下に株式、その価値評価とそれに基づく取引の公正を保つべき義務を負う東証が、その違法を軽視どころか不問に付すが如き方針を立てる、それ以前に俎上に載せるところからして論外です。少なくとも従来の判断基準を完全に覆すのですから、その変更を肯定するだけの論理的に筋の通る理由付けでないと話にならない事は明白でしょうに。その辺も多分にわかっててやってるのかもしれませんが。

自然、東証は開いた口が塞がらない各方面から袋叩きになるだろうし、当然それらを受けた揺り戻し、綱引き的な乱戦が予想されるところ、それに伴って週明けから株価も乱高下するんでしょう。本報道も、単にその株価のボラ拡大を狙うファンドの仕掛けってだけなのかもしれませんが、いずれにしろ極めて迷惑な話で。検察等の刑事面からの摘発についてもこれからの話ですし、いつまで引き摺るつもりなのかと想像するだけでげんなりします。ああうざい。

オリンパス上場維持へ…東証、違約金求める方向