4/22/2011

[biz law] スマホの位置情報無断送信

今更感が漂う話ですが、AppleがiPhoneで、GoogleがAndroidで、それぞれユーザの位置情報を無断で記録、取得していた事が確認された件。何やら結構な騒ぎになってますね。ARやら各種案内やらSNSやら、位置情報を絡めたオンラインサービスは山程あるし、特に明示的に禁止されていたわけでもないのだから、やっていない筈はなかったんですけれども、常識的にはプライバシーの侵害にあたるのは間違いないし、少なくとも倫理的には反社会的との非難を免れないのもまた当然の帰結ではあります。

特にGoogleについては、個人情報周りの話についてはすっかり無法者のイメージが定着してしまって、むしろ当然のような印象すら受けるあたり、隔世の感があります。本件についてはコメントを拒否したとかいう報道もあって、本当ならもはや語るに落ちたと言うべきでしょうか。"Don't be evil"のフレーズが建前、どころか、ただの悪い冗談に成り下がってしまったのは、仕方がないと言えばそうなのだろうけれど、やはり残念な事です。一方のAppleは元から悪徳的というかエゴ丸出しなイメージの会社だし、相変わらず残念ですね、位にしか思いませんけれど。

もっとも、本件のような、違法というか卑怯というか、サービスや製品にこっそり反ユーザー的な動作を仕込む、という行為自体は、業界の中では割と普通に、広く行われている筈のものであって、この2社、また本件に限った話では全くないのですけれど。結局の所、業界全体の、広い意味でのコンプライアンスの欠如が根本的な問題としてあるのだろうと思われるのですね。それは今に始まった事ではなく、極めて今更な話であります。

そもそも社会的な機能、意味を持つ製品、サービスを作り、運営する以上は、当然にそれを担うエンジニアにも、関連するあらゆる法知識、倫理等の素養が必須の筈です。しかし、少なくとも現状大部分のエンジニアはそのような知識、素養は到底持ち合わせていないし、当人達にもその気は薄いし、その涵養を促すしくみも皆無、というような状況ではどうにもならないのでしょう。とはいっても、今後、製品サービス共に、多くがますます社会性を強めつつ拡大普及していくものと予想される所、本件に類似する社会との軋轢が頻発、一層深刻化する事は間違いないものと思われるわけで、どうにもならない、では済まないのですけれど。なんとかならないものでしょうか。